出版・新聞絶望未来

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492762080

感想・レビュー・書評

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  • 卒業研究の資料文献用として。

    アメリカとは文化や地形的に電子書籍の恩恵が多い。日本はそれを真似しても普及するわけがない。私自身が思っていたことをずばり述べられていて、すっきりした。クール・ジャパンも、まさに広すぎる。

    日本の出版業界はどうなるのだろうか。
    著者の今後の出版物も読んでいきたい。
    2013.07.03

  • 出版界の問題を取り上げる本は多く存在するが、元出版社員が出版界の裏側まで明らかにしているのがこの本の特徴。デジタル化が進んでも新聞は紙で読みたいと思っている私はやはり旧い人間?

    A former employee of publishing company exposes the other side of the publishing world.

  • 同じ著者の「出版大崩壊」が2011年3月の発行だったので、その後が気になって読んだ。状況は大きくは変わらず、出版業界はさらに絶望的のようだ。本書では、英米の出版業界のデジタル化事情などか詳しく記述されており参考になった。
    …でも、私が一番気になったのは中で紹介されていた「フィフティ・シェイズ」という小説だ。この作品は、売上でハリー・ポッターを超えたとされ、英米の電子書籍市場を一気にブレークさせたらしい。ほら、そういわれると読んでみたいでしょ?内容はポルノらしいんだけど。

  • 電子化で苦境に立たされる新聞・出版業界の現状報告。著者は光文社が実施した希望退職者募集に応じてフリーとなったジャーナリスト、評論家。新聞・出版業界にとっての結論は、ほぼ書名の通りで、救いや希望や逆転の戦略が提示されているわけではないが、読みやすく書かれており、出版社社員である私にとっては、目の前で起こっているあれこれの事象を多少の距離を取って俯瞰することができた点で有益であった。

    業界や企業の構造的な浮沈は歴史的宿命として受け入れるしかないとしても、コンテンツの劣化や報道力の衰退が文化と民主主義の危機をもたらすとすれば、絶望だけしているわけにはいかない。

  •  本が売れない、新聞の発行部数が下がっていると言われている。しかし、電子書籍市場を見ても、必ずしも伸びているわけではない。その最大の理由は、著者が指摘しているように、日本と違ってアメリカには書店が街にあるとは限らないことだ。ニューヨークのような大都市なら本屋はあるが、地方都市行くと本屋と呼べるところは、大学がないかぎりなかなかお目にかからない。そういう状況で電子書籍を読む選択肢が出てくれば、書籍や雑誌が読みたい人たちにとっては、ありがたい存在なので手が伸びる。

     反対に、日本では、地方都市でも、よほどのことがない限り書店があり、数日遅れでも最新本が手に入る状況にある。それならば、洋書や洋雑誌を読む人でもない限り、電子書籍に手が伸びない。

     新聞の売れ行きが下がっている原因としては、インターネットのニュースを無料で読めば済むと思う人が増えていることだ。それに、新聞社も企業であり、営利を追求している面はあるので、何らかの偏りがあり、たとえば世論調査で調査の仕方に怪しいところがあるなど新聞に対する信頼あるいは、新聞信仰が薄れているのも原因と考えられる。

     新聞社の側も、何とか収益を上げようとしている。たとえば、日本経済新聞は、課金制をとっている。参考にしているのが、あの経済紙Financial Times とWall Street Journalだ。両社ともに世界を代表する経済紙で、課金制にしても他では手に入らない情報を売り物にしているだけになかなか読者が減らない。

     しかし、日系の場合、よく言われるのが、紙の新聞と電子版の共存を図るためにデジタル版単独では月4,000円、デジタル版と併用の場合新聞購読料金プラス1000円という値段設定にしている。著書によると、2010年に始めた課金制度が、2年後には、20万人の有料読者獲得とある。日経の場合、企業や企業の商品、サービスを取り上げた記事を書いて会社員を中心とした読者がいる点で他の新聞とは違う特徴がある。しかし、その日経にしても、いつまで紙の媒体とデジタル版の両面作戦で行けるのかはわからない。あのウォールストリート・ジャーナルの日本版は、月1980円だけに、よほど読みたくなるような記事が載っていないと、読者が消えていく可能性は避けられない。

     最後は、有料でも無料でもコンテンツ次第だ。せっかく読むからには何か興味がもてるコンテンツを読みたいもの。脳をビビビと刺激するような面白いものを提供してもらいたいものだ。

  • 日本で電子書籍が流行らない理由は多々あるが、流通と安価で質の高い製品が電子化を阻んでいる。それはとてもいい事だが、既存のビジネスモデルを根底から覆す事象が起きれば、一気に崩れるだろう。果たして取次の存在意義はあるか?

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著者プロフィール

1952年、神奈川県横浜市に生まれる。立教大学文学部を卒業後、光文社に入社。「光文社ペーパーバックス」を創刊し、編集長を務めた後、2010年からフリーランスになり、国際政治・経済・ビジネスの分野で取材・執筆活動を展開中。
著書には『出版大崩壊』『資産フライト』(以上、文春新書)、『本当は怖いソーシャルメディア』(小学館新書)、『「中国の夢」は100年たっても実現しない』(PHP研究所)、『円安亡国』(文春新書)、『地方創生の罠』(イースト新書)、『永久属国論』(さくら舎)、翻訳書に『ロシアン・ゴッドファーザー』(リム出版)などがある。

「2018年 『東京「近未来」年表』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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