第二の顔 (創元推理文庫)

著者 : マルセル・エイメ

• 東京創元社 (2008年3月1日発売)

感想・レビュー・書評

[bwv232さんの感想 · 2016年12月26日]

自分の顔が変貌して別人の様になってしまった男の話。しかもその顔で何をするかと思えば…。
ちょっと悪趣味な感じ。

[reiruiさんの感想 · 2011年8月21日]

初マルセルエイメの長編作品。
顔がある日急に美男子に変わった熟年実業家を通じて、人間の猜疑心や変身による人生への影響を描く。

主人公は妻に忠実な小男。顔が変わったからといって新しい人生をはじめる気力はなく、逆に妻のそばにどうしたら入れるのか画策し始める。その一方でやはり僅かばかり新しい人生を堪能したい気持ちもある。新しい顔で違う人格を偽って妻のそばにいるものの、逆に昔の自分を省みない妻に対して腹が立つ。
変身によって生じる複数の矛盾と、変身によって取って払われたいくつも感情の足かせを読者は事細かに観察できる。

深くてしみじみとする書き方ではないし、短編に見られるような信じられないくらいのあっけなさで終わりをエイメは描くが、孕んでいるアイディアは豊富だ。