江戸の繁盛しぐさ: イキな暮らしの知恵袋

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532193577

感想・レビュー・書評

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  • 人と人とが気持ちよく過すための気遣い、気配り、思いやり。
    世間様を気にする「恥の文化」です。

    たとえば、トイレのスリッパ。脱ぎっぱなしのガキの何と多いことか。
    次の人のために全部キレイに揃えておくことがどうしてできないかね。
    要するに、いなかっぺい(井の中の蛙)が増えすぎたんだね。

    一番困ったちゃんなのが、私は江戸しぐさを知っていますという人。
    知識として学ぶもんじゃないんだね。学んで考えて実行するものなんだ。
    江戸しぐさに「型」はないの。「考え方」なの。
    相手とTPOに併せてどんどん変えていかなきゃ意味ないの。

    あ、因みに、この本の江戸しぐさってのは商家のしぐさ。ちょっとすましてるのね。
    落語なんかに出てくるべらんめぇは職人だから違います。
    今で言えば紳士淑女のたしなみってとこかな。
    無論「人を思いやる」心持は職人も商家もみな同じです。

    「死んだらごめん」「共倒れしない知恵」「読み書きそろばん以上に見る聞く話す」
    「人は世辞(挨拶の後の外交辞令)が言えたら一人前」
    「荒い言葉を使われたら原因は自分にあると思え」

    「夜明けの行灯」(家族で喧嘩しても決定的な亀裂が生じぬよう一晩おきなさい。
    一晩おいた夜明けの行灯同様、どうでもよくなる)

    「人の意見は素直に聞く」「一事が万事」「六感しぐさ」

    つまるところ「人を見る目を養う」。これに尽きると思います。

  • 最近知った「江戸しぐさ」についての本。傘同士ですれ違うときにぶつからないよう傘を傾ける“傘かしげ”などもそのうちのひとつ。“仕草の前に思草あり。”ひとつひとつのしぐさの根底に、共生していくための思想がある。これはみんなに知ってほしいな。

  • 拳浮かせと傘の避けは粋なしぐさだよ。

  • 今まで知らなかった江戸の人々の礼儀・仕草・粋が分かって、非常に興味深い本であった。

    「おしんこやし」や「かごとめしぐさ」「こぶし腰浮かせ」「七三の道」など。

  • 粋でありたいのだ
    粋を学ばねばならんのだ

  • <本の紹介>
    互いの傘を外側に傾けてすれ違う「傘かしげ」、あとから乗ってくる客のためにこぶしひとつ分の幅を詰めて空間をつくる「こぶし腰浮かせ」など、江戸の商人たちが築き上げた「気持ちよく生きるための知恵」満載!

    この本は、Aちゃんが紹介してくれたんだけど、「日本人のいいとこってもっとあると思うんだ」って話をしてたとき教えてもらった本。
    早速読んでみました。

    結構大事なこと言ってるなって感じた。
    そして、江戸時代ってすごいじゃん、とも感じた。

    単に安穏と過ごしてたから平和な400年だったわけじゃない。
    一日一日をもっと良くしていこう、お互いに気持ちよく過ごしていけるようになろう、そうした努力を積み重ねてきた400年だったんだってことが、よくわかりました。時代を治めていくのは確かにお上だったかもしれない。でも、お上だけじゃ世の中は治まらない。
    やっぱり庶民一人一人の意識や生活レベルによる部分も非常に大きかったんじゃないかなと思いました。今、希薄だなと自分が感じている部分。
    今の時代にこの時代の人たちがいたら、仕事めっちゃできる人たちだったんだろな~と思います。自分もそうだけど、なかなか相手への気遣いってのができてなかったりするときもある。
    そんな余裕なかったりして。で、後から後悔・・・orz

    「この人と会うのは自分の人生で今の一度きりかもしれない。だから今日の付き合いを美しく、大切で楽しいものにしていこう。」
    「汗を流している人がいたら冷たいおしぼりや水を一杯出すとか、健康状態は見ればわかるのに「お元気ですか」なんて言わない。見て分かることは口に出さずに実行する。」
    「意見の不一致を歓迎すること。2人の人間がいて、いつも意見が一致するならそのうちの1人はいなくてもいい。改善を求めるなら、違いがあることを大事にすべき。」
    「うまくいっている勉強会はメンバーが良いのはむろんだが、縁の下の力持ちとして幹事が実にきめ細かく気配り、手配りをしている。何かおもしろそうだ、自分の得になりそうだと、目先の計算で動く人が増えているだけに、幹事役がきわめて貴重な存在になってくる。最終的には縁なき衆生は去っていくにしても、幹事があってこそ人の輪ができる。」
    「言葉は「言の端」ではなく、事(行為、行動)と同じ意味を持つ。言葉の乱れは生活の乱れ、逆に、生活の乱れは言葉の乱れ。」

    こういったことが当たり前にできなきゃ、「江戸の人」としては笑われた。
    あと、心に残ったのは相手を見て、相手に合わせて自分の振る舞いを変えることが当然と思われていたこと。相手が乱暴な言葉遣いなら、こちらもそうする。相手が心のこもった応対をしてくれるなら、こちらもそうする。

    なんとなく、そうなってるし、それでいいんだろうな、って思いました。
    だからこそ、自分がその人と気持ちいい付き合いをしていきたかったら、自分が相手にどれだけ気持ちよく思ってもらえているかが大事になる。
    お金の問題とか、自分さえよければ良いとか、そういうことでなく。

    先人に学ぶことってまだまだいっぱいありそうすね。

  • 一時期大流行になった「江戸しぐさ」についての本ですが、
    学校法人でのテキストになるなど、さまざまな文献の中でも、信頼のおけるものだと思います。
    それはしぐさだけでなく、心意気全体のことを意味することを、改めて気づかされます。

  • 江戸っ子としては
    気になるんですよね。
    人種のるつぼ・花のお江戸で、
    どう他人と上手くつき合っていくか・・
    ということ。
    江戸時代の人たちは、思いやりこそ、
    皆が穏やかに暮らせる方法、と
    暗黙の了解のうち、
    しっかり実践していたのだそうです。
    「江戸しぐさ」は
    日本が近代化・西洋化するにつれ
    失われてしまった、もともと
    日本人が持っていた宝のようなものです。
    日本は進んだの?それとも
    退化してしまったの??

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著者プロフィール

監修・越川禮子(こしかわ・れいこ)
1926年東京都生まれ。(株)インテリジェンス・サービス設立者。「NPO法人江戸しぐさ」名誉会長。「江戸語りべの会」主宰。江戸しぐさの伝承者であった故・芝三光氏の最後の弟子で、江戸しぐさの語り部として、講演活動や執筆など、江戸しぐさの普及に尽力している。著書に『江戸の繁盛しぐさ』『「江戸しぐさ」完全理解』など多数。





「2013年 『思いやりの心 江戸しぐさ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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