両利きの経営(増補改訂版)ー「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492534519

感想・レビュー・書評

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  • 深化と探究は
    市場と組織能力の掛け算

    既存×既存=領域A (深化)
    新規×既存=領域D
    既存×新規=領域C (深化)
    新規×新規=領域B (探究)

    比較
    Amazonの成長過程
    ブロックバスターとネットフリックス
    コダックと富士フィルム
    シアーズとウォルマート
    オメガとSEIKO

  • DX・コロナ時代の生き抜きは「両利きの経営」。増補改訂版は世界のイノベーション理論を具体的な事例で解説し、既存事業を強化しつつ新規事業を開拓する戦略を提示。企業文化とイノベーションの規律に焦点を当てた新章も追加。ネットフリックス、アマゾン、富士フイルム、AGCなどの事例から得た知見が、多くの企業に示唆を与える。

  • 解説 入山章栄
    いま何よりも「両利きの経営」が求められている
     本書の四つの価値と、増補改訂版の特徴
     本書のポイントとなる重要理論の概説
      両利きの経営
      深化に偏った先にある、サクセストラップ
      ダイナミック・ケイパビリティ
      イノベーションストリーム
      VSR(多様化・選択・維持)プロセス
     各章の位置づけと注目ポイント

    推薦の言葉 スティーブ・ブランク

    日本の読者の皆さまへ

    両利きの経営
     はじめに

     第Ⅰ部 基礎編 ディスラプションに向き合うリーダーシップ
      第1章 イノベーションという難題
       1 組織の進化を牽引するリーダーの存在
       2 破壊的イノベーション論の限界
       3 市場と組織能力で捉えるイノベーションストリーム
       4 本書の構成

      第2章 探索と深化
       1 組織アラインメント 戦略との整合性をとる
       2 イノベーションを阻むサクセストラップ
       3 アマゾンの探索と深化のモデル
        フェーズ1 書店からオンライン・スーパーストアへ(1994~2000年)
        フェーズ2 オンライン・プラットフォーム(2001~05年)
        フェーズ3 クラウドサービス・プロバイダになる(2006年以降)
       4 探索と深化に向けた戦略と実行
        結論

      第3章 イノベーションストリームとのバランスを実現させる
       1 シアーズ 成功からの凋落
        成功のストーリー
        失敗のストーリー
        成功のパラドックス
       2 ボール社 140年の成長軌跡
        ブリキ缶から宇宙航空事業へ
        ボール社はなぜ成功したのか
       3 どうすれば時の試練に耐えて組織は存続できるのか
        イノベーションストリーム
         富士フイルムとコダックの比較
        領域A 既存の組織能力、既存の市場
        領域B 新しい組織能力、新しい市場
         スイスの腕時計産業
         カジノ運営企業
         新聞社
        領域C 新しい組織能力、既存の市場
         ファイアストン
         RCA
        領域D 既存の組織能力、新しい市場
         大手航空会社と格安航空会社
        破壊的イノベーションとイノベーションのジレンマ
       4 戦略的インサイトと戦略的実行
        リーダーシップ
        組織アラインメント
        結論

      第4章 競争優位/競争劣位としての組織文化
       1 組織文化とは何か
       2 規範が行動に及ぼす影響
       3 組織文化と戦略を調和させる
       4 リーダーはどのように文化を創出し、マネジメントするのか
       5 組織文化の創出と変革のメカニズム
        ①リーダーの言動
        ②社会活動やセレモニーへの参加
        ③ストーリー、専門用語、シンボルを用いた明確なシグナル
        ④入念に設計された報酬制度
        ⑤整合性のとれた人事制度
       6 組織文化と両利きの組織
        結論

     第Ⅱ部 実践編 イノベーションのジレンマを解決する
      第5章 七つのイノベーションストーリー
       1 両利きの経営の成功事例
        USAトゥデイ 新聞を自己改革する
         ネットワーク戦略を遂行する
         USAトゥデイの事例から学べること
         その後の展開
        チバビジョン 探索に命運を懸ける
         結果
         チバビジョンの事例から学べること
         その後の展開
        フレックス スタートアップを育てる
         深化で浮かび上がった課題
         離れた場所での探索
         フレックスの事例から学べること
         その後の展開
        ダヴィータ 新規事業に挑む
         調剤薬局事業「ダヴィータRx」
         ダヴィータの事例から学べること
         その後の展開
        HPのスキャナ部門 「準部門」という選択
         主力のフラットベッド・スキャナ事業
         迷走するポータブルスキャナ事業
         仮想スタートアップ組織の立ち上げ
         HPの事例から学べること
         その後の展開
        サイプレス・セミコンダクター 起業家連合を形成する
         アイディア創出
         スクリーニング
         立ち上げ
         マネジメント
         卒業
         結果
         サイプレスの事例から学べること
         その後の展開
        AGC コモディティ化からの脱却
         AGCの事例から学べること
         その後の展開
       2 七つのケースから抽出される強みと弱み
        両利きならではの強み
        両利きであるがゆえの弱み
       3 リーダーに求められる三つの行動

      第6章 実行面で成否を分ける紙一重の差
       1 正しく実行する IBMの両利きの経営
        IBMの進化 成功、失敗、そして成功
        探索と深化 新たな事業機会
        組織の進化と適合 EBOのプロセス
        多様化 新しいEBOの設立
        選択 実験を行う
         上位層が積極的かつ頻繁に支援する
         熱意のある最優秀人材をリーダーにする
         規律ある全社横断的なアラインメントを行う
         資源を別枠で確保して監視することで、早まった削減を避ける
         行動を重要なマイルストーンと結びつける
         クイックスタート、クイックストップ
        維持 探索事業から成長事業への移行
        ライフサイエンスEBOはなぜ成功したのか
        その後の展開
       2 「ほぼ」正しく実行する シスコの機能横断型組織
        カウンシル・アンド・ボード
        テレプレゼンスのひとまずの成功
        その後の展開
        結論

      第7章 イノベーションの三つの規律
       1 破壊的変化に適応する
       2 アイディエーション 着想を表出させる
        オープンイノベーション
        コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)
        デザイン思考
        従業員の積極的な参加
       3 インキュベーション 新たなアイディアを検証する
        リーン・スタートアップ
        ビジネスモデル・キャンパス
       4 スケーリング 新規事業の成長
        買収
        パートナー
        構築と活用
       5 破壊的イノベーションに挑む
        アマゾンのイノベーション
         アイディエーション
         インキュベーション
         スケーリング
        インテルのイノベーション
         アイディエーション
         インキュベーション
         アクセラレート、スケール、変革
       6 事例に学ぶ三つの規律のポイント
        アイディエーションのポイント
        インキュベーションのポイント
        スケーリングのポイント
        結論

     第Ⅲ部 飛躍する 両利きの経営を徹底させる
      第8章 両利きになるための四つの要件
       1 両利きの成功事例に見られる共通項
       2 戦略的意図 組織能力と資産を活用する
        領域A 戦略的に重要ではなく、オペレーションとの関連性も低い
        領域B オペレーション面での関連性はあるが、戦略的に重要ではない
        領域C 戦略的に重要だが、現状の資産や組織能力が生かせない
        領域D 戦略的に重要で、中核となる組織能力を生かせる
       3 経営陣の関与と支援
       4 両利きのアーキテクチャー
       5 共通のアイデンティティ ビジョン、価値観、組織文化
       6 なぜ四つの要素が必要なのか

      第9章 両利きをドライブさせるリーダーシップと幹部チーム
       1 困難な状況に加担するリーダー
        ハヴァスのデイビッド・ジョーンズの場合
        NASAのジェフ・デービスの場合
       2 探索事業と深化事業を牽引する
        マイシス 一貫して矛盾する
        BTのベン・ヴェヴァイエン リーダーシップスタイルの刷新
        ゼンサー・テクノロジーズのナタラジャン 懐疑的な幹部チームから庇護する
       3 両利きの組織を導く 本業と探索事業のバランスをとる
        第一原則 心に訴えかける戦略的抱負を示して、幹部チームを巻き込む
        第二原則 どこに探索と深化との緊張関係を持たせるか、明確に選定する
        第三原則 幹部チーム間の対立を回避せずに、向き合う
        第四原則 意図的にユニットごとに異なる基準を課して「一貫して矛盾する」リーダーシップ行動を実践する
        第五原則 探索事業と深化事業に関する議論や意志決定の実践に時間を割く
       4 幹部チームの皮肉と自己刷新
        結論

      第10章 成功し続けるために
       1 戦略的刷新が適切かどうかを理解する
        ①業績のほとんどは、成長機会が限られた成熟期の戦略によるものか
        ②自社戦略の移行につながる製品、サービス、プロセスの機会はあるか
        ③中核市場の外部に機会(または脅威)はあるか
        ④その機会は、自社の中核となる組織能力やアイデンティティの脅威となるか
       2 IBMの戦略的刷新(1999~2008年)
        受け継がれてきたアイデンティティを見直し、更新する
        戦略計画をつくり替える
        戦略リーダーシップ・フォーラム
       3 ハイアールの戦略的刷新(2004~14年)
       4 戦略的刷新をリードする
        ①成長に向けて、感情移入のできる抱負を定める
        ②儀礼的な文書化された計画プロセスではなく、対話として戦略を扱う
        ③今後起こることを教えてくれる実験を通じて成長する
        ④リーダーシップコミュニティを刷新活動に巻き込む。少なくともトップ層からの圧力と同程度の圧力がボトムアップで生まれるようにする
        ⑤実行のための規律を持たせる。刷新は残業でこなせるほど甘くない
       5 最初の問いに戻ろう
    Stanford Business Books「Lead and Disrupt: How to Solve the Innovator's Dilemma」 2021年9月

    第1版解説 冨山和彦
    イノベーションの時代の経営に関する卓越した指南書
     経営的リアリズム イノベーションは迷惑千万!?
     両利きの経営とハイブリッド型経営
     両利きの経営をいかに実現するか
     第四次産業革命の時代を生き抜く知恵がここにある
    東洋経済新報社「両利きの経営」 2019年2月

    増補改訂版解説 冨山和彦
    DX・GX時代の「両利きの経営2.0」の登場
     コロナ危機によるDX革命の拡大・加速にあなたの会社はついていけるか?
     サステナビリティ革命、GX革命は私たちをさらに窮地に駆り立てる
     破壊的イノベーションを競争力、成長力に転化する組織能力の変容とは
     日本企業が直面する二つの罠
     経路依存症を打破し、本書を手に「両利きの経営」ジャーニーへ!

  • 良いことを言ってるし、いろいろ調べた結果なので納得感もあるが、長い。もっと端的にまとめられると思う。

  • 厚かったので「はじめに」に書かれているように 2、7、8 章だけ読んだ。イノベーションの種は徹底した顧客志向から出てくること、「両利き」の本質的な難しさ(目の前の儲かる事業に投資するほうが短期的にはメリットが大きい)、イノベーションをステップ毎に評価する仕組みが大事、ということを学んだかと。

  • 深化と探索の両方を行う際の難しいポイント、それに対して特にリーダーがどう対処するか、成功例失敗例について述べた本。
    企業を継続して経営するためのリーダーシップの話が主だが、各社がどのような工夫をしているかが参考になった

  • ●両利き経営
    ◆両利き経営とは、 
    不確実性の高い探索、安定した収益を深化の両者を高レベルで行うこと
    ◆両利きの強み
    ①探索ユニットが大組織の資産を活用できる
    ②上層部が支援している
    ③探索ユニットを大組織から分離している
    ◆両利き経営に必要なもの
    ・ターゲットを絞り込んだ統合
    ・新規事業に対する経営上層部の強力な支援
    ・組織全体のアイデンティティ等の高度な分離
    ◆両利き経営に必要なスキル
    ・アイディエーション
    ・インキュベーション
    ・スケーリング
    ◆探索と深化
    ・深化は効率性/生産性/差異減が重要
     探索は要求の高い調査/発見/差異増が重要
    ・探索と深化の両立には異なる組織設計が必要
     サブユニットに分けるだけではなく、
     ビジネスモデル、組織能力、システム、
     プロセス、インセンティブ、文化も分ける

    ●文化
    ◆文化の考え方
    ・文化は潜在的な競争優位性。成功のkey
    ・企業を変革するには、文化の理解が必要
    ・文化はマネジメント可能。
     (文化:人とシステムで強調される行動パターン)
    ・強い文化は模倣困難な価値観/競争優位に繋がる
    ・文化は戦略実行のうえで極めて重要な要素
    ◆文化の捉え方の3つのレベル
    ①無意識的/当然とされる前提認識や信念
    ②支持/実践される規範や価値観
    ③目に見えるが解読しにくい文化的な人工物
    →リーダーが行うべき本当に重要な唯一なことは文化の創出とマネジメント

    ●リーダー
    ◆両利き経営のリーダーが使うメカニズムや変数
    ①リーダーの言動
     同じMSGを聞き飽きるほど発信
    ②社会活動やセレモニーへの参加
     当事者意識/文化へのコミットを強化
    ③ 期待される言動を明確に発信
     ストーリー/専門用語/シンボルを用いる
    ④ 入念に設計された報酬制度
     期待される行動と報酬の完全一致
    ⑤ 整合性のとれた人事制度
     成果を上げても文化に合わない人材は排除
    ◆リーダーに求められる3つの行動
    ①新たな探索事業が新しい競合に対して競争優位に立てるような、既存組織の資産や組織能力を突き止める。
    ②深化事業から生じる慣性の力が新規事業の勢いを削がないように、経営陣が支援して監督する。
    ③新規事業を切り離し、成熟事業の介入や「支援」なしに、成功に向けて必要な人材、構造、文化の整合性をとれるようにする。
    ◆リーダーの課題
    ・異なる三つのプロセスを設計することだ。
    ①新しいアイディアを繰り返し生み出すこと
    ②企業資産や組織能力の活用対象を見極めること
    ③新事業を大きくして高収益ビジネスにすること
    ・そのために三つの革新の規律への熟達が必要
    ①可能性を秘めた新規事業を見つけて発展させる「アイディエーション」
    ②そのアイディアを市場で検証する「インキュベーション」
    ③既存の資産や組織能力を再配分して新規事業の成長を支援する「スケーリング」
    ◆リーダーが躓く理由
    ・文化を強力/社会的な統制機能と認識してない
    ・上級リーダーが自身の行動を変えない
    →文化を計画的に設定しない場合は
     2/3は偶発的、残りは間違いに繋がる

    ●事例
    ◆Amazonの戦略の成功要因
    ①全体的な戦略的意図がある(顧客と低価格重視)
    ②共通のアイデンティティがある
    ③足並みの揃ったシニアチームがある
     社内資格者が上級職を選考
    ④分権型権限移譲により結果の説明責任がある
    ⑤リーダーに葛藤を許容する能力と
     破壊的変化を追求し続ける勇気がある。

    ●その他
    ・戦略の実行とは適合性のある組織にすること
     適切な人材を配置→意思決定者が正確な情報を得られるような構造にする→適切な対象を評価して報奨を与える→KSFを満たすために必要な行動を促進する文化を持つことが重要
    ・やると言ったことをやらないなら、良いプランがあってもなくても関係ない。実行がすべて

  • 自社もまさに両利きの経営を求められる立場だが、自分が行なっているのは深化領域の取り組みだけである。管理部門ではあるが、深化にとどまらず、探索領域の取り組みを見出したい。

  • 深化と探索

  • 広く浅くアンテナを張らないとこれ一本の強みにしがみついていては生き残れない企業の姿が複数の例を用いて紹介されている。Amazonの発展の歴史など勉強になった。

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著者プロフィール

スタンフォード大学経営大学院教授。米国を代表する組織経営学者であり、「両利きの経営」の提唱者。カリフォルニア大学バークレー校で経営学修士(MBA)、組織行動論の博士号を取得。同校教授、ハーバード・ビジネススクールやコロンビア・ビジネススクールの客員教授を経て現職。専門はリーダーシップ、組織と企業カルチャー、人材・人事マネジメント、イノベーションなど。主な著書に、『競争優位のイノベーション』(ダイヤモンド社)、『両利きの経営』(東洋経済新報社)。

「2020年 『両利きの組織をつくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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