SFマンガ傑作選 (創元SF文庫)

制作 : 福井健太 
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488789015

作品紹介・あらすじ

手塚治虫、松本零士、筒井康隆、萩尾望都、石ノ森章太郎、諸星大二郎、竹宮惠子、山田ミネコ、横山光輝、佐藤史生、佐々木淳子、高橋葉介、水樹和佳子、星野之宣……1970年代の作品を中心に14編を収めた、傑作SFマンガアンソロジー! 編者による各作品解説と、巻末のSFマンガ史概説も充実。

感想・レビュー・書評

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  •   巻末のSFマンガ史概説にあるとおり、オールタイムのベストではない。70年代を中心にした作品が収められている。
     大半は以前に読んでいたもの。しかし、萩尾望都氏の「あそび玉」と竹宮惠子氏の「ジルベスターの星から」を読むことができ嬉しい。
     「傑作選」というよりは「名作選」といったほうがふさわしいと思う。

  • ふ~ん

    SFマンガ傑作選 - 福井健太 編|東京創元社
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488789015

  • 福井健太・編『SFマンガ傑作選』創元SF文庫。

    1970年代の作品を中心に14編を収めたSFマンガアンソロジー。手塚治虫『アトムの最後』と諸星大二郎『生物都市』が面白いくらいで、後は駄作ばかり。選者の質が問われる程の酷いセレクト。何しろ14編中6編が少女漫画。お目々キラキラの男か女か解らぬような異国の名前の登場人物に、やたら説明の多い稚拙な絵と滅茶苦茶なコマ割り。少女漫画地獄に苦しめられた。

    手塚治虫『アトムの最後』。鉄腕アトムなのに珍しく残酷な描写があり、驚いた。鉄腕アトムが活躍した時代よりも未来の物語。アトムは役目を終え、ロボット博物館で永眠していたのだが……

    松本零士『ヤマビコ13号』。人間の記憶が証明器により全て記録される未来。証明器の全ての記録は『ヤマビコ13号』により管理される。現代の車載カメラにも似ているが、近い未来に警察のサーバで管理されることになるかも知れない。

    筒井康隆『急流』。大昔にオリジナルの漫画を読んだ。筒井康隆が漫画を描いて、その後に短編小説にも仕立てたという作品。この当時は2001年は遥か彼方の未来だったということに愕然とする。

    萩尾望都『あそび玉』。人類が7万もの惑星に広がって暮らす未来。超能力に覚醒した少年が迫害される。

    石ノ森章太郎『胎児の世紀』。人類が滅亡の危機にある未来。謎の泡により人間は次々と胎児のような状態になり、死んでいく。強引な展開と余りにも唐突な結末。設定がストーリーを超えなかったようだ。

    諸星大二郎『生物都市』。大昔、少年ジャンプに掲載されたこの作品を読んだ時には度肝を抜かれたものだ。木星の第一衛星イオから帰還した宇宙船が地球に恐るべき事態をもたらす。

    竹宮惠子『ジルベスターの星から』。少女漫画SFというのは作画で表現するよりも文章がやたらと多く、疲れる。これだけ文章を書かないと理解できないストーリーなら、SF小説にした方が良い。

    山田ミネコ『冬の円盤』。また少女漫画だ。女なのか男なのか解らぬ人物がやたらキラキラした目で登場し、円盤に乗ってやって来た未来人だと言う。

    横山光輝『昆虫惑星』。昆虫に支配された惑星にやって来た宇宙船。よくあるパターン。

    佐藤史生『金星樹』。またまた少女漫画。SF漫画なのか恋愛漫画なのか解らぬ、お目々キラキラには飽きた。

    佐々木淳子『リディアの住む時に……』。タイトルからして、嫌な予感しか無い少女漫画。一応タイムパラドックス物らしい。

    高橋葉介『ミルクがねじを回す時』。幻想的な漫画。

    水樹和佳子『樹魔』。しつこいくらいの少女漫画。読む気が失せる。タイトルを『SF少女マンガ選』に変えた方が良い。

    星野之宣『残像 AN AFTER IMAGE』。少女漫画地獄が余りにも続き、星野之宣作品にも集中出来ず。

    本体価格1,400円
    ★★

  • 「1970年代SFマンガ傑作選」と書名を改めよ。
    そうしなければミスリードを誘う総題だ。
    また「1970年代SFマンガ傑作選(少女マンガを中心に)」とすべきかもしれない。
    要は「偏りあり」のアンソロジー。ということ。
    編者による「SFマンガ史概説」はコンパクトでいいが、安牌並べましたというアンソロジーへの姿勢は、どうかしらん。
    編者の向後10年に渡る「名刺作成」に読者として付き合わされた感じがある。
    そこからはずれた印象の強い高橋葉介「ミルクがねじを回す時」が、最も好き。



    手塚治虫「アトムの最後」 ★
    松本零士「ヤマビコ13号」
    筒井康隆「急流」
    萩尾望都「あそび玉」 ★いわずもがな
    石ノ森章太郎「胎児の世紀」 ★
    諸星大二郎「生物都市」 ★いわずもがな
    竹宮惠子「ジルベスターの星から」
    山田ミネコ「冬の円盤」
    横山光輝「昆虫惑星」
    佐藤史生「金星樹」
    佐々木淳子「リディアの住む時に…」
    高橋葉介「ミルクがねじを回す時」 ★★★
    水樹和佳子「樹魔」
    星野之宣「残像 AN AFTER IMAGE」
    「SFマンガ史概説」福井健太

  • 「THE BEST OF JAPANESE SF COMICS」という英題とは裏腹に、本書は日本のSFマンガのオールタイムベストとして編まれたものではないという。

    たしかに、巻末の初出一覧を見れば、収録14編中13編までが1970年代の作品であり、残る一編も1980年発表だから、実質的には〝70年代日本SFマンガのアンソロジー〟である。

    1400円(税抜)という価格は、文庫本としては高い。が、600ページ超のボリュームだし、巻末に編者・福井健太が寄せた長文の「概説SFマンガ史」も(駆け足の書きっぷりながら)充実しており、価格に見合う価値はある。

    手塚治虫、石ノ森章太郎を筆頭にビッグネームが並んでいるが、70年代前後に絞って考えても、「なぜあの作家が抜けているのか?」と首をかしげる点はある。
    永井豪、藤子・F・不二雄、大友克洋、吾妻ひでおあたりは、多くのマンガファンが思い浮かべる名前だろう。

    もっとも、いま挙げた4人はいずれも、巻末の「概説SFマンガ史」には言及がある。彼らの短編も収録したかったのは、編者も同様なのだろう。入れられなかったのは「大人の事情」であろうか。

    14編中、佐藤史生「金星樹」、星野之宣「残像」、萩尾望都「あそび玉」、諸星大二郎「生物都市」は私も大好きな傑作で、納得のセレクト。

    ただ、ほかの作品については、同じ作家のSF短編でもっとよい作品があるように思え、セレクトに疑問が残る。

    まあ、そのへんは「隴を得て蜀を望む」のたぐいだろう。
    資料的価値も高く、マンガ好きなら持っていてよい一冊だ。

  • 懐かしい漫画と再会した。

    これらの作品の中で、私にとってのSFマンガNo.1の作者は松本零士。松本零士のマンガ・アニメこそ私をSFの世界に導き、没頭させてくれた恩人のようなもの。思い起こせば、松本零士の「宇宙戦艦ヤマト」から「銀河鉄道999」「キャプテン・ハーロック」「クイーン・エメラルダス」へ、そして「男おいどん」に辿り着くまでに、数々の作品を集めまくった時代が懐かしい。だが、それらの本は一体何処へ消えたのだろう。

    手塚治虫、石ノ森章太郎、諸星大二郎は安定の作品を繰り広げている。横山光輝の作品では核戦争による人類滅亡の話も出てきており、昨今の話題にも通じるものがある。SFでは昔から核戦争、第3次世界大戦後の世界を扱っているが、私が生きている間によもやそれが現実になる日が近づいているとは・・・どうみても絵空事で虚構(Fiction)の話と思っていた。

    やはり、少女漫画とSFは水と油だった。ハードSFがどうしてもハードにならない。一方、正確に述べると、考え方にも依るが、少女漫画とSFファンタジーの相性は良さそうだ。

    最後に、筒井康隆、ヘタウマにもならない。

  • 珠玉のSFマンガ集。みな1970年代の作品だが古い感じはしない。どれも「人間のありかた」を究極につきつめた作品だからだろう。ただ設定年代が2,30年後というのや「21世紀には」というのが何作かあり、2022年現在、それが過ぎてしまっているのだ、それがなんとも感慨深い。

    「アトムの最後」手塚治虫(別冊少年マガジン 1970.7月号) 何でもロボットにやらせた人間の残酷な未来形。2055年の世界、どの人間もロボットが育てロボットの家で養ってもらっている。それを知った人間の丈夫は、ロボット博物館にアトムというロボットがいるのを思い出しアトムに助けを求める。アトムは2003年生まれだった。約50年前に生まれたロボットとしてロボット博物館に展示されている。

    「ヤマビコ13号」松本零士(少年マガジン 1971.14,15合併号) 腕につけた装置で自分の来歴が全部把握されている社会。痛烈な管理社会への批判。それがレトロな絵というのがおもしろい。

    「急流」筒井康隆(少年サンデー毎日 1971.9月号)
     だんだん時間が早く進むようになってしまう。
     筒井康隆とあったので原作提供かとおもったら絵も得意で漫画作品を書いていたのだという。マンガから小説へ、逆に小説からマンガへという流れもあったという。

    「あそび玉」萩尾望都(別冊少女コミック 1972.1月号)
     不思議な空気に満ちている。

    「胎児の世紀」石ノ森章太郎(週刊少年マガジン 1972.49号) 水玉のようなものに飲み込まれる世界。終末の一形態。

    「生物都市」諸星大二郎(週刊少年ジャンプ 1974.31号) 世界の最終形は意識、というSF小説はけっこうある。これは機械と生物の融合、この発想がおもしろい。

    「ジルベスターの星から」竹宮恵子(別冊少女コミック 1975.3月号)

    「冬の円盤」山田ミネ子(LaLa 1977.3月号)
    「昆虫惑星」横山光輝(月刊漫画少年 1977.4月号)
    「金星樹」佐藤史生(別冊少女コミック 1978.4月増刊)
    「リディアの住む時に・・」佐々木淳子(少女コミック 1978.5.3日増刊号)
    「ミルクがねじを回す時」高橋葉介(マンガ少年 1979.2月号)
    「樹魔」水樹和佳子(ぶ~け 1979.12月号)
    「残像 AN AFTER IMAGE」星野之宣(週刊ヤングジャンプ 1980.17号)


    2021.11.30初版 図書館

  • このボリューム!
    そして豪華なラインナップ!

    『樹魔』とか「最終戦争シリーズ」とか
    好きでよく読んでたなぁ〜。
    少年漫画のほうは初めて読むものが多く
    宇宙、ロボット、異生物…
    これぞSFって感じでおもしろかった。

    そして『あそび玉』は何度読んでもいい。

  • “傑作選”という名の通り、SF漫画の傑作が収録されている。現代でこの作品を読めるのは幸運でしかない。古い作品ばかりなのだが、まったく色褪せていない。感動する作品ばかりだ。手塚治虫や松本零士らの作品が読めるだけでも貴重な本である。ぜひ続巻も出してほしい。また、改めて、少女漫画のSF作品が多いのも驚く。自分が中高校生のころは少年漫画ばかり読んで、少女漫画には手を出していない(出せないという空気もあった)。このようなSF漫画を中高校生の時に読んでいたら、もっとSFを好きになっていたかもしれない。

  • 解説は情報量がすごいです。好きなのはやっぱり諸星大二郎。
    手塚治虫「アトムの最後」
    松本零士「ヤマビコ13号」
    筒井康隆「急流」
    萩尾望都「あそび玉」
    石ノ森章太郎「胎児の世紀」
    諸星大二郎「生物都市」
    竹宮惠子「ジルベスターの星から」
    山田ミネコ「冬の円盤」
    横山光輝「昆虫惑星」
    佐藤史生「金星樹」
    佐々木淳子「リディアの住む時に…」
    高橋葉介「ミルクがねじを回す時」
    水樹和佳子「樹魔」
    星野之宣「残像 AN AFTER IMAGE」

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著者プロフィール

1972年京都府生まれ。書評系ライター。小説や漫画のレビュー、文庫解説などを多数執筆。著書に『本格ミステリ鑑賞術』『本格ミステリ漫画ゼミ』がある。

「2019年 『劇場版シティーハンター 〈新宿プライベート・アイズ〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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