債務超過会社における組織再編・資本等取引の会計・税務Q&A

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  • 中央経済社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784502264313

作品紹介・あらすじ

債務超過会社の組織再編、資本等取引に関する取扱いを解説。無対価組織再編の改正等、平成30年税制改正に完全対応。株式会社から持分会社への組織変更に関する取扱いにも言及。

感想・レビュー・書評

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  • 債務超過会社が関連する合併・会社分割に関する実務上の論点を組織再編税制の専門家である佐藤会計士が解説。最近関与先で債務超過事業の会社分割を検討したので本書はその際大変参考になった。かなりマニアックな内容でところどころ付いていけない論点もあったが、おおよそ理解できた。実務書としても、読み物としても楽しめる内容だ。
    P22
    そのため、債務超過会社を被合併法人とする合併が非適格合併にならないようにするために、以下のいずれかの方法を採用する必要があります。
    ①合併前に、合併法人が被合併法人の発行済株式の全部を備忘価額で取得する手法
    ②株主間贈与を軽微にするため、少数の合併法人株式のみを交付する手法
    なお、①の手法を採用した場合には、兄弟関係から親子関係に変わってしまいますが、平成22年度税制改正により、これにより支配関係が洗い替えられたと考えるのではなく、当初から支配関係が継続していると考えることが明らかにされました(『平成22年版改正税法のすべて』288-289頁(大蔵財務協会、平成22年))。そのため、兄弟関係から親子関係に変わったことを理由として、支配関係が生じてから5年以内の合併であるとは認定されないため、繰越欠損金の引継制限、使用制限、特定資産譲渡等損失の損金不算入の規定は適用されないと思われます
    P174
    すなわち、子会社の事業を廃止する場合や経営権を譲渡する場合だけでなく、子会社の再生手段として第2会社方式を利用する場合であっても、第一会社(旧会社) と第二会社(新会社) との間に同一性がなければ、同通達9-4-1の適用を受けることができると考えられます。そして、東京高判平成29年7月26日により、通常清算であっても、特別清算(和解型)であっても、第2会社方式を採用した場合には、同通達9-4-1により判断することが明らかになったため、第一会社(旧会社) と第二会社(新会社) との間における同一性の排除は、かなり重要になったといえます。そのため、実務上、①社名を変更したり、②固定資産を受皿会社ではなく、親会社に譲渡したり、③従業員の退職金を打切支給したり、④従業員の整理解雇を行ったり、⑤役員構成を変えたりすることにより、同一性の排除を行う必要があると考えられます。

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著者プロフィール

公認会計士、税理士、博士(法学)。公認会計士・税理士佐藤信祐事務所所長。
平成11年朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入社。
平成13年公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現デロイトトーマツ税理士法人)入所。
平成17年税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業。
平成29年慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(博士(法学))

「2022年 『改訂版 みなし配当の税務』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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