近代日本語の語彙と語法

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  • 東京堂出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784490204735

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  •  言葉の移り変わりを見ていくと世相が見えてくる。ラ抜き言葉一つとってみても変化がある。つい最近の現象かと思ったら、意外と歴史があると知って驚いた。大正時代末期から昭和初期にはすでにら抜きが使われていたとある。著書によると、「生粋の東京語というよりは方言の影響をうけて、地方出身者の多い山の手ことばでおこったものとみられる」と述べている。


     新しい標準語 首都圏ことばのように気づいてみたらそうなのかと思う言葉が載っている。「~ないといけません」、「~なかったです」、「~のとちがいますか」という言い方は、東京郊外特に西部で顕著な言い方とあり「へー」と思った。標準語だから、東京の山の手あたりから言われ始めたのかと思っていたから意外だった。言葉一つにも歴史ありだな。


     それにしてもこの本は結構な厚さだ。何しろ、500ページ以上あり、中には専門的な内容も含まれている。しかし、言葉に興味がある人にとっては、なかなか面白い本だ。発行されたのが2002年。10年たった今の言葉の動きについてどう思っていらっしゃるのか知りたいところだ。続編が出るとうれしいと思うが、昨今の出版業界の事情もあり一筋縄ではいかないかな。

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著者プロフィール

東京生まれ
東京教育大学(現・筑波大学)大学院博士課程中退。
香川大学教官・国立国語研究所言語計量第一研究室長・大阪外国語大学教授・学習院大学教授・東呉大学(台湾)客座教授を歴任。定年退職
モナシュ大学(オーストラリア)・カイロ大学(エジプト)・ネール大学(インド)・オーストラリア国立大学・上海外国語大学・北京/大連日語培訓部に出向。
専攻――近代日本語学・日本語語彙論・位相論
著書――
『国語語彙論』(明治書院、1978年)
『東京語――その成立と展開(明治書院、1983年)
『標準語』(誠文堂新光社、1991年)
『日本語の位相と位相差』(明治書院、1999年)
『近代日本語の文法と表現』(明治書院、2001年)
『近代日本語の語彙と語法』(東京堂出版、2002年)
『揺れ動く日本語』(東京堂出版、2007年)
『日本語雑記帳』(岩波書店、2012年)
『日本語スケッチ帳』(岩波書店、2014年)ほか

「2017年 『東京ことば その過去・現在・未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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