ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488541033

感想・レビュー・書評

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  •  遥か太古――。
     氷河期が訪れる以前。ヒュペルボレオスと呼ばれた北方にある大陸には独自の魔術文明が栄え、魔物や妖術師が跋扈し、異形の神々が潜み暮らしていた。
     豪胆な貴族は呪いにより哀れな行進を強いられ、美しい都は悍ましき存在に呑み込まれ、魔道士は冷気をまとう妖蛆と対峙する――。
     本書は古代の大陸ヒュペルボレオスを舞台に、魔道士が魔術を行使し、人々が神々や魔物に翻弄される話が集められた連作短編集である。交流があったラヴクラフトが自身の作品にヒュペルボレオスの要素を取り込み、逆にスミスはラヴクラフトの要素を取り込んだため、後にヒュペルボレオスの世界観はクトゥルフ神話に取り込まれることになる。様々な神々や亜人や魔術師が登場する『七つの呪い』や栄華を誇った首都が廃棄される謂れを記した『アタムマウスの遺書』など11篇の他、アトランティスを舞台にした話や異界に迷い込む話など12篇、計23篇を収録。
     グロテスクながらも詩的な描写。悲哀と共にユーモアも感じられる表現。希望と絶望、欲望と愛欲が生き生きと描かれる物語。クトゥルフ神話ファンのみならず、ハイ・ファンタジーが好きな人にもお薦めしたい。

  • クラーク・アシュトン・スミスの短編集その2。
    やはりすばらしい作品の数々ではあるが、ヒュペルボレオス(ハイパー
    ボリア)、アトランティス、幻想譚と3グループに分かれているので
    ゾティークに比べるとまとまりがないのは致し方ないところか。

    原音主義はわかるのだが、やはりハイパーボリアの方が座りがいいし、
    キング・カルはクッルじゃかっこうわるいと思うのだが。

    うちの区の図書館には次のアヴェロワーニュは所蔵されていないので
    とりあえずここまでとします。

  • 初めての作家さんです。
    本作はヒュペルボレオス編、アトランティス編、
    他を舞台とした幻夢郷綺譚からなる幻想ホラー短篇集です。
    クトゥルフ神話を読んでいる人は、楽しみが倍増したでしょう。
    クトゥルフも、関連本も読んでいないので、ちょっと悔しい!
    それでも十分に楽しませていただきました(o^o^o)
    面白い作品ばかりだったんだけど、中でもお気に入りは
    「マリュグリスの死」「スファノモエーへの旅」「柳のある山水画」

  • 詩人スミスが綴る超古代大陸を舞台にした連作短編集。
    最後の皮肉が良い味を出す「七つの呪い」、静寂と極寒による荒廃が美しい「白蛆の襲来」、魔術師エイボンが奮闘する「土星への扉」など秀作多し。
    「柳のある山水画」は極北神怪譚収録作品の中でも唯一東洋が舞台。美術品への一途な想いが奇跡を起こす。願わくば乱歩の「押絵と旅する男」の二の舞にならないことを

  •  うっかり完全スルーしていた……orz 「ヒュペルボレオス」なんて訳、初めてみたんだもの……。
     でもまあそれも当然かもしれない。「クトゥルー神話」ではなくて、あくまでも、C.A.スミスが創作した幻想世界を舞台とする短編集の二冊目、という扱いなので。

     ともあれ、クトゥルーが好きでも嫌いでも、非常に読みごたえがあり、雪と氷の異世界で繰り広げられる物語に耽溺できる短編集だった。文庫とは思えぬ価格にちょっとびびったけど(笑)、23もの短編をこれ一冊でまとめて読めるのは―――「あの話、どの本に入っていたっけ」と、本棚をひっくり返さなくてすむのは――― ありがたいかぎり。

  • 前作同様に良いものでした。全作来るのか、大変期待です。

  • ゾティーク幻妖怪異譚も良かった。

  • ゴシックホラー、幻想小説の書き手であるスミスの作品集。今回はクトゥルフ神話にも組み込まれているヒュペルボレオスのお話が中心。ゴシックファンタジーとでも言うべき名品である。ツアトゥグアが可愛い。

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著者プロフィール

1893年、米国カリフォルニア州に生まれる。若くしてその詩作が注目され、18歳で詩人ジョージ・スターリングと親交をはじめ、彼を介しアンブローズ・ビアスに評価される。1922年にH・P・ラヴクラフトの知己を得、彼の勧めで「ウィアード・テールズ」誌に寄稿。29年から同誌を中心に、独自の幻想世界を描いた物語を精力的に発表。代表作に「魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》」「魔術師の帝国《2 ハイパーボリア篇》」(アトリエサード)などがある。1961年歿。

「2020年 『魔術師の帝国《3 アヴェロワーニュ篇》』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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