人材マネジメント論―儲かる仕組みの崩壊で変わる人材マネジメント (BEST SOLUTION)

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492532119

作品紹介・あらすじ

前著『人材マネジメント論』は、人材マネジメントを経営的な視点からとらえ、企業経営における人材マネジメントの方向性を示したものであった。本書はその内容をさらに一歩進め、現在そして将来予想される経営環境のなかで、企業が直面するであろう課題を考慮し、大幅に書き改めたものである。

感想・レビュー・書評

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  • HRMを深く、幅広く学べる良書。

  • 2006年に出版された本だが、やや会社事例が古くなったとはいえ、現在にも通じる人材マネジメントの原則を解説してくれている本だと思う。仕事でタレントマネジメントを扱う機会が出てきたので4年ぶりに再読したが、改めて勉強になった

  • なぜなら、人の成長というのは偶然の要素による部分があまりにも多すぎるからだ。だから三年後、五年後にこうなっていたい、こういう能力を身につけたいと計画しても、なかなかその通りにはいかないし、逆に五年間で長足の進歩を遂げた新人を育てたのは誰かと会社の中で尋ねれば、おそらく三〇人くらいから手が挙がるのではないだろうか。ところが当の本人に尋ねてみれば、自分の力で育ったのだということだろう。
    →育てられた方は、わからないんでしょうね・・・

    教育研修はインプット管理しかできない。アウトプット管理にはなじまないのである。
    →学び

    マニュアルに慣れすぎた現場の人間が思考停止になってしまって、自律的にものを考えられなくなってしまうことにある。
    →バランスを保つことが大事

    ビジョン実現のための期待行動を担うであろう人材像を想定する際、あらかじめその人材の保有能力を、能力の定義とともに、きちんと把握しておく必要がある。
    →中途採用のポイント

    人間の能力にはどんなものがあって、それらは採用時に合否の対象として考慮すべきか、それとも採用後あるいは職務配置の際、ひとつの適性として扱えばいいものなのか。さらにそれは育成可能なものなのか、それとも不可能なものなのか。あるいはいつごろどのようにすれば育成可能なのか。
    →中途採用のポイント

    《個人の仕事の成果=期待成果イメージ×能力×コミットメント》
    →成果の分解

    スキルと思考・行動特性の違いは、簡単にいうとスキルが学力テストの点数だとしたら、思考・行動特性のほうは、その点数をとるのに必要な学習能力
    →行動の分解

    長期雇用契約は経営にとってもメリットが大きい。人件費を減らすことができるというのもそのひとつ。アメリカ西海岸で行われた調査では、中堅エンジニアがひとり退職した場合、代わりの人間を採用するのにエージェントに支払う金額や、新しい人が決まるまでの派遣社員の給料、さらに新しい人の教育研修費などを合算したリプレースメント・コストというのは、そのポストで働く人の平均一八か月分の給与と同額というデータ
    →採用コスト

    そこで社内公募やFA制度、自己申告といった社内流動性の活用が必要
    →自社でも必要?

    自ら学んで自己変革しようとしない上司が、部下が自己啓発に励むのを決して喜ばないのも問題だ。そういう上司から、俺の知らない専門用語を使うなと怒られたり、社外スクールで勉強する暇があるならもっと残業しろと嫌味をいわれたりすれば、せっかくの学ぼうとする意欲が失せてしまうのもいたしかたない。
    →週報に・・・・

    昇給とか出世といった「外的キャリア評価」だけがキャリアを測る唯一の評価軸では、組織は機能しなくなってしまう。そこで一人ひとりが、自分らしい幸せなキャリアとはなんなのかを考える「内的キャリア評価」に、キャリアの基本的概念を変えていく必要が出てきた。
    →論点

  • かなり前のものですがあまり古めかしいところはない印象。ワークライフ・インテグレーションについては後書でしか触れていないので、本文中で一章を割いて論じても良かったのでは...。

  • セッションの課題図書。
    働き方改革のセミナーとかでも話を聞いたことのある高橋先生の本。
    事業戦略の両輪となる人材マネジメント。組織の在り方が変わってきているのに、一対一の互酬性が基本となっているOJTには限界がある。目的を達成するためにはどのような組織、人材マネジメントが必要なのか。
    って、難しいよな。とにかく、思い付きではうまくいくはずがないので、人事も科学なんだなと改めて思う。

  • ベーシックトラストの話?

  • 大局的な観点から人事のトレンドを知るのに最適
    明日からすぐ役立つ類の本ではない

  • 推薦本

    これまで人材関連の本をほとんど読んでこなかったので始めての内容が多く新鮮だった。

    経営関連の知の体系として人材論というものを個別のものとしてとらえていたが、組織が目指すべき方向性や形態などが変化することに伴い、組織に必要な人の能力や特性も変化するのでセットで考えるべきものであることを認識しなくてはならない。

    また近年、企業が必要とする人材像が分からなくなっていきているとR社の方が話していた。どの企業の説明会に行っても論理的思考力、コミュニケーション力、チャレンジ精神の3つばかりがでてくるのもその現れなのかもしれない。

    モノやサービスが作れば売れる時代ではなくなったのでトップダウンではなく各々が考え行動し、検証する自律的な組織、人となることが必要である。

    組織の3大資本であるヒトは自分が思っていた以上に大切だ。人がダメになった組織はモノやカネ以上にダメージは大きいだろう。

    以下メモ

    事業ビジョンを明確にせずして必要な人材像は見えない。
    近年の傾向としてトップダウンの命令系統(ピラミッド組織)に忠実に動く人材ではなく、顧客接点を重視した人が求められる。(すなわち自律的に判断、行動のできる人)

    人材マネジメントの3分野
    組織マネジメント(分子)、人材フローマネジメント(分子)、報酬マネジメント(分母)

    弱い絆が思いいがけない成果を生み出す?

    人材の分解
    スキル、思考力、思考・行動特性、動機
    前者2つは後天的に身につけることはできる。(ただし最低限の力がなければ仕事にならない。最低限のラインを超えると仕事の出来との相関性はない。)
    後者2つは変化するのは難しい。ここは見誤りたくない。

    スペシャリスト 特定分野の専門性(スキル)を持った人
    ジェネラリスト スキルが特定の分野に特化したものではなく汎用性の高いマネジメントスキルを持った人
    プロフェッショナル 問題を特定し、分解し、実行、検証を自ら回せる人間。特定分野の専門性が前提となる。複数分野持っていると強い

    雇用形態とキャリア形成
    Hire and Fire 非正規雇用
    Up or Out 外資系、官僚
    終身雇用(≒長期雇用) これまでの日本

    採用
    ポテンシャル同化採用 (いわゆる採用、可能性、伸びしろを見据えた上での採用)
    思考力採用 (ケース面接など)
    open position driven採用 (ポストが開いたら採用、アカポス)
    コンピタンシー採用 (成功者の強みの特性と似た人を採る)

    雇用形態、採用方法はどれがよいというのではなく組織のビジョンや業務形態によって変わってくる。今はその形態が大きく変わり始める過渡期なのだろう。

    キャリア自律支援は言い換えるとリストラの免罪符である。
    日本の終身雇用を単に古い雇用形態ということはできない。良い面もたくさんある。(再雇用にかかるコスト、長期的視点での人材育成、環境変化による社内流動性の高さ、人生設計のしやすさ)

    具体的な命令ではなく組織の目指すべき方向性を示す。

  • 人材を活用するという雇用者の視点からだけでなく、自分がどのような人材になれば企業から欲しいと思ってもらえるのか、という非雇用者の視点で読んでも面白いと思う。

  • 読みやすい

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著者プロフィール

高橋 俊介(タカハシ シュンスケ)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任教授
1954年東京都生まれ。
2000年に慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。個人事務所による活動に加え、湘南藤沢キャンパスのキャリア・リソース・ラボを拠点とした個人主導のキャリア開発や組織の人材育成についての研究に従事。2011年より、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。2022年4月より、現職である慶應義塾大学 SFC研究所上席所員。キャリア形成、人材マネジメント、リーダーシップ、働き方改革などに確かな知見を有し、本質を見抜く目に定評がある。
沖縄県那覇市にも事務所兼住居を持ち、1年のうち3割は沖縄で暮らしながら仕事をしている。
主な著書に『キャリアショック』『21世紀のキャリア論』(以上、東洋経済新報社)などがある。


「2022年 『キャリアをつくる独学力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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