金融政策: 中央銀行の視点と選択

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492651629

作品紹介・あらすじ

マネーサプライは実際に操作できるのか。誤解発生の原因を解明。金融政策の基本は何か。金融調節の実際を解説。

感想・レビュー・書評

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  • 90年代に行われたマネーサプライを巡る、翁―岩田論争の当事者である翁邦雄による当時の日銀批判派への反論本。マクロの教科書では、ベースマネーに信用乗数をかけたらマネーサプライが出てくるという信用乗数論が出てくるが、岩田規久男、原田泰といった当時の日銀批判派のエコノミストは、信用乗数は安定しており、安定した信用乗数にベースマネーを掛けた分だけマネーサプライが生成するという教科書の信用乗数理論にベタな因果関係を見出して日銀の政策を批判していた。

    本書では、日本における信用乗数は決して安定していないこと、中央銀行が操作しているのはマネーサプライではなく、短期市場金利であること、日本では所要準備は後積み方式で、前月の預金量が決定されてからその月のベースマネー需要が決まり、日銀は受動的にベースマネーを供給していることから、ベースマネーからマネーサプライへの単純な因果関係が存在しないという点などが実務に携わるセントラルバンカーの立場から詳細に反論されており、改めて勉強になった。

    他にも準備預金制度が存在しないカナダの金融システムについて類書にないことが書かれており、30年以上前の本だが今でも読む価値があると思う。

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著者プロフィール

1951年生まれ。74年、東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。83年、シカゴ大学でPh.D.取得。以後、筑波大学社会工学系助教授、日本銀行調査統計局企画調査課長、企画局参事、金融研究所長等を経て2006年、中央大学研究開発機構教授に就任。
09年、京都大学公共政策大学院教授。17年より法政大学大学院政策創造研究科客員教授、京都大学公共政策大学院名誉フェロー。
主著
『期待と投機の経済分析』東洋経済新報社、1985年、日経・経済図書文化賞受賞
『金融政策』東洋経済新報社、1993年
『ポスト・マネタリズムの金融政策』日本経済新聞出版社、2011年
『経済の大転換と日本銀行』岩波書店、2015年、石橋湛山賞受賞
『金利と経済』ダイヤモンド社、2017年など

「2019年 『移民とAIは日本を変えるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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