人類の議会 下: 国際連合をめぐる大国の攻防

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532166403

感想・レビュー・書評

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  • 170317 中央図書館
    パラパラめくっただけ。

  • ソマリア、セルビア、カンボジア、ルワンダ...。
    国連の平和維持及び平和執行の失敗が続く。
    なかでもルワンダの失敗は国連の責任が重過ぎると言わざるを得ないだろう。これらの紛争の中で生命を落としていった人々のことを思うと、またその同時期にその事実すら知らないですごしていた自分自身の来し方を思うと、世界の平和って何なのかと考えてしまう。日本としても、民生分野だけと言って、それ以外の検討をしないでよいのだろうか...

    【開催案内や作品のあらすじ等はこちら↓】
    http://www.prosecute.jp/keikan/054.htm
    【読後の感想や読書会当日の様子などはこちら↓】
    http://prosecute.way-nifty.com/blog/2009/09/54-2c80.html

  • 上巻が平和維持・執行活動や安全保障、経済面での責務といった国連にとっての「ハード」な課題について述べられているのに対して、下巻は人権の向上いや女性や子供、人口問題、環境問題、文化の多様性といった「ソフト」な課題、それと国連の組織構造・またそれの改革案についてが中心に据えられて書かれていたので上巻より何倍も読みやすかった。いかに個人的に感心した部分や批判的な部分を乱雑に書きます。書かせてもらいますぜ。

    まず国連がこれまでに行ってきた「ソフト」な課題に対しての大まかな経緯を把握できたとともにそれを支える下部組織の多さ、そしてNGOとの密着性という側面も見ることができた。NGOといっても世界に4千ほどあるわけで、その中でも特に有名なアムネスティ・インターナショナル、国境なき医師団、赤十字国際委員会、グリーンピースといった団体の性質も説明されていた。(例えばアムネスティ・インターナショナルは干渉過剰で独断的で犠牲者の立場を取り上げすぎるのに赤十字国際委員会は絶対的な中立主義を貫いている、など…)たしかに「ソフト」な課題は「ハード」な課題と違って(特定部分を対象としたものではなく)人類を対象にした世界規模な問題なので、それを国連の機関だけで担うのは明らかに力不足でありNGOと緊密に関係を持つのは大いに正しいと思う。NGOと関わることで国連組織の手の回らない分野もカバーしてくれるし、何より民間団体レベルでのそういう活動は課題達成のために不可欠だと思うからだ。しかし課題はもちろんある。今日、肥大しすぎた国連組織は役割が重複する機関が多いため、その部分を批判者に攻撃されたりしているのでもっと組織をスマート化する必要があると思われる、個人的に。まぁとにもかくにもこの国連とNGOと関係がいろんな分野において相乗効果を生み出すのは事実なわけで、例えばNGOが国連主催の「ソフト」な課題に関しての会議に席を設けられ呼ばれるのだがそのことによって国連が各国のトップ官僚だけの場所ではない、我々市民の論議場所でもあるということを認識できる、ということもあるんですよね。しかし、その一方で今日の活発なNGOのほとんどが豊かな北の団体やら財団であるために発展途上世界の国や人々にとってはそれが恩着せがましく強引なもので単に格差という事実をごまかしているにすぎないと見なされているらしい。課題はまだまだ多いみたいです。

    次に国連の組織構造やら改革案についてなんですが、まず一番はじめに思うのが1940年代に設立された国連の組織構造を経済やら情勢が激動する現代においても当てはめようとするのはかなりの時代錯誤だと強く思う。安保理の常任理事国のことが特にそうなのだがどの大国も永久的に与えられた常任理事権を名誉的にとらえるためにこの分野に関しての改革はどうしても難しいように見える。安保理体制改革案には三層構造案やら常任理事国拡大案、非常任理事国拡大案とたくさんあるのにどれもが各国を説得させられるほどのものではない。いやそもそも国連設立当時の大国が権力に固執している時点でこの分野での改革は限りなく不可能に近いのかもしれないという考えさえ頭によぎってしまう。いやはやこの分野に関しても課題が多い。多すぎる。

    国連に関して調べたとき、やはり賞賛と批判が多数ある。(批判の方が多い気がする)まぁそれはどの分野においても同様なことだから目をつむるにしていかに平和を構築するかに焦点をあてたときに、独断と暴走を防ぐというのが一番重要なんではないかと常々考える。戦争を起こした側も発展国側(アメリカ〜)も等しく独断と暴走を繰り返すことで真の平和は僕らが考えている以上に手の届かない場所に行ってしまったような気になる。その平和を少しでも僕らのもとに近づけるために国連という機関は今後も重要な位置に立ち続けるだろう。国家間のねたみや憎悪が蔓延する現代においてすべての国が平和を享受できるように尽くしてほしい。そして僕もその一員になってみたいと強く思う今日この頃です。

    僕みたいな学生が専門書を読むのは、水を手ですくうのに似ていると思う。たくさんの経験やら知識という水を目の当たりにしてぜひ自分のものにしたいと思って勢いよくすくおうとするも、その水は僕の意思に反しほとんどが手をすり抜けていく。難解な記述や知らない歴史的行動・戦争が多くまた現代のトップの評論家の考える思考にもついていくことさえできない。しかしである。僕はこの手に残った少しの水を得たことを貴重な知識として頭の中にしっかり定着させなおかつこれからの勉強に活かす糧にする。

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著者プロフィール

山本文史

近現代史研究家。1971年フランス・パリ生まれ。獨協大学英語学科卒業、獨協大学大学院外国語学研究科修士課程修了、シンガポール国立大学(NUS)人文社会学部大学院博士課程修了。Ph.D.(歴史学)。著書・翻訳書にアザー・ガット『文明と戦争 上下』中央公論新社、2012年(共監訳)、『検証 太平洋戦争とその戦略(全3巻)』中央公論新社、2013年(共編著)、Japan and Southeast Asia: Continuity and Change in Modern Times (Ateneo de Manila University Press, 2014) (分担執筆)、キショール・マブバニ『大収斂――膨張する中産階級が世界を変える』中央公論新社、2015年(単訳)、『日英開戦への道 ―― イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実』中公叢書、2016年(単著)、ニーアル・ファーガソン『大英帝国の歴史 上下』中央公論新社、2018年(単訳)などがある。

「2020年 『イギリス海上覇権の盛衰 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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