本格ミステリ戯作三昧―贋作と評論で描く本格ミステリ十五の魅力

著者 :
  • 南雲堂
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784523265658

作品紹介・あらすじ

本書では、本格ミステリのさまざまな作家やテーマに、贋作と評論の二方向から切り込んでみました。本書に収められた贋作は、すべて"評論的な贋作"、つまり、作家や作品に対する考察を小説の形で表現したものなので、切り込むことができたわけです。そして、カップリングされている評論は、その贋作を生み出す基となった論か、贋作を書くことによって深まったり生まれ変わったりした論をまとめたものです。それでは、贋作と評論を両輪にして、本格ミステリをめぐる冒険を楽しんでください。

感想・レビュー・書評

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  • 第18回本格ミステリ大賞評論・研究部門を受賞。国内外の有名な作品を元に書かれた贋作と評論を収めたマニアックな一冊です。贋作は元ネタの作風やキャラのイメージを損なうことはないですし、評論は平易に書かれているので分かり易くて好印象。
    ベストは有栖川有栖の贋作【英都大学推理研VS「女か虎か」】。斬新な解釈と有栖川有栖名義と言われても違和感ない贋作度が素晴らしいです。
    次点は高木彬光の贋作【甲冑殺人事件】。世に出てない元ネタを作品化させたことは称賛に値しますし、神津恭介に関する評論もなかなか衝撃的です。
    また著者はエラリー・クイーン研究家ということもあり、エラリー・クイーン関連も興味深いものばかり。これだけでも本書は一読の価値があると思います。

  • 面白かった

    いままで作品のつながりの中でミステリを見てなかったけど
    時がたつにつれ、
    ミステリも進化してるんだな
    とか
    私が疑問に思ってたことが書かれてたり

    作家も大変だな~
    とか

    この人の他の本も読みたくなった

  • 国内外の著名な本格ミステリの贋作15作と、その作品に関連する評論をカップリングした物。
    贋作が凄かった。真作というか元ネタを知っていないと分かり難いが、これがもう全部傑作。何度も唸った。特に故・高木彬光氏の幻の作品と言われる『甲冑殺人事件』の贋作は大傑作だった。氏の文体模写の巧さにも舌を巻いたが、何よりトリックに仰天。贋作として使うのは勿体無い程のオリジナルトリックだった。その他の14作品も実に良く出来ていて、私はこんなに高水準のパスティーシュを読んだ事が無い。飯城さん、今後は作家一本でやってくれないかな?
    評論の方も鋭い分析だらけだった。『アクロイド殺し』の考察は大いに同感。ただ、個人的に少し深読みかと思える評論があったのと、注釈はしているがネタバレが多いのが残念だった。贋作だけの一冊なら間違い無く満点評価にしたと思う。

  • 2018/01/14読了

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著者プロフィール

飯城勇三(いいき・ゆうさん)宮城県出身。エラリー・クイーン研究家にしてエラリー・クイーン・ファンクラブ会長。〈本格ミステリ大賞・評論部門〉の第11回を『エラリー・クイーン論』で、第18回を『本格ミステリ戯作三昧』で、第21回を『数学者と哲学者の密室』で受賞。訳書はJ・グッドリッチ『エラリー・クイーン 創作の秘密』など。論創社の〈EQ Collection〉では、企画・編集・翻訳を務めている。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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