- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492761779
作品紹介・あらすじ
なぜ日本の製品が世界で売れなくなったのか!?低価格化・水平分業化の波が「ものづくり大国・日本」を襲う。自動車産業の未来は安泰か!?
感想・レビュー・書評
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黒川氏の講演のモトネタなったと思われる本です。amazon書評でも高評価だったので、booxで購入しましたw。,,指摘されている通り、日本の製造業というよりは、エレクトロニクス産業(半導体、液晶パネル)に特化した内容です。しかし、台湾、中国大陸、韓国の2000年以降の勢力図をデータを使用してよく解説してくれています。次は自動車業界ですか…。,,しかし、興味深いのは、野村證券の方が、今かき入れ時と思われる日本株をこき下ろしている点ですね。台湾辺りの新しいファンドを立ち上げる色気があるのでしょうかね。
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★2008年10月18日 74冊目『ガラパゴス化する日本の製造業』宮崎智彦著。評価B+
高級、高性能化を要求する日本市場の消費者に注力する余り、世界の大勢である安くそこそこ良いものを買いたい消費者を忘れた日本製造業は、世界市場から遠く離れてしまった。(開発拠点が、国内に偏りすぎている弊害だと私は思っている。)非常に厳しいとの指摘。勿論、処方箋も示されている。
コピーが難しい、すり合わせ技術が必要なアナログ技術を磨く事。電子部品事業のような製造方法を公開しないブラックボックス的な製造もしくはすでに先端を走っている環境関連事業を磨くなどいくつかの提案がなされている。性能を追求し、付加価値維持を図る余り、お客様が欲しがらない機能まで載せて自己満足している今の日本製造業に対し、メーカーにいる私自身も疑問を抱いていたので、我が意を得たりの指摘である。
実際、ここ中国の家電製品売り場では、ほとんど日本の家電製品を見ることはない。なぜなら、あまりに高級で高すぎるので、売れないからだ。勿論、消費者は、日本メーカーに高いブランドイメージを持っているから、安ければ買いたいはず、、、ところが、ソレが分からない、できない。
これから日本の製造会社はどう生き抜いていくか、大切な分岐点に立っている。残念ながら、日本に居て、電車にも乗らない、街も歩かないトップマネジメントに市場が分かるか?海外に出張しても、お客様を直接見て歩かない役員にそれらが理解できるのかは甚だぎもんではあります。半導体、液晶テレビ、携帯電話、ナビゲーションシステム等の失敗を繰り返さない為に。。。。。。 -
発刊は2008年9月.製造業の中でもエレクトロニクス業界に焦点をあて,日本企業の凋落と韓国・台湾系企業の台等について述べてある.中でも液晶,半導体に関する記述が多い.
国ごとの地理,言語,雇用制度,税制などなど多面的に分析されており,一冊でそれなりに網羅的に日の丸電機不振の原因が分かると思う.
1点,序盤でのハイエンドばかりやっていたからローエンドの商品で中国・韓国に席巻されたというのは現在の認識とずれているかなと思う.結果として日本製品は過剰品質・過剰スペックに映るかもしれないが,現行の製品から入って意図して品質や機能を落とすことは難しい.必要だったのは低品質・低価格の製品でなく,個々の地域に必要な品質・機能・価格での製品の作り込みだったかなと.ゼロベースの思考.
韓国のサムスン,LGについては既知の内容が多かった.台湾でホンハイ,TSMCなどに代表される専業メーカーで水平分業型のモデルが浸透しているという部分はあまり知識がなかったため参考になった.
この書籍の執筆時点では日本が優位性を保っている事業が以下4つ挙げられていた.
・エルピーダのDRAM
・東芝のNANDフラッシュメモリ
・シャープの液晶パネル
・パナソニックのプラズマテレビ
数年で東芝以外が苦境に立たされたという事実は興味深い.
最後に自動車関係の今後について述べられている.ここでは電気自動車が主な議論の焦点.現在は参入する企業がますます増え,新たにADASも注目されているし,今後が気になるところ. -
基本的には現状では弱電系の話で従来の重電や機械にどこまで適用できるかはわからないが、重電や機械製品においてメカが制御に置き換わるようなイノベーションが起きた際には同様の動きは起きる。
自動車業界の電気自動車化の動向はそのいい例かもしれない。 -
台湾のTSMCをはじめとする半導体製造業。国策として成功し、好景気真っ最中。
LCD製造業や電子機器の製造委託業ももはや世界の主力。
欧米の設計+台湾の製造=世界の主流の水平分業。
日本の垂直統合型をもっともスケール大きく展開したのが、韓国の国策企業のSAMSUNG。
いまだ携帯電話機、テレビ、DRAMなど世界のトップクラスだが、数年前をピークに低下傾向。
著者は自動車業界で同じことが起こる可能性があると論じる。
今は、内燃機関の効率の改善がすさまじいスピードでなされている。
ハイブリッドでさえ、内燃機関の過給器の一種として考えてもよい。
高効率なアトキンサイクルのガソリンエンジンの欠点をモーターで補っているのだから。
エンジンがモーターとリチウムイオン電池に代われば、難しい物は片付く。
あとはシャシーだけ。それとて、一流のエンジニアを引き抜けばいいこと。
日本が生き残るには、
1.すりあわせの技術が生かせる分野
2.機械的な要素が必要な分野
3.環境など機器製造に厳しい制約がある分野
4.製造ノウハウが外部に流出しにくい分野
5.事故が絶対許されない分野
6.顧客から製造コストが見えない分野
7.最先端の技術力を発揮できる成長分野 -
分野:
・すり合わせの技術が活かせる分野
・機械的な機構部品が必要な分野
・環境問題に適合した部品が要求される分野
・製造ノウハウが外部流出しにくい分野
・生命に関わる分野
・顧客から製造コストが見えない分野
・最先端の技術力が活かせる成長分野
課題:
・構造改革がしにくい
・社会的インフラが整備されていない -
数年前の本にはなっているが、早くも台湾系EMSが自動車部品に参入し、その後、電気自動車作りに入ることを予見している。先日、発表された様に台湾のホンハイと中国の吉利自動車の電気自動車生産発表のニュースは著者の先見性の高さを物語っている。何を言いたいのかというと、自動車もテレビやパソコンの様に部品をあつめて、組み立てるだけの産業になりはしないのかという危惧である。現在、本書に書かれている産業構造は益々明白になってきた中で、日本企業のモノづくりは積み重ねてきた技術の象徴である「擦り合わせ」分野でのみしか生きていけないのかも知れない。
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米国→日本→アジア(韓国、台湾、中国)とシフトしている。
日本再生には、次の手を考えないといけない。