ゴースト≠ノイズ(リダクション) (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 159
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488461119

作品紹介・あらすじ

僕が小さなしくじりから、クラスの「幽霊」になったのは、7ヶ月前のことだ。――ある事件から、同級生の目に映らない存在として扱われ、話しかけられることもなくなった高校1年生の一居士架は、ある時同級生の高町から、一緒に文化祭の展示研究をしようと持ちかけられる。彼女の存在に救いを覚える架だが、高校の周辺で起きる動物虐待死の事件が2人の日々に影をさす。静謐な筆致で慟哭と驚愕を描き上げた、青春ミステリの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 謎を核として展開するミステリではなく、そうなるだろうという予測を気持ちの良いくらいひっくり返す展開で魅せるミステリ。そして、それが一度だけではなく、何度も何度もなのだ。各エピソードだけで短編が書けるのではというネタを惜しげもなく注ぎ込み幽霊と呼ばれる主人公の男子高生と彼が見えて話しかける女子高生の2人の物語を加速度的に盛り上げていく。衝撃の死から以降、終盤に明らかになる感情の発露は衝撃的。下卑た想像を容易に超えていく真実は彼女だからこそ痛いのだろう。家族と青春を語りによって見事に描き出している傑作。ただ、内容の素晴らしさに反して、このタイトルだけはちょっとどうかと思うのだよ。

  • 真相が二転三転する展開に惑わされながら、それでもジュブナイル小説として完成度の高い物語に感服した作品です。 主人公は教室で孤立している高校一年生。そんな彼に初めて友人ができます。しかし彼女は謎めいた行動をしていました。そんな中、学校で動物死体遺棄事件が発生します。 二人の物語と学校内で起きる事件がリンクしていく作品です。その中で主人公の正体とその使い方が美しい作品でした。真相の驚きと物語のクライマックスに涙が止まりませんでした。

  • 主人公とヒロインのありがちとも思える設定から、それぞれに予想の斜め上をいく展開で意表を突いてくる。青春の痛みを新たなかたちで描き出して、最後には晴れやかな世界が広がる。

  • 時間がないので流し読み。青春小説というよりはちょっと重めの話かな。

  • 青春。ミステリ。学園。
    読み終わって、結局よく理解できない自分の読解力のなさが残念。
    解説的には、いろいろな解釈ができるような作品らしい。
    ミステリの要素を抜いても、青春小説として十分に楽しめる内容だと思います。

  •  不思議な読後感だ。

     読み終わったときには、なんかよく分からないミステリーだったと印象だ。
     次の日の午前ごろ、あぁ、そういうことだったのかと思い出して徐々に分かってくる。

     読者へのミスリードを繰り返して筋がわかりにくくなっているが、よくよく思い返すと筋が通っている。

     話の構造は良い。もったいないのは、話がもやっとしていて結局よく分かりませんでしたで終わってしまう人が多いだろう。俺も完全にはよく分かってないし。

     特にずるいのは主人公が握手したとき、自分の手が透けて見えたという表現は読者の混乱を招いただろう。結局、こいつは何なんだ。
     それが最後まで見えてこない。


     そして、主人公の性格にイライラするのは、親の顔色を窺って、友人の顔色を窺って、自分を失くして生きている姿、そして一つの大失敗でクラスから孤立した過去を知っているから。誰かに似ているから。

     ゴースト、ノットイコール、ノイズ(リダクション)

     ゴーストはノイズじゃない。それを消していく。タイトルも意味深だ。


     高校入学七か月目にして、給湯室から運んできたお茶を女子グループに盛大にぶちまけ、クラスから孤立した”幽霊”と呼ばれる僕に声をかけてきたクラスメイトがいた。

     玖波高町は、存在感の無い自分を利用する。他の人には言えないから。

     校舎裏では殺された小動物の死骸が何度か見つかる。文化祭の最中の男子生徒の自殺、そして養護施設から引き取られた高町の過去、病弱な高町の妹を中心にした玖波家の関係。

     玖波高町は何に不満だったのか。

     幸せなはずの家に火をつけた高町に、幽霊の僕は何をしたかったのか。

  • 基本ラインはもっとシンプルだろうに、入り組んだように書かれてるので、お話の魅力がちょっと削がれたように思いました。凝った作りだとはおもうのですが、ちょっと入り込めなかった、、。

  • もやもやする! 面白かつたけどとてもとてももどかしい

  • 主人公の存在のあやふやさが面白い。多くのモチーフを盛り込み過ぎている感じがする。もっとシンプルにしたなら強烈な印象を残しただろうに。少し勿体ない。

  • 不思議な後読感。読んでいる間、主人公は実体があるのか、それとも本当に幽霊なのか、悩まされ続けます。そして全てが収束する結末。ちょっと他では読んだことがないようなお話です。

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