- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532168162
作品紹介・あらすじ
学歴も社会的基盤もない。仕事は自分でつくらなければならない。独学の建築家が大阪から、世界に闘いを挑んだ。気力、集中力、目的意識、強い思いが、自らに課したハードルを越えさせる。縮む日本人を叱咤する、異色の半生記。
感想・レビュー・書評
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建築物を見るのが凄く好き。コルビジェが好き。
そして日本には安藤さんという素晴らしい建築家がいる事が嬉しい。
独学で学んでいった姿勢というか、安藤さんの集中力に脱帽。
そして驚く事に、図書館で借りたのに安藤さんのサイン本だった。欲しかった(笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
安藤忠雄の半生を綴った本といわれれば、
読むしかないでしょうということで購入。
今回の自伝は日経新聞の私の履歴書に掲載された記事を
まとめた本のようです。
僕の一番好きな場面。
大学にいけなかった安藤さんが
大学の教科書4年分を1年で読んでしまう努力と根性は
前々から知っていましたが何度読んでも感動できます。
安藤さんの建築に対する熱い思いに
読む方も熱くさせてもらえる元気と勇気の出てくる本です。
同じく安藤さんの自伝、「建築家 安藤忠雄」もオススメです。
http://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4103090510 -
ブレない人間性が伝わってくる率直な言葉選び、でもそこには建築の仕事、関わる人々、環境などさまざまなものへの愛がある。
経験を元に語られた様々な言葉は、今の世の中に失われたものを気づかせてくれる。
ある仕事を通して「規制の枠組みにとらわれず、境界を越えてあきらめずに対話をすることの重要性を改めて知った」と語っている。
対話が疎かになっている今の世の中だからこそ、あきらめずに対話していくことを大切にしたい。 -
何かのTV番組で安藤忠雄をみた。だみ声で、妙に人間くささを感じる人だった。それが気になって買ってみた本。安藤さん自身の人生を振り返ったクロニクルであると同時に、震災後の日本人へ、そして若い人に向けた力強いメッセージなんだと感じる。
安藤忠雄は規定どおりの建築家人生は歩んでこなかった。そもそも、建築学を専攻していなかったし、大学だって出ていない。一級建築士の資格をとったのだって、建築で生業を立ててからずっと後のことだ。だけど、小さいころ、家を増築したときにみた一心不乱で仕事をする職人さんが忘れられなかった。そして、天井をはがしたときに空から洩れ開いた光が忘れられなかった。そこが安藤さんの原点らしい。そして、そこが安藤さんが進んでいくところでもあるのだろう。
光の教会は建築を知らないボクでさえハッとした。想いや魂をこめた建築物は、人の心を捕らえるのだろう。公共の建築物は人の営みと、記憶の再生の場。そんなことを思った。 -
職場の先輩のススメにより読了。
思ったよりも"昭和の男"感はあるが、独学で建築を学び切ってしまう熱量が凄い。 -
大学に通わずに1級建築士になった安藤さんの仕事への熱意がすごいとおもった。人に言われたことを吸収し、活かす。有名な方がたくさん出てきて、全ての出会いが意味のあることだったと感じさせる。
依頼されてない仕事でも、自ら図面を描き、売り込む。今みたいにネットのない社会で学歴も資格もない状態で、それしか方法がなかったのかもしれないが、自分がフリーランスになったら、仕事は与えられるものではなく取りに行くものだと思い出したい。
書籍の中でたびたび出てくる「今の若者は」は、私は嫌いな言葉。大人たちが作った環境で子供は育つのに、まるで子どもが悪いかのように言う。
4年前に行った直島で安藤さんの公演を運良く聴くことができ、たくさん刺激をもらった。アートは私の心を豊かにしてくれて、あの時の瀬戸内国際芸術祭の思い出は一生の宝物である。直島に行く前から、安藤さんのことは名前だけは知っていたけど、実際に建築物に触れてみて更に凄さを知った。病気になってもなお、仕事を続け、もし自分が死んだとしてもスタッフの方々へ5年分の給与が支払われるシステムを作られている。公演を聞いてから、政治の世界に興味を持つきっかけをくれた。
安藤さんが願っているように、日本がより良い未来になるように、私にも何かできることはないかなと考えるようになった。
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昨年、自分の兄に子どもができた。甥っ子である。赤ちゃんを見ていると本当に「野生」である。
生きるために泣き、食べ、遊び、学ぶ。それがいつの間にか親に、社会に「飼いならされて」しまう。
何も外を走り回るだけが野生ではない。絵や音楽なども立派な「野生の才能」だと思う。問題はそれを「好き」で自主的にしているか、それとも言われるがままに強制的に、怒られるのが怖く「嫌々」し続けているのかではないか。
好きならば失敗しても、また挑戦したくなる。嫌々なら失敗することも怖くなる。
本当に「好き」かどうかを考えるのも、ある意味自分のなかの「野生」の確認ではないだろうか。
自分も会社に入り、いきなり一つの仕事を任された。無我夢中で取り組み、結果が出たときはうれしかった。そして「面白かった」。だから仕事が「好き」になった。
しかしそれはビギナーズラック。次第に「慣れ」が心のスキを生んで、手を抜こうとする。当然結果は出ないことの方が多い。
失敗しても一生懸命取り組んだことは、次々と反省点が思い浮かぶ。
みんな「失敗」することを怖がっている。企業も、社会もまずは、「失敗」させることからはじめる方がいいのではないか。
それと甘やかす意味ではない「好きなこと」をさせることではないか。
安藤さんの言葉は無骨で厳しい。ぐだぐだ言わない。
安藤さんの建築物も、コンクリート打ちっ放しで、シンプルで時には寒々しい。
でもこの無駄を落とした「シンプル」さが、周囲の自然と調和し、美しさを生み出す。
言葉を受け取る側にも、「野生」がないと、その中にある「あたたかさ」に気づかないような気がする一冊でした。
失敗と反省の繰り返しが「野生」を取り戻すために必要です。 -
今の自分の、仕事への向き合い方のぐだぐださに
ガツンと蹴りと喝を入れられた一冊。
日本を代表する世界的建築家:安藤忠雄氏の半生を綴っていますが、
一貫して語られるのは、「チャレンジ」「野心」、
そしてそれを実践する「自由と責任」について。
もうとにかく、とにかくもうかっこいいです。
与えられた環境のせいにせず、自らで環境をつくっていく姿勢に
とても鼓舞されました。
80年以降に生まれた〝生ぬるい若者〟と言われないよう、
一歩踏み出す勇気をもってチャレンジし続けていきたいものです。-
「80年以降に生まれた〝生ぬるい若者〟と」
3.11以降、若者は皆苦しい日々を送っているでしょう。だからナマヌルイなんて言われなくなりますよ...「80年以降に生まれた〝生ぬるい若者〟と」
3.11以降、若者は皆苦しい日々を送っているでしょう。だからナマヌルイなんて言われなくなりますよ。
じゃなくて、安藤忠雄って凄いよね!2012/07/07
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物を創ってきた、それも建築という永きに渡って残り続ける足跡を残してきた著者には、金融機関で働く人間として素直な尊敬の念とある種の嫉妬心を感じる。完全に独学で建築を学び、ハンデをハンデとは思わずに常に高い次元で働く著者と、おそらくそのモチベーションを高め続けてきた名経営者や芸術家との出会いは、日本が元気だった時代背景と相まって、読みながら日本人としての愛国心を良い意味で高めてくれる。フランスにいた頃は、日本に行くフランス人の同僚や友人が皆"Nao-Shima"に行くのに驚いて、恥ずかしながら当時は島全体を使った美術館構想なども知らなかったのだが、改めて近いうちに訪れてみたいという気持ちになった(夏休み?)。
ちなみに著者と直接仕事をしたことのある友人の建築士に聞いたところ、さまざまなエピソードと共に相当エネルギッシュな人物だとのこと。そんな著者が「エネルギーの塊」「とにかく頑固」などと評する大企業の経営者や芸術家は一体どんな方々なんだろうかと、怖い物見たさでものすごく会いたくなります(笑) -
今まで安藤建築は知っていたものの、人となりは知らなかったため、イメージが覆りました。
すごく情熱を感じました。それは建築に対してだけでなく、世の中に対しても。
情熱だけでなく、しっかりと地に足のついた感性と仕事の仕方にも感心しました。
それも生い立ちを知って納得しました。
現代の子供に対する警鐘も、子供のいる身としてはすごく共感しました。