憐れみをなす者 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488218249

作品紹介・あらすじ

船長から捜査の全権を委任されたフィデルマは、巡礼たちに聞き込みを始める。だが巡礼の修道士、修道女たちは奇矯な人物ばかり。おまけに様々な感情が被害者をめぐり渦巻いていたことがわかる。そんな矢先、海に落ちたと思われていた被害者の刺殺体が船室で発見される。しかも、まるで殺されたばかりのような状況で。この数日船に隠れていて、改めて殺されたというのか? 目的地到着前に犯人をあげるべくフィデルマの捜査は続く。

感想・レビュー・書評

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  • 7世紀のアイルランドという珍しい時代を描いた、修道女フィデルマのシリーズ。
    8作目、後半。

    これは中でも、船旅が舞台なのと、フィデルマの若い頃の恋人が出てくる、珍しい話です。
    王の妹であり勝気で勉学好きな修道女フィデルマ、でもまだどう生きるかははっきり決めていなかった頃。
    騎士と恋に落ちて結婚を考えましたが、手ひどくふられてしまった。こんな恋愛があったとは。
    その相手が今は修道士になって同じ船に乗っていた。

    当時のキリスト教は聖職者でも結婚できて、男女が一緒に暮らして夫婦で子育てをする修道院もあったのです。
    この時代に、ローマでは高位の聖職者については独身が推奨されるようになっていくのですが。まだ強制ではありません。

    数々の事件を共に解決した修道士エイダルフに惹かれているフィデルマですが。
    エイダルフははっきりしたことは言わず、それが天然だからか?故国や恩師の期待を担っているからか、王の妹であるフィデルマに配慮しているのもあるのか‥
    互いの意思は今一つ。さて?

    修道女フィデルマのシリーズは、1995年から原著は発表されています。
    日本では2000年の短編集の方が先に、2009年から発行されました。
    長編の発行順も、原著の順番とは違うので、ちょっとややこしい?
    本国での発表順だと、長編は
    「死をもちて赦されん」
    「サクソンの司教冠」
    「幼き子らよ、我がもとへ」
    「蛇、もっとも禍し」
    「蜘蛛の巣」
    「翳深き谷」
    「消えた修道士」
    「憐れみをなす者」
    「昏き聖母」の順になります。

    作者ピーター・トレメインは、イングランド生まれですが、アイルランド系。
    ケルトの研究で知られる学者でもあります。
    古代アイルランドの法の先進性に誇りを持ち、生き生きとした女性の活躍を描いているシリーズですね。

  • 事件の真実が明らかになったときにその中心人物が語る一言に、何とも後味の悪い思いを抱いてしまう。

    しかし、最後の一文で「!」
    早く次の翻訳が出ないかな。(原作はちょっと英語力が無い私には難しかった)I

  • (上巻より)

    最初の解説がとてもわかりやすくて良かった。
    このシリーズを読み始めるにあたって、
    必要な予備知識だと思う。

    その中に、
    作者の描いている科学技術が
    当時のアイルランドの力を鑑みれば到底あり得ないものであると
    批判されているという記載があった。

    確かに、国力は科学技術の土台となる。
    大輪の花を咲かせるには豊かな土壌が必要だ。
    しかし、同時に人が作り出すものでもあるはずだ。

    遠く未来から見れば、
    大陸から孤立している島国、
    山がちな国土に、乏しい資源、
    地震に台風に火山噴火といった自然災害の国で、
    例えば、世界で最も早く安全な列車を走せていたというのは
    信じられないということなのだろうか。

  • 元彼が嫌な奴だったけど、すっきり終わったと思ったところにさらに最後の一文。それなのに次は短編集だなんて。早い翻訳、待ってます。

  • フィデルマが思い悩んでいたことを乗り越えられてにっこり。キアンは最初から最後までイヤな奴だったな…。今回は、犯人も周りの人たちも癖がありすぎて…。

    最後!エイダルフ!!何があったんだろう、続きの巻を早く~~~!!!

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