言葉の移り変わりを見ていくと世相が見えてくる。ラ抜き言葉一つとってみても変化がある。つい最近の現象かと思ったら、意外と歴史があると知って驚いた。大正時代末期から昭和初期にはすでにら抜きが使われていたとある。著書によると、「生粋の東京語というよりは方言の影響をうけて、地方出身者の多い山の手ことばでおこったものとみられる」と述べている。
新しい標準語 首都圏ことばのように気づいてみたらそうなのかと思う言葉が載っている。「~ないといけません」、「~なかったです」、「~のとちがいますか」という言い方は、東京郊外特に西部で顕著な言い方とあり「へー」と思った。標準語だから、東京の山の手あたりから言われ始めたのかと思っていたから意外だった。言葉一つにも歴史ありだな。
それにしてもこの本は結構な厚さだ。何しろ、500ページ以上あり、中には専門的な内容も含まれている。しかし、言葉に興味がある人にとっては、なかなか面白い本だ。発行されたのが2002年。10年たった今の言葉の動きについてどう思っていらっしゃるのか知りたいところだ。続編が出るとうれしいと思うが、昨今の出版業界の事情もあり一筋縄ではいかないかな。