いま世界ではトヨタ生産方式がどのように進化しているのか! -取り残される日本のものづくり-

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  • 日刊工業新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784526077227

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  • 「ジャストインタイム」や「カイゼン」を用いるトヨタ生産方式の、世界での活用例を私見を中心に説明した書。著者は豊田中央研究所出身の慶応大大学院教授。

    欧米ではトヨタ方式を修正した「リーン生産方式」が利用されているようだ。トヨタ方式ではムリ・ムラ・ムダの優先順で現場主義による根本解決を求めるが、リーン方式ではムダのみを対象とし、システム全体で顧客価値の連鎖を見える化するバリューストリームマッピングというツールを使うという。他にも相違点はあるが、リーン方式はカイゼンのプロセスを汎用化・体系化する事で、システム工学の一手法として海外の大学で学ばれている点が興味深い。

    本書の後半では、日本と欧米の比較事例を取り上げている。自動車開発においては、日本はエンジンを自前生産するが、欧米では差別化領域ではないため外部委託されているという。その分、技術開発やデザインに投資するようだ。新規事業においては、日本では空き人材の再教育で賄うケースが多いが、欧米ではM&Aや協業により迅速な立ち上げを進めるという。日本の企業が人材活用に秀でているのではなく、単に終身雇用の名残らしい。生産面においては、日本は多品種少量生産が得意で在庫を抑える傾向があるが、欧米ではグローバルに通用する品種を揃え、さらに機会損失を嫌って在庫を多めに持つという。どちらが良いかはケースによると思うが、グローバル視点では日本は特殊な国のようだ。

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