マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
3.44
  • (2)
  • (13)
  • (14)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 102
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488127121

作品紹介・あらすじ

嫌われ者のグレゴリー・マシューズが突然死を遂げた。すったもんだの末に検死を実施したところ、死因はニコチン中毒で、他殺だったことが判明。だが故人の部屋はすでに掃除されており、ろくに証拠は残っていなかった。おかげでハナサイド警視は、動機は山ほどあるのに、決め手がまったくない事件に挑むはめに…。巨匠セイヤーズが認めた実力派が、練りに練った傑作本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  実業家のグレゴリー・マシューズが、ニコチンによって毒殺された。ただし、警察が来たときには、既に故人の部屋は掃除されてしまっていた。証拠もロクにないなか、ハナサイド警視はどのように解決するのだろうか。

     吝嗇家ガートルードが死んだのは自業自得だった。故人の練り歯磨きチューブをかっぱらって自分で使うとか、穢れ思想のある日本では考えられんな。まあ、これのせいで(おかげで?)事件が多少わけわからなくなったわけだが。

     犯人は、根拠がなくとも指摘できる……かもしれない。多分、ミステリを読む人なら、ああ、この人それっぽいわ、となるかもしれない。それっぽい描写もあるけど、筋を確実な根拠にしての推理は難しい。
     話としては楽しめた。キャラクターがそれぞれ、しっかり立っている。ガートルードは吝嗇家然としているし(身近な「吝嗇家」の言動に、実によく似ている。ここまで極端ではないのだが)、ランドールも飄々とした魅力的な「好」男子である。

  • 1作目の二番煎じっぽいが、楽しいことは楽しい。気取り屋の叔母をほめ殺す甥とかユニーク。

    今回もハナサイド警視は事件を解決できず、愛想のいいヘビと親戚中から罵られる被害者の相続人が、なぜかラブロマンスを実らせる。さすがロマンス作家と唸らされる。

  • ハナサイド警視シリーズ2作目。

    家長であるグレゴリー・マシューズが突然死した!しかもどうやら他殺であるらしい…。一大事に親戚一同が大集合!となるわけですが、この一族みんながみんな個性的な上にとにかくしゃべる。

    動機を持った怪しい容疑者達の不毛な会話がコントみたいでおもしろいです。
    言いたい放題でやかましいマシューズ家の人々と、ハナサイド警視がうんざりしながら地道に捜査していく様子が笑えます。

    強烈なキャラクターばかりのマシューズ家ですが、一番の注目人物はグレゴリーの甥であり相続人であるランドール青年。
    曲者揃いのマシューズ家の面々の更に上をいく曲者で、警察さえも翻弄する不敵な態度はなんとも愉快。
    「ハナサイド警視シリーズ」なのに、途中から誰が主人公なのか分からなくなりました。

    登場人物達の会話とランドールの不可解な行動に惑わされて、犯人と殺害方法が巧みに隠されています。

    端正な謎解きが楽しめ、登場人物達の掛け合いに笑い、可愛らしい素敵なロマンスまであって満足の1冊でした。

  • 前作『紳士と月夜の晒し台』ファンの人は安心して今作もオススメ。あとはロマンス風味の小説、階上の人・階下の人がい出てくるイギリスの邸宅モノが好きな人にもオススメかな。
    出てくるキャラクターがステレオタイプ的、でもきちんと描き分けられてて、それぞれが生き生きと作中で動いている。海外作品にありがちな登場人物の混乱が発生しないのも良い。
    ひたすら、彼らが皮肉に満ちあふれた会話の応酬をしながら話を進めていくので、そこを喜劇として楽しめないと辛いかもしれないけど。
    イギリスの風俗描写(女主人が屋敷を切り盛り、執事、朝の目覚めの紅茶をメイドが運んでくる、などなど)が生き生きと描かれてて、そっち方面を楽しむ読み方もできるかな。

    『ハナサイド警視シリーズ』なのに、毎作こんなにないがしろにされる探偵役も珍しいよな。

  • 資産家が毒殺された。同居している一族から嫌われていたため、容疑者は多い。当初、病死と思われており、ハナサイド警視到着時は現場は清掃された後だった。推理は一向に進まないが、鼻摘み者の遺産相続人の甥が、警察やクセ者揃いの一族を嫌味タップリかき乱す様が魅力的で飽きさせない。著者の真骨頂のオマケも有り。

  • オースティンとはまるで違うと思う。

  • 2014年11月21日読了。

  • 実業家グレゴリー・マシューズが死んだ。体の弱っていた事から自然死として処理されようとしたが、姉のガードルード・ラプトンが検死を訴える。検死の結果判明したニコチンによる毒殺。ハナサイド警視の捜査。グレゴリーの遺産の大部分を相続するランドールの行動。ハイドと名乗る謎の男。消えたハイド。ハイドの書類を探すランドール。マシューズ家の隣人ランボールドの秘密。毒殺されたハリエット・マシューズ。

  • 前回の紳士と月夜の晒し台の、キャリントンが、でていたので、活躍するのかと、思ったら、飾りだった(笑)
    こちらも、にぎやかな話だった。この作家は、ロマンス小説の作家かと思っていたら、しっかりした、推理小説だった。

  • ハナサイド警視シリーズ第2作目。
    嫌われ者の家長が死に、検死の末に他殺だったことが判明。ハナサイド警視が捜査に当たるが部屋はすでに掃除されており証拠はまったく残っていなかった…
    前作と同様、クセのある登場人物たちが大騒ぎを繰り広げて捜査陣を翻弄する。設定やストーリーはお屋敷に住む一族の殺人というステロタイプでも、この大騒ぎが楽しい。ラストのツンデレラブロマンス展開はさすがロマンス作家。
    それにしてもハナサイド警視はそれなりに有能な捜査官だと思うのだが、主役にしては地味すぎでいいところを攫われる。そういうコンセプトのシリーズなのか…?

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1902年、英国ウィンブルドン生まれ。1921年にThe Black Mothで作家デビュー。歴史小説やスリラー、ミステリと幅広い執筆活動を展開し、日本でも「悪魔公爵の子」(1932)や「紳士と月夜の晒し台」(35)、「グレイストーンズ屋敷殺人事件」(38)、「令嬢ヴェネシア」(58)などが訳されている。1974年死去。

「2023年 『やかましい遺産争族』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージェット・ヘイヤーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×