きみはなぜ働くか。: 渡邉美樹が贈る88の言葉
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2006年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532165697
作品紹介・あらすじ
ワタミ創業社長が若者たちに熱く問う「シゴト」と「生き方」のルール。
感想・レビュー・書評
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2010.03.26開始〜2010.03.27読了
この本は、渡邉美樹さんがワタミの社員やアルバイトに向けたメッセージそのものであり、内容も
・なぜ、どうやって、どのように私がワタミを立ち上げたか
・ワタミが目指すものは何か?
・私が考える働くこととは?
が、ひたすら洗脳のように繰り返される。
これだけ読むと、ワタミの従業員には相当の問題があり、それらがまったく管理されていないということを暴露している本にしか見えない(笑)
ワタミの従業員の指導方針には相当問題がありそうだ。
おそらく、やる気のある社員はどんどん前に行けるようにするシステムはあるが、それ以外の従業員が同じ方向を向いて働くことや、そもそも面接などでふるいにかけるシステムなどが整備されていないのだろう。自分と同じマインドの人間は救うはそれ以外は救わない。残念だけれどそれでは、お客様が満足してくれる、サービスの行き届いた居酒屋は成立できないでしょう?
正直いって拡大しすぎたんじゃないかな。
ワタミの経営方法に対してはあくまで推測の域を出ないからこれくらいにして、Amazonのレビューにもあるとおり、プラスになる点が少なく、これって書籍化していいの?と言いたい内容だ。少なくともワタミ関係者以外が読むように精査された感じは一切ない。
「夢なくして何が人生か!」とこの本で語っておきながら、次の本で「夢なんかいらない」とサラっと言ってしまう渡邊さん。賛同できるのは夢に日付をってことと、読書が人を成長させるっていう点だけれど、それって昔からある自己啓発のトップ項目にあがってることですよね。。。
でも彼の目指しているところはすごく賛同できるので、頑張って欲しいです。
以下、気になったところを後で抜書きしておく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
毎月、世界各国に広がるワタミグループの全拠点へ送るビデオレターを1冊にまとめた。3万人に及ぶアルバイトに、著者が「時給以上のものを学んでほしい」「幸せになってほしい」との願いを込めて語りかける。「夢を追いかけること」「誠実に一生懸命生きること」「他人の幸せと自分の幸せを重ねること」などを強く訴えている。
人生には仕事、家庭、教養、財産、趣味、健康という「6つの柱」がある。これらのバランスが取れていれば、豊かな人生になると著者は考える。どんな人生を歩みたいか、どう生きたいかという問題に直面すると、漠然としか考えられない人が多いが、6つの柱を1つずつ明らかにしていくと、人生の目標を設定しやすいと指摘する。
著者の夢は外食産業で会社を大きくすることにとどまらない。子供に教育の機会と環境を提供できるよう、NPO法人(特定非営利活動法人)を立ち上げたり、有機農業、介護事業、リサイクル事業などに乗り出したりしているのは「地球上で一番多くの『ありがとう』を集めたい」という原点によるものだという。「きみたちの行動にいつも、きみたちの原点があるか」と問いかけ、「自分の原点に対して後ろめたいこと、恥ずかしいことは決してしてはならない」と強調する。 -
ワタミグループの社員向けビデオレターを元にした、渡邉美樹氏から若者へ向けたメッセージ。
夢を持ってその実現に向かって努力すること、様々な人やものに感謝の気持ちを持つことなどが説かれている。
著者は高名な方であり、本書からも人格者であることがうかがえる。だが、「ワタミグループではこんなことをしている」という内容が多く、一種の宣伝にすら読める。(それが著者の意図するところなのかもしれないが。)
もっと若い頃に読んでいれば、違った感想を持てたのかもしれない。 -
ワタミ・グループのビデオレターを元にしているとのことで、上手く渡辺美樹の掌で転がされる感じ。言っていることは立派だけれど、市井に問うという意味ではご都合主義くささがニオう
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人生とは成功すること。成功とは他人との比較ではなく、自分にとって価値ある目標を設定し、長期的な活動の中で手に入れるもの。
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とにかくみんなに読んで欲しい一冊。
何でも効率、金儲け第一主義の経営者が多い中、こんなに志の高い経営者が居ることに感動した。
この会社に勤めている人たちは幸せだと思う。
今まで読んだ中でもっとも心に残る一冊と言っても良い。 -
正直、なるほどな、と思わせられるところは多くあった。一つのまとまりが短くまとめられているのでサクサク読める。読み始めてみると、渡辺美樹はネットで言われているような人物だとは思えないし、ワタミはブラック企業などではなく、なにか高い志をもった素晴らしい企業のように思えた。
それで感想が終わればなにも言うことはないのだが、渡邊美樹はヒトラーや、杉下右京のような人物なのではないか、という印象をもった。
と、いうのも、この本に書かれていることはあまりにも素晴らしすぎる。「素晴らしくてなにが悪い?」とも思うが、読んでみてくれとしか言いようがない。ただ素晴らしいだけなら、ああいうネットの評判が出るか? そこを忘れずに読んでもらいたい。
要するに、事実をうまいこときれいな言葉で表現しているように見えてしまう。それがところどころ、「現場の実際の言葉」で出てくるから「ええっ?」とマスオさんのようになってしまう。
その中で有名なのが「365日、24時間、死ぬまで働け!」というやつだが、他の「とどめを刺せ!」というやつも相当危ないと思う。ワタミの業革会議でよくこの言葉が飛び交うのだそうである。経営とかサービスの改革についての発言らしいが、従業員にもこの感じで接しているのが容易に想像できてしまう。どんな会社だよ。
渡邊社長がヒトラーや右京さんのようだといったが、この人は高潔すぎるきらいがある。それと、どんな事象でも異常なほどプラスに捉えているようだ。それゆえに、適応できない、というか感化されきらない人間には地獄のように感じるだろう。妥協というものがない。サイコパスだと言われても仕方がないかもしれない。
もしワタミがある程度の年商で満足する企業なら、それほど大きな問題はないような気もする。求められるものにもある程度の限りが出てくるからだ。しかし年商3000億、というとてつもない目標に向かうため、従業員が日に増して多くの課題に取り組んでいく様が目に浮かぶようだ。ここで「取り組まなくちゃ」とやらされてる感を感じるような人は、ワタミをスッパリ辞めた方がいいだろうな、と感じた。俺ならそうする。辞められないような状況の人々のことについては、祈りをささげるばかりだ。
この本の中で社長は、何度か言っていることが矛盾する。それは先に言ったことと後に言ったことの間にどのような考えのプロセスがあるかを省いているせいだと思われるが、その点まで書くべきだと思う。このままでは主張が一貫性に欠けていて、結局臨機応変、極論を言えば運次第だな、となり、社風と完全に合致することができていない従業員は依るべきものを見失うだろう。
だがそれ以上にどんなことも超ポジティブに捉えているせいで、ネットでの裏話との差に、ぞっとするような戦慄を覚えてしまう。
ある種、ここまでいくと、この本には文学的な価値があるかもしれない。ぞっとする部分をすべて見なかったことにすれば、優良な啓発書のような感じもする。だが、各所に引っかかるところがあって、そこから考えや調べを進めると、闇が見えてくる、という具合だ。読んでいて胃がおかしくなることが何度かあった。