国語授業の「常識」を疑え!

著者 :
  • 東洋館出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784491050898

作品紹介・あらすじ

「常識」には疑い方がある――
地道に成果をあげ続ける、土居正博先生の実践改善の裏側が丸わかり!
本書の概要
思考停止で前例踏襲の授業にも、「奇をてらう」だけの授業にも陥らない、地に足のついた実践改善の方法
●ぼんやりと存在している「常識」を見つける「目」が手に入る
●「常識」に気づいたときにすべきことが分かる
●多忙でも持続可能な実践改善の習慣が身につく
●土居先生の国語授業の「常識」の乗り越え方を追体験できる
だれでも、どの教室でもできる、ほんの少しの工夫で大きな効果を生みだす実践の創り方を提案します。

本書からわかること
そもそも「常識」ってなんですか?
――「常識を疑え」を考える
「これまでの常識はもう通用しない」「常識に縛られず、自由に考えて行動しよう」「常識を疑って、新しいものを生みだそう」……。
変化する社会に対応した学校づくりや授業改善が求められる中で、このような言葉を耳にする機会も増えているのではないでしょうか。
もともとは柔軟な思考と考え続けることの必要性を訴えるために叫ばれたこれらの言葉も、あまりに広く言われるようになり、もはや「常識を疑う」ことについて、思考停止で受け止めてはいないでしょうか。
確かな実践に定評のある土居先生は、「常識」を「適切に」疑うことの重要性を訴えます。
本書では、適切な疑い方で「常識」を乗り越えていくために、「常識」の性質をきちんと定義し、「常識」を疑うとはどのようなことかを一から見直しています。
本書では「常識」を「明文化されている、されていないに関わらず、多くの教師が『これはそういうものだ』『これはこうやるものだ』と捉えている説」と定義します。
そのうえで、「手法常識」や「概念常識」といった種類、明文化されている「常識」、されていない「常識」などと分析していき、疑うべき「常識」をあぶり出しています。

この「常識」のメリット・デメリット、いくつ説明できますか?
――「常識」にもよさがある
「常識」を疑うときの大前提は「常識=悪」ではないということです。
「常識」が「常識」となった背景には大きな長所があるはずなのです。
土居先生は、「常識」を疑い、乗り越えるときにはよさにも必ず目を向けるべきだと主張します。
「常識」の一般的なよさとして、①一定の効果がある、②持続可能であることを挙げ、「常識」を冷静に見ることをすすめます。
一方で、このよさと表裏一体をなす危険性として、①一定の成果しか出ない、②教師の思考停止を招くことを挙げています。
よさと危険性、どちらにも目を向けた上で、「常識」の乗り越え方を考えるのです。

感想・レビュー・書評

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  • 「現状維持は衰退」の考えのもと、目の前にある常識を疑い、絶えず考えと手法をアップデートしていく姿勢を示しています。

    自分自身囚われていた常識、例えば「物語を読ませてから最初に感想(初読の感想)を書かせる」など、にも気付かされました。

    そして、自分が常識に囚われているところはこだわりがないところ。だから、常識というか前例踏襲やそれまで行われていた手法、自分が受けた教育を踏襲してしまっていることにも気づきました。

    奇をてらったやり方ではなくても、少しでもさらに良い方法はないかを考えることは忘れないようにしたいと思います。

    これまでの自分の国語の授業を見直すきっかけになりました。

    以下、ピンときた提案
    1.教えたいことを間接的に問う
    2.初読では「あらすじ」を書かせる
    3.ある程度みんなで読んでから、問いを出させる
    4.根拠だけでなく、意見の理由付けを問う(~と書いてあるから、何ですか?)
    11.段落ピラミッドを使う
    20.書く意欲にこだわって指導する
    22.原稿を要約したもので話させる

  • ●読解では、根拠だけでなく、意見の理由づけを行う
    今まで叙述が示ればOKにしてたなぁ。
    「本当に思考力、表現力が伸びるのは理由づけについて考えさせ表現させるとき」とあって、はっとした。
    たしかに、ここって個人で違ってくるから取り上げると、考えた方も聞いた方も力が伸びそう。

    ●低学年なりの主題のつかませかたをしていく
    これは1年生でもやらないとなぁ。
    自分の授業を次にランクアップさせるために必要なことかも。

    ●構造の内容と把握をしつこく行う
    毎時間はじめにやるとのこと。
    確かに、説明文の構造って全員に理解させるの難しい。
    でも毎時間冒頭でさっと視覚的に復習するの、いいかも。
    算数ならマス計算まずやってから本時の授業、みたいな取り組み方。
    なるほどなーと思った。
    上の、低学年なりの主題の掴ませ方と関わってくるかも。

    ●段落ピラミッドを使う
    これも上の、内容と構造の把握にぴったりと思う。
    あの線で繋がってるやつよりずっとわかりやすい。
    大事な部分と、事例などを区別して押さえやすい。視覚的にもとってもいいと思う。

  • いつも思うが、土居先生の本は視点が素敵である。「たしかに!」「それそれ!」と、こっちが日ごろ何となく思っていたことを分かりやすい言葉で解説されている。今ある常識を否定するのではなく、改善していくというところも、現実的で取り組みやすいと感じた。「現状維持は衰退」といった言葉もあるように、タイトルにもある常識を疑うことは、日々成長していくにあたって欠かせない視点である。
    漢字や音読の指導については、これまでに出された書籍を読んで知っていたが、読む書く話すといった点においても、参考になる内容であった。

    ・まずは常識に気づくことから。
    ・こだわりがない=常識のまま
    ・専門を持つことで、変革できる。
    ・手法常識の改善を積み重ねることで、概念常識が覆る。
    ・改革したものが常識にならないように、絶えずブラッシュアップする。
    ・三角ロジックを大切に。(根拠と理由づけは違う)
    ・教科書は絶対正義ではない。
    ・まずは質より量重視で書く。

    本書の中には、私の好きな「AさせたいならBといえ」の話題も出てきた。子どもにやる気を出させてなんぼのこの仕事。日々精進!!

  • 常識を疑い、新たな実践を生み出していく思考法&思考法に基づいて考えられた今すぐ・来年度以降使える実践が満載。早速年明けからやってみようと思えるものもあるし、自分の成長のために、自分の興味のある教科で常識を疑ってみようと思えた。すごい本。

  • 自分がいかに常識にとらわれていたか、はっとさせられることばかりでした。教員になり、まだ数年の段階で本書に出会い、常識にとらわれていることに気づけたのがよかったと思います。
    コロナで研修もあまり受けてこなかった私にとって、身近にいる先輩方がしていることが正解だと信じて、踏襲しているところがありました。長年、現場で実践されている指導法にはメリットがあることを踏まえつつ、目の前にいる子どもたちに本当に合っているのか見直し、時には常識破りなことも視野に入れる必要があると感じました。

    土井先生の本を数冊読んでいますが、その中で本書にも取り上げられていた漢字指導や思考ツールの活用に今年は挑戦しています。今年の子どもたちには上手くはまったようで手応えも感じていますが、これが自分の中で常識になってしまってはこれまでと同じ。少しズレがあると感じることは修正、来年度に出会う子どもたちに合うアプローチをすることも念頭に入れておくことが、よくない常識を作らない1つの方法だと思います。

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著者プロフィール

1988年,東京都八王子市生まれ。創価大学教職大学院修了。川崎市公立小学校に勤務。国語教育探究の会会員(東京支部)。全国大学国語教育学会会員。全国国語授業研究会監事。教育サークル「深澤道場」所属。教育サークル「KYOSO's」代表。『教師のチカラ』(日本標準)編集委員。

「2022年 『子どもに一発で伝わる! 説明の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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