追憶の殺意 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488449056

作品紹介・あらすじ

武蔵自動車教習所の配車係の死に端を発し、相次いで指導員が殺される。そして捜査線上に浮かんだ容疑者には、二重三重に仕組まれたアリバイが!? 著者の本格ミステリ代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 結論、タイトルがよい。元々の自動車教習所殺人事件では、あまり人目に付かなそう。
    自動車教習所の配車係の死から、指導員達の連続殺人事件に発展する。怪しい人物達、隠された動機の判明など練り込まれていて面白いが、終盤の時刻表を活かしたアリバイ崩しも古典らしく楽しい。

  • 自動車教習所で起こる殺人事件。人間関係が曲者。密室とお馴染みの時刻表トリックと、なかなか読み応えあり。

  • 「中町信」の長篇ミステリ小説『追憶の殺意(英題:The Fugue of Memory)』を読みました。
    『模倣の殺意』に続き、「中町信」の作品です。

    -----story-------------
    自動車教習所の配車係が川土手で頭を強打して死んでいた。
    さらに技能主任が密室状況下で殺され、続いて指導員が自分の車の中で殺されているのが発見される! 
    指導員と教習生を巻き込み、複雑に絡み合った人間関係の中から、捜査線上に浮かんだ一人の容疑者。
    だが、その人物には、二重三重に仕組まれたアリバイが!? 
    著者がミステリの正統(密室+アリバイ破り)に挑んだ傑作!
    -----------------------

    1979年(昭和54年)に第25回江戸川乱歩賞の最終候補作に選ばれた『教習所殺人事件』を、1980年(昭和55年)に『自動車教習所殺人事件』と改題して出版… その後、2013年(平成25年)に『追憶の殺意』に改題された作品、、、

    「中町信」の作品って、改題されている作品が多いようですが、本作品は3つもタイトルを持っているようですね。

     ■プロローグ
     ■第一章 憎悪の牙
     ■第二章 檻の中の羊たち
     ■第三章 密室の死
     ■第四章 情事の果てに
     ■第五章 駐車場の死体
     ■第六章 ドアの解明
     ■第七章 死者からのメッセージ
     ■第八章 追尾の国道17号線
     ■第九章 偽造の背景
     ■終章 殺意のライセンス
     ■解説 三浦大

    年も押し迫ったある日、埼玉県岩槻市の川土手で、自動車教習所の配車係「石川梅夫」が死体で発見された… 「石川」には職場の同僚「小笠原則夫」、「新部進」と悪質なギャンブルを行なっていた疑いが浮上する、、、

    そして年が改まったとたん、教習所の技能主任「金野健作」が密室状況下の建物の中で撲殺される… さらに指導員の「大淵正夫」が自宅マンションの駐車場にカバーをかけて駐めてあった自分の車の中で殺されていた!! 

    自動車教習所に通う教習生と指導員――その絡み合いの中からあぶり出される複雑な人間関係… やがて捜査線上に浮かんだ容疑者、教習生の「設楽秀夫」には、二重三重の鉄壁なアリバイがあった……!?


    謎の解明が、次の謎を誘発… そして、密室トリックに自動車の入れ替えトリック、さらにアリバイ作りのための年賀状(消印)トリックや時刻表トリック、ドライバーの入れ替えトリックという贅沢な構成、、、

    本格ミステリを愉しめる展開でしたね… 唯一、気になるのは、感情移入できる魅力的な登場人物がいないことかなー 巧いし、愉しめるし、面白いんですけどね、そこがちょっと物足りませんでしたね。

    でも、自動車教習所の雰囲気… とても懐かしく感じながら読めました、、、

    もう30年以上も前ですけどねー

  • 使い回しのトリックを一ひねりした密室に見えない密室殺人と、大ネタにプラスして、短編が一つ書けそうなアイデアを二つもおまけしたアリバイトリック。呆れるほど丁寧に張り巡らされた伏線などミステリとしては極めて高品質。一方、読み物としては読みやすい文体くらいしか褒めるところを思い付かない。発表の1980年というと、まだ社会派リアリズムの時代で、ミステリはこんな感じが主流だったのかも知れないが、なんか残念。

  • 自動車教習所で起きる連続殺人。とくに、鍵のかかった教習棟で起きた殺人は、時間的にもアリバイがある人ばかり。アリバイトリックとしてかなり精密に作り込まれた作品。時代的な古さは感じるものの、最後の解決編は読みごたえがありました。

  • 自動車教習所殺人事件

  • 収録内容は以下の通り。

    本編
    三浦大: 解説

    教習所での人間関係から浮かび上がる犯人の描像。読者が推理を展開するたびにその予想を裏切られ、最後にはすべての伏線が回収される。
    推理以外の描写も含めて、中町信の作品の中で最も好きな作品である。

    カバーデザインは岩郷重力+WONDER WORKZ。、カバー写真はLOS 164。

  • 面白かったけど、中畔が途中からずっと犯人だと思っていた人物がやっぱり犯人だったから意外性には少し欠けたかな。中盤すぎから永遠と執拗に犯人を追いかけてラストはそのままだし。とても身勝手な殺人で残された妻が可哀想。

  • 「模倣の殺意」に続いて中町氏二作目。
    自動車教習所で起こった3つの殺人事件。
    指導員と教習者の絡み合った人間模様を背景に、容疑者が準備したアリバイを崩していく刑事達の執念が読みどころ!

  • やはり、この本のトリックも凝りに凝ったものだった。この著者のトリックは派手さは無いが、真相を知るにつれまるで自分もストーリーの中の一人物であるかのような気持ちになるのが不思議な魅力。
    良い推理小説と出会った時に思うのはリアルタイムで楽しみたかった!と、いうこと。著者はもう他界している事が残念でならない。

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著者プロフィール

1935年群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒業。 66年に「闇の顔」で第1回双葉推理賞候補になる。『新人賞殺人事件』(後に『模倣の殺意』に改題)で単行本デビュー。叙述トリックを得意とし、『空白の殺意』『三幕の殺意』『天啓の殺意』などの著作がある。2009年逝去。

「2022年 『死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 十和田湖・夏の日の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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