- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492533574
作品紹介・あらすじ
・なぜこんなにも失敗するのか?
買収から10年以上経った100億円以上の海外M&A116件を精査。
成功例は9件のみ、売却・撤退に至った案件は約半数の51件。
失敗案件の買収総額は2兆8000億円。
・数多くの失敗例を通じて見えてきた「失敗の本質」を整理して紹介!
失敗例8ケースから、失敗の本質を見極める。
1 時間を買う
2 世界市場占有率を高める
3 相乗効果(シナジー)を生む
4 現地の有能な経営者・技術者を獲得する
5 円高を利用する
こんな5つの利点にご用心。利点に潜む罠がある。
デューディリジェンスやバリュエーション、PMIは
「失敗しないための作業」であって、成功を約束するものではない。
など、思わず考えさせられる指摘が満載。
・日本企業の成功例9ケース、さらに130件以上の買収を実施して成果をあげた
IBMの事例も紹介。成功に共通の要因を見極める!
教訓1 目先の利点でなく利益成長の可能性でディールを評価する
教訓2 10年の時間軸で買収後の戦略を思考する
教訓3 現地で事業を紡ぐ/1つ買収したら、1つ捨てる
・重要なのは、買うときよりも買った後! 買収後の経営ビジョンの大切さがわかる。
感想・レビュー・書評
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かなり丹念に事例を集めて丁寧に紹介している部分は良いのだけれども、それで終わっている。
多数の事例紹介の本に留まっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
失敗例も成功例もそれぞれ。失敗例が圧倒的多数であることは定説どおり。
あげられている成功要因のうち、後続の買収案件有無は因果関係が逆ではないか。
一貫した戦略と、環境変化に合わせる柔軟性と。
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いまいち。
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海外買収の事例の評価が多く、参考になる
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結構当たり本。成功失敗を定義してそれぞれの例から共通点を引き、間にケースを交えるというまあスタンダードな作りで、読み物として面白い。学術書としては、例えば教訓として経営者が10年以上在位していることが海外M&A成功の秘訣の一つに挙げられているが、因果関係が逆である可能性は?といったところなど。また、サンプル数が取れないので確かさにはやや弱さが。この分野では仕方のないことですが。
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最近、ソフトバンクの決算発表に関する記事が載っていた。その中でも、アメリカ携帯電話3位のスプリントに関する情報があった。少しは上向いてきているようだが、5年後、10年後になってこの買収が成功例に載るかどうかは、孫会長の手腕にかかっている。
今回の本でも、「1兆円超の大型ディール、買収の勝算」と言いう形で、取り上げられている。本当は、アメリカ携帯電話4位のT-Mobileも買収したかったのだが、司法省がうんと言わなかったので、スプリント単独でアメリカ事業を展開することとなった。
日本企業が海外企業を買収してどうなったかをいくつかの条件をもとにして判断したのが116件だ。そのうち成功しているのは、8%。失敗したのが44%、負も可もないのが48%と厳しい結果が出た。
海外の企業を買収しても、人財や資源を使いこなすことができるかどうかにかかっている。現地の人間にまかせっきりにして失敗した例がある。それどころか日本本社自体が消えてしまった悲惨なケースもある。
外国の企業を子会社にして口先だけのグローバル化を唱えても、「RINGISHO」などと言う日本でしか通用しない書類を作成して転送したり、子会社の経営陣が全員あるいはほとんどが日本人では、買収された企業の人はついてこない。
タイミングと経営陣の方針次第でいい買い物になるか不良債権のかたまりになるかが決まる。バーゲンセールとはわけが違うので厳しい買い物だ。
ソフトバンクに関する記事
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LE0E220150210 -
松本茂著「海外企業買収失敗の本質」東洋経済新報社(2014)
*海外M&Aで経営者が謳う5つの利点。
(1)時間を買う、(2)世界市場占有率を獲得する、(3)シナジーを生む、(4)現地の有能な経営者の獲得、(5)円高を利用する。
*海外M&A成功判定基準
・買収後4年目を始点として、対象事業セグメントと地域/海外セグメント営業利益両方で最高益更新率50%以上を実現したケースを成功とする。
・買収後に自社が破綻、あるいは買収した事業を売却、撤退したケースは失敗とする。
*時間軸を買う
成功例:10年の長期で持続的な利益成長に照準
失敗例:買収後の短期的な株価や業績を重視
*10年の時間軸で買収後の戦略を考える。
・国内事業とのウィンウィンに固執しない。
・現地マネジメントん経営を任せない。
・大型海外M&Aは長期経営執行するトップの下で行う。