- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492555859
作品紹介・あらすじ
マーケティングはもういらない。市場は攻め入る場ではない。企業も消費者も関係なく、仲間になって、みんなの力を味方にすることが必要になってきている。いかに「みんな」の仲間に入って、みんなに支持してもらい、みんなから味方してもらえるかが、企業の強みとなってくるのだ。
感想・レビュー・書評
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ソーシャル性についてわかりやすく解説している。
「知識創造企業」で説く知識の4つのマトリクスをインターネットで置き換える概念は勉強になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●No.29
p.37 「つながる化」〜「6次の隔たり」・「Web2.0」(発信力(ネット、ブログ)を得た消費者と企業の関係の変化)
p.46 「マッシュアップ」〜元々は音楽用語(複数の曲を合わせて1曲のようにミックス)。
プログラミングでのマッシュアップは、複数のAPI(Application Program Interface〜プログラムの約束や関数や 命令等)を組み合わせて、1つのウェブ上のサービスの様にして使える事を指す。
p.48 「協調フィルタリング」〜広告の個別化。興味と広告をマッチング。
p.58 ◎「孤独な群衆」(デイヴィッド・リースマン/みすず書房(1964-02)
〜常に他人や周りの人たちの目を気にして承認を求める一方で、社会に対して無力感や孤独感を持つ現代人を分析している。
p.69/229 【「企業がウェブ空間に求めるもの」は『リスペクトされる存在になる事』】
(本書では「リスペクト」を「尊敬」という硬い意味ではなく「関心を持たれ、経緯や好意を持たれること」と定義)
p.76 【AISAS】(電通が提唱・商標登録)
1.Attention(注意) 2.Interest(興味) 3.Search(検索) 4.Action(行動) 5.Share(共有)
〜しかし、選択肢の多いウェブ環境には3.検索→4.行動という一直線型のモデルは合致しないのでは?
p.79 ◎「影響力の武器[第二版]」(ロバート・B・チャルディーニ/誠信書房(2007-09-14)
〜人は自分の行動を一貫したものにしたいと、と動機付けられているという。
p.125〜126 【カスタマー・コンピタンス】
(ミシガン大学のC.K.プラハラッドとラマスワミ両教授が提唱:企業は消費者を「売る対象(=外の存在)」
としてしまわないで、「自分たちの仲間」と位置づけることによって、消費者の力を活用できるようになる)
→企業と消費者が価値を共創:↓そのプロセスに必要なもの×4
1.対話(Dialogue) 2.利用アクセス(Access) 3.リスク評価(Risk assessment) 4.透明性(Transparency)
p.139 【情報財の特性:1.コピーが廉価 2.非競合性】
(2.非競合性:食べ物や服等、使うと無くなったり、一度に一人しか使えない財とは異なる)
〜しかし、「補充」は必要。(怠ると「共有地の悲劇」(ギャレット・ハーディンという生物学者が1968年に『サイエンス』誌に 発表)に(本書p.156に記載あり))
p.151 【ユーザー・イノベーション】:企業ではなく、ユーザーから生まれたイノベーションや新製品やアイデア。
◎「民主化するイノベーションの時代」(エリック・フォン・ヒッペル/ファーストプレス(2005-12-09)
〜これまでのメーカー主導のイノベーションの時代から、愛好家、ユーザーによるイノベーションの時代へと移ってきていると、
豊富な事例を挙げげて説明。
p.178〜179 【「書き込まれる」ためには絶えず動く〜ブログのテーマ(話題)×3】
IBMアルマデン研究所のダニエル・グルール(Daniel Gruhl)氏らの研究(2004)による。
1.「スパイク(釘)型」〜釘の様に、すぐに立ち上がって、消えていくテーマ。その時一瞬だけの話題。たいてい4日前後。
2.「チャッター型」〜1.と反対に絶え間ないおしゃべりの様に続いていく、いつも絶えずどこかで語られている様な話題。定番
3.「スパイクチャッター型」〜いつも絶えず語られながら現実のニュースや動きにも反応するもの。
P.188 「商品」は定番化を目指しつつ、効果的に話題を提供していかなければ
「評判」(レピュテーション:reputation))が保てず、消えてしまう。
P.194 【ブログのつながり方】×2
1.シングルリンク(利点:ブロガーの間の相互作用がなく情報の変容が少ない)
2.マルチリンク(利点:1.ブロガーたちが情報を伝え合って広めてくれるというパワーがある
2.インタラクションの家庭でコミュニティ化して、底で新たな価値が生み出される可能性有り
P.199「CRM」:「Customer Relationship Management」:関係性マーケティングの1つ。
〜情報システムを活用して、企業が顧客の購買行動や年齢、性別、趣味等の個人の情報を収集し、その活用によって顧客との
継続的な関係を築こうとするマーケティング手法。
p.206〜207 【「SECIモデル」:野中郁次郎氏提唱のナレッジマネジメントモデル(知識をどう作り上げていくか)】
→暗黙知→形式知→暗黙知→形式知→…(繰返し)
1.Socialization(共同化)
2.Externalization(表出化)
3.Combination(連結化)
4.Internalization(内面化)
p.207 【消費者コミュニティとのインタラクション】1→4→1と循環
1.参加のフェーズ:個人の情報のウェブへの書き込み
2.知の抽出のフェーズ(Extract):得られた具体的なものからエッセンスを探る。(知の分類、マッチング、識別化)
3.具現化のフェーズ:得られた知を用いてサービスや商品を作ったり付加したりする。
4.市場への還元のフェーズ:新たに生まれた商品が生活に組み込まれる
p.218 ◎「消費社会の神話と構造 普及版」(ジャン ボードリヤール/紀伊國屋書店(1995-02)
〜「貧困も富も「人々の関係性・具体的交換」の中に生じる」
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★渡邊さん★
ネットマーケティング論の本は多いが、聞き慣れないカタカナ語や略語の羅列になりがちだ。本書は「みんな力」「つながる化」などなじみやすい新語を用いつつ、平易な言葉と明快な論理で、ネットが消費市場や人々のコミュニケーションに与えた変化と、今後の企業に求められる姿勢を解説している。
著者によれば、かつて市場は「敵」の陣地を奪う「戦場」だった。消費者はオセロのコマのようなもので、互いに意思疎通することなく、企業の手で黒から白へとひつくり返された。今は違う。消費者はネット上で評価を発信し合い、情報を共有する。市場は戦場ではなく、「みんな」で力を合わせ、問題を解決する場となったのだ。
そうした集合知を著者は「みんな力」と呼ぶ。「みんな」に仲間と認められ、支持された企業や商品こそが強いと著者はいう。具体的な商品を例に、言及したブログ相互
にどうリンクが張られたかを解析した図は、「みんな力」とは何かを雄弁に物語る。「みんな」が力を持つ背景には情報偏在の是正、選択ではなく参加で自己愛を満たそうとする心理の台頭など社会の変容があり、現代の「富」は所有ではなく関係性の中に見いだされる。こうした著者の指摘も面白い。優れたマーケティング書は必ず生きた社会論、人間論になっている。
本書も例外ではない。
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多彩な資料をもとによく整理されており大学の先生らしい内容。何か説得力がなく、物足りないのは経験とか徹底した取材とか足で稼いだ感のある情報が無いせいか。関係を可視化するネットワーク分析を有用としその関係から何を導き出すかが課題と言う。
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ウェブが持つマーケティングを俯瞰的に浅く解説したような本。
どこかで読んだことがあるフレーズがいくつも使われている気がして、オリジナル感はあんまり感じませんでした。
入門者向けでしょうかね。