- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017828
作品紹介・あらすじ
教室で孤立する高校一年生の一居士に初めて出来た「友人」。彼女との穏やかな日々に隠された衝撃の真実――静謐な筆致で描き挙げる学園ミステリの傑作。
感想・レビュー・書評
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2020/07/09読了
#このミス作品33冊目
青春ミステリ。
主人公が幽霊なんだか、そうじゃないんだか
すごい不要な設定だった気がしてならない。
後半になって一気にストーリーが進む。
ハッピーエンド風だがモヤモヤ感が半端ない。 -
あることがきっかけでクラス内で無視される架と、
席替えで前の席になり、友達となっていく高町。
ミステリーを読み慣れない、
短めのシンプルな文章を好む私には、
たとえば話につっかかり、冒頭からテンポよく読めませんでした。
高校生らしからぬ、謎の多い架と高町の秘密が
少しずつ少しずつ明かされていき、
どんでん、どんでん、またどんでん返しに
そうなのか~、そう来たか~と
最後は一気に突き進んでしまい…。
気が付いたら、さわやかなラスト。
架は結局…???
気になりだすと止まりませんが…
久しぶりに150pぐらいを一気に読みました。
明日、多忙なのに寝不足だ。
ま、仕方ない仕方ない!的な一冊です。
自我の目覚めの比喩、考え深かったです。
そんな表現…と思いますが、思い当たります…。 -
・・・・・・・冒頭
ぼくの席は窓際の最後列にある。毎朝、ぼくは始業時間ぎりぎりに後ろの扉から一年A組の教室に入り、気配を殺してそっと席に着く。誰とも挨拶を交わさないし、誰一人として僕を振り返らない。
一居士架はある出来事をきっかけにクラスの中で幽霊のような存在になってしまう。
席替えで女子の玖波高町が前の席になったことで、事態は一変する。
読み始めは、いじめをテーマにした学園小説かと思ったが、“幽霊”という存在の本当の意味が分かりはじめる中盤あたりから、作品全般の趣が変わっていく。
そして最後には、予想だにしなかった驚きの結末が用意されている。
ストーリー展開として見ればとても興味深い小説だと思う。
キンドルの電子書籍で好評を博し、実際の単行本化された著者のデビュー作だそうだ。
そう言われれば、まだまだ新人作家特有の堅さが文章に垣間見られる。
一人称で、主人公の心理や情景描写が饒舌過ぎる言葉で語られることもあって、最初は非常に読みにくいのだ。
ありきたりではない比喩もかなり多用されるのだが、この比喩も文字数が多く腑に落ちるものは少ない。
言葉の多さによって、逆に情景や心情の輪郭もぼやけてしまっているように思える。
ここまで言葉を駆使して説明する必要はないのではないか
作者の思いを伝えようとするあまり、少し空回りし過ぎか。
もう少し、文章を研ぎ澄まさせ、余分な表現を削り落とせば、この2/3くらいで充分に完成した小説になり、よりいい作品になるはずだ。
でも、長い文章に辟易しない読者にとっては、結構面白い作品だ。
私的には、“今後の作品を追いかけてみたい”と思えるような新しい作家に出会った気分だった。
興味を持った方には是非読んでもらいたい作品です。 -
まず、タイトルが読めない...
不等号はなんと読めばよいのか、括弧は読むのか読まないのか。
登場人物もふりがながないと読めないだろうな。みんな変わった名前ばかりだし。
「幽霊」にしても、死んで幽霊になったのとか思っていたが、違うのか正しいのか。
もう、この本は??、?、???、!、やっぱり?の繰り返しと言う感じで何が本当なのかそれこそ頭痛になってしまいそう。
悩みながらも割と軽く読めます。(どっちなんだ)
タイトルの意味が分からなかった.... -
絶賛評を複数見て、これは読まずばなるまい、と。
間違いなく文章力は非凡。当たり前の言葉で、当たり前でないことが綴られている。確かに、これまでありそうでなかったものではないかという気がする。
後は、好みの問題ということ。今のところ、私は保留。ただ、この作家さんは注目だ! -
読みやすくさらりと読めた。
いろいろありながらも明らかになった話が、えっ?ってなるほど重くて、いまさらそんな話するのかぁと思った。
いじめっ子がハブかれていく様子を割と何度も描写していて、そんなにいるかなと思ったり。
物語の着地点もそうだけど、なんか違うなとか、合わないなとかそんな気分で本を読み終えた。
うまく飲み込めなかったって言葉が感想としてしっくりきた。 -
誇大表現ではなく、今年NO.1新人作家の青春ミステリ。その文章力は新人離れしており、多種多様に渡る巧みな比喩表現はセンスが光っている。主人公を通して語られる思春期の世界は、風景描写、心理描写ともに精緻で透明感があり、その行間には言いようのない薄ら寒さと不穏な雰囲気を感じた。核となる事件も面白く、期待感と不安感のないまぜになった語り口のせいかリーダビリティは非常に高い。一つの事件を軸にするのではなく、事件が連続性を帯びて主人公の一居士架(いちこじかける)と謎のヒロイン玖波高町(くばたかまち)に降りかかる。特に目を見張ったのは、高校生の人物造形の上手ささだろう。どことなく幼稚でいながら、時に大人顔負けの強かさや計算高さを垣間見せつつ、その根底は年相応に脆い、という様子が丁寧に描かれている。奇妙な名前や教室内カースト、高校生特有の人間関係の流動性などをここまで上手く描いた小説はちょっと見当たらない。あと話の仕掛けが巧妙で、読了した後は上手く転がされたという賛辞しか出てこなかった。引っ張った謎、その真犯人が中盤で早々に明らかになったにも関わらず、前の事件が引き起こす余波や新たな謎の発生で読者を飽きさせない工夫が施されている。加えて、一貫して主人公とヒロインの謎はクライマックスまで伏せられており、しっかり予想を裏切られる。不安を煽るレッドへリング、描写のミスリードは本当に新人離れしていた。最後の最後に、主人公やヒロインを包む薄膜、物語に組み込まれた謎の正体が浮かび上がり、生きていることの自覚というテーマへと繋がる畳み掛けは素晴らしかった。オチも美しい。総括すると、既存の物語の類型に囚われず、世界観設定やキャラクターに血が通っていて、物語性が高い小説だった。一言で言うなら、脱帽です。
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ゴースト≠ノイズ/十市社
#読了
くるくる裏返るコインのような青春小説。一気に読んで終点に辿り着くまで目が離せない。長い一文だけど、苦悩を巧く表現する良いクドさ。父親を形容するこの表現好き「屈辱をアルコールでふやかし責任を転嫁するために真実の乱暴な側面ばかり挙げ連ねて他人を見下す https://t.co/MpWvJPrqW7 -
高校入学から一月が過ぎた頃、ある失敗をきっかけに孤立し、今ではクラスで「幽霊」と言われている一居士架。誰とも話せない、話しかけることもない架の高校生活は、ある日の席替えで玖波高町が前の席になったことから変わり始める。
デビュー作らしい。勢いと熱量はすごい。ただ中盤以降話が動き始めるまではちょっとだるかったかな。動物の事件まわりもあっさりしすぎで必要性をあまり感じなかった。高町の設定はしんどすぎて読むのが辛かったけど、終盤のやりとりは良かったし、エピローグでほっとできてよかった。全体的な展開としてはすっかり騙されたというか、これフェアかアンフェアか微妙なラインなのでは……。 -
教室において存在を抹消された幽霊状態の主人公とクラスメイトの女子の物語。
前半は淡々と学校生活の描写が続くけれど、主人公の卑屈さがやたら強調される上に言い回しがくどく、同じような出来事が繰り返され盛り上がりに欠けるので読みながら飽きてくる。
最後の急展開から結末は読ませるし面白かったけれど、動物虐待死事件とその最後の急展開の原因が何も解決せず宙に浮いたままなのでスッキリしない。
そもそも動物虐待死事件って彼女のある事情を説明する以上の役割を果たしておらず、話の本筋的に不要なような。
もっと全体をシェイプアップしてきっちりまとめていたら名作になれたんじゃないかなあという意味で色々惜しい作品。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。