カルティエ 最強のブランド創造経営: 巨大ラグジュアリー複合企業「リシュモン」に学ぶ感性価値の高め方

制作 : 長沢 伸也 
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492503249

作品紹介・あらすじ

衰退しつつあった老舗や山奥の地場産業は
いかにして世界的企業グループに変身したのか?  

「歴史」「人」「土地」「技術」をブランド資源に変える戦略と方法論。


日本のものづくり企業はGAFAよりリシュモンに学べ!

感想・レビュー・書評

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  • ラグジュアリーブランド 絶対的で比較対象がないもの(≒プレミアム)
    歴史、土地、人物、技術  利便性以外のDNAや歩み
    人間が行う行為の質を高めるもの

    コングリマット  ブランドごとの売り上げ利益 非公開
     LVMH: ヴィトン、ロエヴェ、CD、ティファニー
     Kering: グッチ、サンローラン
     Richemont: カルティエ、ランゲ、IWC、パネライ、ダンヒル、クロエ
      時計宝飾75% 営業利益率20%以上 
      1988年南アフリカのたばこ工場から
      ①丈夫で長持ち、環境対応
      ②ディスクリート ラグジュアリー 高品質で控えめな商品
      ③永続的価値 クラフツマンシップ

    正統性ある歴史 =絶対価値  長さに意味を持たせる
    A.ランゲ&ゾーネ 歴史の発掘 
     東ドイツ側だっため戦後消滅、
     39年後の1990年、ジャガールクルト、IWCの社長が創業家4代目と設立
     ブレゲも同様に復活
    モンブラン 
     最高の品質をめざす 欧州の最高峰
     1997年 時計に参入 休眠ミネルバ(1858操業)を買収し歴史を書き換え
     「書く」「言葉」行為にスポットを当てた社会貢献プロジェクト
    カルティエ
     サントス、パシャC 依頼を受け製作したものが元
     タンク 第一次大戦のアリー戦車団をイメージして製作後に軍に贈呈
    ピアジェ
     ジュネーヴから車で3時間、鉄道の無い山間の集落に旧本社兼工場
     ファミリービジネスからリシュモン傘下へ ブランド名は変えない
     拡張 濃くないものは薄めることができない

    土地は聖地 まねることができない
    ピアジェ
     ジュネーヴから車で3時間、鉄道の無い山間の集落に旧本社兼工場
    モンブラン
     筆記具 ドイツ、時計 スイス、ジュエリー フランス、 レザー イタリア
    バーバリー
     トレンチコートの製造を海外から英国に戻す

    人物
     アライヤ ボディコンのの生みの親 タイムレスなデザイン 死後も継承
     IWC クルト クラウスの顔を時計に その教育者も称える

    技術
     ピアジェ ムーブメントの製造から時計メーカーへ
     パネライ 修理サービスで「スイス時計店」の屋号  ルミノール発光塗料
     ランゲ 洋銀製 二度組工程:一度組んで動作確認後、分解、仕上げ、組立

    手段が目的となることを趣味という(長岡鉄男)=感性価値ブランディング

  • 著者の経営に関する見解には疑問を持つものの、ブランド構築についての分析や事例はわかりやすく、歴史や人、技術や土地のストーリーなどを、ただ述べるのではなく、ブランドの資産として価値を伝え憧れや尊敬を喚起する必要があるというメッセージは非常に参考になった
    またラグジュアリーブランドは情緒価値<機能価値となるものであり、より一層人からの憧れを喚起する必要があると感じた

  • 読書会の歴代レポート(1冊がA4用紙2枚+αにまとまっています)は、PortalⅣの電子ファイルサイトから誰でも閲覧できます。
    「この本に興味はある!けど、読む時間はない…」という方は、ぜひそちらにアクセスしてみてください。
    KC>経営企画室>全グループ会社>05.読書会

  • カルティエと題していますが、リシュモングループの各腕時計ブランドについて記載されています。各ブランドの歴史やブランド哲学、各ブランドが持つ経営資源とその使い方についての記述が豊富。一方でラグジュアリー戦略の本筋部分は著者の長沢伸也氏の他の著書の方が詳しく記載されています。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/645801

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50257608

  • 読もうと思った理由
    ヨーロッパ企業のブランド経営について知りたいと思ったから

    気づき
    ・日本企業が参考にすべきはGAFAではない
    ・今こそ日本企業は、価格破壊に抗い、それぞれの業界
     における高付加価値化、高価格化を目指していかなけ
     ればならない
    ・価格競争から抜け出すために
    ①一人の顧客に生涯を通じていろいろ買ってもらう
    ②他社に真似されない技術で差別化する
    ③他社に真似されないよう知的財産権を獲得して阻止す
     る
    ④デザインなどの感性品質で差別化する
    ⑤ブランドイメージで差別化する
    ・ラグジュアリービジネスの特徴
     汎用品にはないブランド価値が付くことにより一般に
     高価格・高収益で高利益率
     世界の高所得層の増加(特にアジア)による売上増加
     期待
     価格競争に巻き込まれず、不況下でも大きく落ち込ま
     ない安定的な収益
     ファッションから車・酒・食品・生活用品まで幅広く
     含まれる
     欧州に多く存在する
    ・リシュモンは得意分野に注力して稼ぐ「得手に帆を揚げ
     る経営」である。時計・宝飾分野
    ・個別ブランドごとの財務内容は秘匿
     持ち株会社のメリット
    ・歴史は無料の広告ツール
    ・創業何年など言いっ放しではだめで歴史が長い以外を
     強調する
    ・名士や王侯貴族から依頼されなくても、自ら歴史的出  
     来事や人物と関連性を一方的に作るという方法もある
    ・社会貢献事業、美術や芸術振興の活用も、歴史が創出
     する価値をセールスに使い、社会貢献に結びつけて潜
     在顧客へのアクセス手段に伸長する方法で、ラグジュ
     アリーブランドでは業界標準といっていいくらいどの
     ブランドでもやっている
    ・誰も知らない土地を知らしめ、普通の顧客しか来なか 
     ったのを、高級な場所やお洒落な場所に旗艦店を出す
     ことで、高級な顧客やお洒落な顧客にアクセスが可能
     になる

    日本のものづくり企業の再興に関する知恵がたくさん書かれており、大変勉強になりました。

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著者プロフィール

早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS)教授、工学博士、仏ESSECビジネススクールおよびパリ政治学院各客員教授。世界で2番目となるLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン寄附講座教授等を歴任、英文学術誌の編集委員・編集顧問、商品開発・管理学会会長、日本感性工学会参与(元副会長)。著書に、『ルイ・ヴィトンの法則』(東洋経済新報社、2007年)、『シャネルの戦略』(同、2010年)、『ラグジュアリー戦略』(翻訳、東洋経済新報社、2011年)、『ラグジュアリー&ファッション企業のマネジメント』(翻訳、東洋経済新報社、2013年)など。

「2022年 『究極のブランディング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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