- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488698126
作品紹介・あらすじ
特命作戦の遂行中、マイルズは低温蘇生の後遺症による発作を起こし、救出すべき捕虜を死なせかけてしまう。だが彼は発作の一件を隠して機密保安庁に報告し…結果、イリヤン長官から最悪というべき処分を受けた。失意のあまり館にひきこもるマイルズ。時まさに、青年皇帝の婚約話がもちあがり、周囲が慌ただしさを増すなか、新たな危機が-長官の身を思わぬ異変が襲ったのだ。
感想・レビュー・書評
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ビジョルド読み返しキャンペーンで、やっとヴォルコシガンサーガの中で未読のものまで辿り着いた。いやー面白い。
時間軸的にこの直前に当たる「ミラー・ダンス」の終わり方は、ヴォルコシガン家も大団円という感じだった。マークも落ち着きそうだし、もう新しい展開は難しいのではと思ったがそうきたか! いつものことだがマイルズはとことん(作者によって)痛めつけられ、打ちひしがれ、絶望の淵に立たされてそこから不死鳥のごとく復活する。なんて気持ちいいんでしょう。
ビジョルドの小説作法として、主人公にとってこれを奪われたらいちばん辛いだろうなというものが何かを考えるとどこかで読んだ(ソースは失念)。今回も容赦なくマイルズはいちばん大事なものを生皮を剥くようにして引き剥がされる。成長とともに大事なものは変化していくし、より深く大きなものを喪失することになるのでダメージも回を追うごとに深刻になる。創作者というのはなかなか業が深いものである。
でもその分、奪われたものを乗り越えた時の代償の大きさが読者へのカタルシスになるのである。これまでのシリーズに出てきたことのない(と思う)新しい役職をマイルズのためにわざわざ創作してプレゼントしたビジョルドは、本当にこのシリーズとマイルズを愛しているのであろう。
謎解き部分はSFを読んでいることを忘れるほど古典的でそのギャップも面白くはあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
特命任務でミスを犯し、人質はかろうじて救出したものの、マイルズは自分のミスを隠して報告したことがバレて除隊となってしまう。失意の中、両親のいないヴォルコシガン館で立て直しを始めるが…。
登場時は17歳だったマイルズも30歳。ヴォルコシガン卿とネイスミス提督の二重人格は統合される方向。過去の登場人物も再登場し、これまでの総決算といったところ。個人的には『喪の山』のその後でちょっと涙腺がゆるんでしまった。年齢のせいだろうか。。。
話の筋と関係ないけど、時系列を追ってメインストーリーを読んでくると、この本の表紙カバーで初めて人物の顔イラストを見ることになる。人物の顔があるのとないのとで相当印象が違うと思うんだけど、なぜ突然この本で顔を出すんだろ?イラストレーター変わったっけ?すっごい違和感がある。 -
今回は登場人物の内面が重視されているような。
特にイリヤンが見せた涙。グッときた。 -
ロイス・マクマスター・ビジョルドと大変長い名前でしたので、タイトルでは少し省略させていただきました。
さて、メモリーはマイルズ・ヴォルコシガンが活躍するシリーズの10話目になります。
またこのシリーズの他の話では機密保安庁からの指示により、宇宙を飛び回り、極秘に難事件を解決していくのですが、今回は大分違います。
内容は読んでからのお楽しみなので説明出来ませんが、上下巻合わせて約700頁におよぶ物語を一気に読ませてしまう面白さと、巧みなストーリー展開に私は引き込まれてとうとう今回で10話、12冊目のヴォルコシガンシリーズを買ってしまいました。
各巻の見所は、マイルズの成長と一見他人より不利な身体を持っていながら、欲しい物を自力でどんどん手に入れていく猪突猛進な様子がユーモアと温かさに溢れるストーリー展開と共に楽しめる所です。
またSFとしての書き込みもしっかりしているのですが、しつこい説明にならずに自然に書かれているのも読み易くて良かったです。
まだ少なくても本国には後2巻出ている様なのでこれからがまた楽しみです。
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事件は宇宙でおこっているんじゃない、機密保安庁でおこっているんだ!
ってな感じの作品で、いつものデンダリィ傭兵隊も出てこないし、
ドンパチも無い作品です。 -
やっと出た新作!期待に添う出来でした、やっぱりこのシリーズは面白い!!
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今一番追いかけている作家。ビジョルド。先天性の奇形のため病弱なマイルズが、口先三寸で宇宙を渡っていく話。前作の後遺症からまたもや苦難に巻き込まれるマイルズ。
上下巻
「特命作戦の遂行中、マイルズは低温蘇生の後遺症による発作を起こし、救出すべき捕虜を死なせかけてしまう。だが彼は発作の一件を隠して機密保安庁に報告し…結果、イリヤン長官から最悪というべき処分を受けた。失意のあまり館にひきこもるマイルズ。時まさに、青年皇帝の婚約話がもちあがり、周囲が慌ただしさを増すなか、新たな危機が―長官の身を思わぬ異変が襲ったのだ。」解説より