- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488255060
作品紹介・あらすじ
日本軍による真珠湾攻撃から約半月後。表向きはチャーチル英国首相付きのタイピストとして、実際は特別作戦執行部の工作員として、三年ぶりに故国アメリカへ帰ってきたマギー・ホープ。首相とルーズベルト米国大統領の会談が成功。だが大統領夫人の秘書が変死を遂げる。現場の証拠は、夫人の大スキャンダルとなるものだった――外部に漏れれば世界が変わるほどの。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの人気シリーズ、最新刊。
感想・レビュー・書評
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シリーズ第五弾。
チャーチル英国首相に随行して4年ぶりにアメリカに帰ってきたマギー。
首相とルーズベルト米国大統領の会談が行われる一方、大統領夫人の秘書の変死体が見つかります。
現場に残されていた証拠から、大統領夫人を陥れようとする陰謀を感じとったマギーですが・・・。
大統領夫人と行動を共にするうちに、黒人女性の活動家・アンディと出会い、マギーは人種差別問題と直面することになります。
ドイツのナチズムは批判するのに、自国の人種差別問題を棚上げする米国や、帝国主義による植民地支配をしている英国も同様ではないかという、この時代ならではの問題定義があり、相変わらずタイトルや表紙に合わずシリアスな内容となっております。
このシリーズは実在の人物も登場するのが興味深いのですが、今回はエンタメ界の巨匠の“あの人”も登場して、マギーの元カレ・ジョンと関わってくるという展開がありました。
そう、ジョンの“ある才能”が脚光を浴びて、思わぬ方向に進んでいくのですよね・・おかげでマギーとよりを戻せないどころか、距離が離れていくばかり(と、いうかまた破局?)で、どうなることやら・・という感じです。
そして、アメリカに来たことで、育ての親であるイーディス叔母さんと再会できたマギーですが、一方でイギリスにいる“実父母”の方はどエライ事になっていましたね。
オトン(エドマンド)はクレイジーな行動をするわ、それに巻き込まれたオカン(クララ)は悪運の強さを発揮して脱走しちゃうわで、もう大変。ドイツにいる異父妹のエリーゼの事も含めて、今後の展開が気になりますね~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マギーのシリーズも、5作目。
元気な若い娘が主人公のコージーみたいな表紙ですが~
主人公はまあそうだけど、けっこう苦い味もある本格的なストーリーです。
マギー・ホープは、わけあってアメリカ育ちのイギリス人。
チャーチル首相の秘書になったことから、諜報員の訓練まで受けて経験を積んできました。
今回は、首相のアメリカ訪問に同行します。
苦境に立つイギリスは、アメリカの参戦を熱望していました。
アメリカ大統領は、フランクリン・ルーズヴェルト。
夫人のエレノアも知的で有名な女性ですが、思わぬスキャンダルに巻き込まれそうになります。
大統領夫妻の秘密に近づきつつ、絡み合う事件をひそかに解きほぐそうとするマギー。
かっての恋人のジョンは、激戦地帰りのパイロット。
首相に同行しましたが、英雄として人気が出たのをきっかけに、アメリカで思わぬことに?
こんな展開になるとは、ねえ‥
つらい過去を乗り越えて、マギーもさらに別な意味で?たくましくなるんでしょうか。
なかなかの読み応えでした。
マギーの運命やいかに? -
結構ハードボイルドだなあと思いつつ。
今回は政治色の強さを特に感じた。
マギーの成長記として、切なくなるけど次も読む。 -
マギーシリーズのもの。
シリーズものと知っているくせに、順番通りに読めていない…けれども楽しめます!
今回は、第二次世界大戦にアメリカが参戦する直前の時期のお話。実在した人物が何人も出てきて、時に混乱することもあったけれど、とても興味深く読んだ。民主主義を標榜し、参戦する一方、国内では人種差別が根強く残り、ひとりの少年の命が理不尽に消されようとしている。当時のアメリカの世相を垣間見たような気分になった。 -
マギーがいよいよ育った国アメリカへ!
同じ英語圏でありながら、英国と米国では色々と違う点がある。それが際立つ本巻では、第二次大戦へのアメリカ参戦とそれにまつわる裏舞台が描かれている。
ここに登場する幾人かの人物、たとえば正当防衛だったにもかかわらず人種差別的な状況で死刑に追いやられるウェンデル・コットンなど、歴史上の人物をモデルに、それと近いシチュエーションや背景を持つキャラクターも登場することで、この時期のアメリカの世相が描かれているのは興味深い。
ところで、日本人として興味深かったのは、「徴兵」ということが、実は義務だけではなく権利であった事をうかがわせる記述。
つまり、黒人であるコットンや仲間の黒人は、軍に行く事がなかった。今でもそうであるらしいのだけど、アメリカでは、兵役に応じる事でアメリカの市民権を得られる、というシステムがあるんですねー。
後年まで、海兵隊には黒人が採用されなかった(WASPの青年のみ)というような事情もあり、まあ軍隊に行くことは、一部の国民の特権であったわけです。
日本では軍に行くというのはなんかとても悪い事のように言う人がいるけれども、はたしてそうだろうか? と、思ってしまいますねえ。 -
平成29年1月18日読了