2020年、電力大再編 ―電力改革で変貌する巨大市場― (B&Tブックス)
- 日刊工業新聞社 (2013年5月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784526070822
感想・レビュー・書評
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978-4-526-07082-2 162p 2013.5.31 初版1刷
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業界の動きをオーバービューするのに適した一冊。
当業界の人からすると物足りないだろうが、広く網羅的に抑え、わかりやすく説明するというのはやって見ると大変さが分かるので、それを満たしているこの著書は入門者には良い出来。 -
電力システム改革に関して、改革期待派が描く未来図を書いた一冊。内容的には、表面的な議論か。
本書でも触れているが、発送電分離をすると、送配電部門は、公的な機関となってしまう。これは、民営である電力会社が、旧国鉄や高速道路公団、電電公社と同じ構造になることである。民営でないと、例えば、高速道路のように、政治的干渉により割引メニューを導入させられたりする。
同様に送電会社にも、昼間しか使われない太陽光用の送電線の建設を国は要求するだろう。
それは赤字路線を建設してきた国鉄と同じ構図である。
完全民営化されたJR東海は、知事ら政治的に欲求を撥ねつけ、最短ルートでリニアを建設する。
つまり、電力改革とは、国民の利益のためではなく、政治家、官僚が、電力会社を手中に収めようとすることであり、何ら改革になっていないということだ。
電力には構造改革と自由化のふたつの課題があり、もう一方の自由化の議論も核心が語られていない。
自由化により、最も損をするのは、電気料金の支払いが少ない低所得者層にならざるを得ないことである。
筆者たちは総研という立場で、マスコミなどでは民活などと放言しながら、電力会社が公的支配されるのが本当にハッピーだと考えているのだろうか?
そう考えると、本書は、低俗で無学な世論迎合本といっても過言ではない。
著者たちの研究発表会とも言ってよい。