教師のマルチタスク思考法―思考様式を変えるだけで子どもの「よさ」「課題」が手に取るように見えてくる「ながら指導」のススメ
- 東洋館出版社 (2021年4月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
- / ISBN・EAN: 9784491043838
作品紹介・あらすじ
子どもの「よさ」「課題」が手に取るように見えてくる!
マルチタスク思考で充実する「ながら指導」のススメ
「ながら」という言葉を聞いて、どのようなイメージをもちますか?
「テレビを見ながら勉強するのはやめなさい」といった叱責の言葉があるくらいですから、おそらくあまりよいイメージではないでしょう。実際、「ながら勉強」は、学習していることが頭に残りにくいなどと言われますから、否定的なイメージになるのは自然なことです。
しかし本書で提案したいのは、上記の考え方とは真逆です。すなわち、「ながら」を推奨するための本なのです。
私(松村)と共著者である三戸先生は、もうかれこれ10年間教壇に立ち続けてきましたが、解消できずにずっとモヤモヤし続けている疑問がいくつかあります。そのひとつがコレです。
「A先生は『センスがある』よね」と言うときの「センスがある」とは、いったい何なのか?
誰かを褒める(評価する)言葉であることに違いないのですが、それを口にしている本人も、言われている側も、それが具体的に何なのか、あいまいなまま言葉にしているように思うのです。これは、お互いの能力の多寡の問題ではなく、単に「これまで言語化されてこなかった」ブラックボックスなのではないか…と。
もしこのブラックボックスを解き明かすことができれば、子どもたちへの指導に対して悩みを抱えている先生方の手助けになるのではないか。そんなふうに考え続けた結果、たどりついたのが、「『マルチタスク思考』で周囲にアンテナを張り、『ながら指導』で対応する技術」だったのです。
一部を抜粋すると、次のような指導技術です。
“個別に指導しながら、クラス全体の理解度を推し量り、授業展開を調整する”
“発言している子どもの考えにうなずきながら、周囲の子どものつぶやきに耳を傾け、対話の糸口にする”
“クラス全体に向けて説明しながら、理解がおぼつかない子どもの様子を掴んで、机間指導に切り替える”
“子どもと楽しく遊びながら、子ども同士の人間関係をつかんで、クラスづくりに生かす” etc
決めつけるわけにはいきませんが、およそ子どもたちへの指導に悩みを抱えている先生方に共通していることがあるように感じています。それは、こういうことです。
「子どもの姿を見ているようで、実は見えていない」
視界には入っているのだけど、(よいことであれ悪いことであれ)そこで何が起きているのか、あるいは起きようとしているのかを意識していないということです。それを見える化し、次に打つ手立ては何かを「選択・判断」できるようにするのが、「マルチタスク思考」であり、「ながら指導」なのです。
感想・レビュー・書評
-
[読書]5 教師のマルチタスク思考法 松村英治・三戸大輔(2021)
第1章 理論編
マルチタスク思考で「ながら思考」を充実する
第2章 領域編
領域a 質の高い授業を実現する
領域b クラスにまとまりを生み出す
領域c 一人一人の思いに気づく
領域d 学校全体で子どもを育てる
第3章 事例編
マルチタスクを働かせる「ながら指導」の実際
第4章 活用編
「ながら指導」を活用するための考え方と条件整備
教師が経験の中で身に付けてきた「ながら指導」が体系化、言語化されている一冊。
「先生っていろんなことを同時にやっていてすごいなぁ。魔法が使えるんじゃないか」と思っている方におすすめでございにゃす。
今、しんどい思いをしている先生が読んだら、「これができないから苦労しているんじゃい!」ってなりそうだけれども、この思考を身につけられたら、教師も子どももwin-winだなぁって思いにゃした。
感覚を言語化することに挑んだ、松村先生と水戸先生すごいにゃぁ〜と思いつつ、何をして何をしないかを自分の中でもう一度見直して自分の教育方針を見直したくなりにゃした。詳細をみるコメント0件をすべて表示