ゲーム・チェンジャーの競争戦略: ルール、相手、土俵を変える
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2018年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198787
作品紹介・あらすじ
業界秩序を壊せ!
アマゾンウェブサービス、スポティファイなど、競争のルールを破壊する企業(ゲーム・チェンジャー)の戦い方と、その防衛策を明らかにする。
販売チャネルやコスト構造、得意とする技術や業態、ブランドイメージがまったく異なる相手と戦う局面(異業種競争)が増えています。本書は、そうした戦いのなかで「競争のルールを破壊する企業」にフォーカス。彼らの戦い方を次の4つに類型化し、その攻め方、守り方を明らかにします。
・秩序破壊型……相手の儲けの仕組みを無力化する
・市場創造型……顧客が気づいていない価値を具体化する
・ビジネス創造型……まったく新しい事業モデルをつくり出す
・プロセス改革型……バリューチェーンを見直し、新たな価値をつくり出す
競争のルールが破壊されると、それまでの「勝ちパターン」は簡単に失われてしまいます。うまくいっている場合ほど、窮地に追い込まれる恐れがあります。しかし、新しい競争ルールをつくる側に立てば、新規事業やイノベーションを起こす、あるいは現在の事業領域をさらに広げるチャンスです。
さらには、攻められる側(既存企業)の戦い方(防衛戦略)にも注目しました。
感想・レビュー・書評
-
大企業による新規事業や、大企業の事業をスタートアップの新事業が凌駕した事例を分析した一冊。LINE、アクションカメラ、セブン銀行、俺のレストラン、ベルリッツなど。セブン銀行は、それまでの銀行業とは異なり、預金引き出し手数料に特化した収益モデル。これを実現するために、コンビニ等の各店舗にATMを設置し、顧客のアクセス利便性を究極的に高めるという戦術で、既存のルールを大きく変える「秩序破壊型」。このほか、「プロセス改革型」「ビジネス創造型」「市場創造型」などの事例が詳しく説明されていて、どれも納得の説明。やはりなんでも具体化すると理解しやすい。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それが難しいんだよな。
-
大小のイノベーション、ゲームチェンジャーなビジネスの事例を分類し、どのようにゲームチェンジを起こすか、またゲームチェンジャーに対してどう対抗するか、ということを書こうとしているとおもいます。
<★プラス要素>
序盤の、ゲームチェンジャーの4分類(新or既存ビジネスモデル × 新or既存市場・製品)や、ビジネスチェーン・バリューチェーンを用いた分析手法があることの紹介は、頭の整理・体操になりました。
<★マイナス要素>
一方で、よくない点として
・具体的な分類に関して、『抜け漏れあり・ダブりあり』の感がある。(個人的にはそれが気になって文章が入ってこない。)
ex) 「俺のフレンチ」を既存市場・既存ビジネスモデルに分類しているが、広告費の捉え方を代表に利益設計が異なり、ビジネスモデルは新規ともいえる。
・上記分類方法の抜け漏れダブりは、「具体的にどうやってゲームチェンジビジネスをするか」の洞察に富んだ内容であれば気にならないが、その辺の洞察は浅い。洞察はない。
・書内に一貫した主張があるわけでもなく、「セミナーの無料冊子」くらいのレベル感の記載。
読んで損とまでは言いませんが、もっといい本があるかも、です。 -
業界の垣根を越え、顧客を奪い合う「異業種競争」。近年、激しさを増すこの戦いについて、攻める側、守る側の両面から解説した書籍。
既存の業界に新たな競争のルールを持ち込む企業を「ゲーム・チェンジャー」と呼び、次の4つに類型化できる。
①秩序破壊型(Breaker):スマホゲーム
これまでとほぼ同じ製品やサービスを、異なる儲けの仕組みで提供する。
②市場創造型(Creator):東進ハイスクール
儲けの仕組みはこれまでと同じだが、全く新しい製品やサービスを提供する。
③ビジネス創造型(Developer):価格ドットコム
これまで存在しなかった製品やサービスを、新しい儲けの仕組みで提供する。
④プロセス改革型(Arranger):セブンカフェ
製品やサービスも、儲けの仕組みも既存のものと同じだが、自社の仕事の流れやバリューチェーンを見直すことで顧客に新しい価値を提供する。
既存企業が既存のビジネスを守る場合も、上記の方法が通用する。例えば以下のようなもの。
・野村證券は、手数料の安いネット証券と同じ土俵で戦わず、優良顧客を大切にする。基本は支店や営業担当者が対応し、夜間の取引など、追加的なサービスをネットで行う。
⇒「プロセス改革型」での対抗
・ヤマト運輸は、価格競争に陥りつつあった宅配便市場で、「クール宅急便」などの新サービスを次々と打ち出し、業界リーダーの地位を保っている。
⇒「市場創造型」での対抗
・新品タイヤメーカーのブリヂストンは、新品のようにつくり直した再生タイヤを販売するビジネスを行っている。
⇒「秩序破壊型」での対抗
※ビジネス創造型は新規事業立ち上げと同じで、既存事業の防衛にはならない。 -
ゲームチェンジャーを4つに分類しそれぞれの特徴を具体例をあげて説明。とても完成度が高い読み物。省略・束ねる・置き換え・選択肢の広がり・追加。新たなビジネスを考える際の思考の引き出しにしておこうと思う。
-
競争に立ち向かう戦術を4つに分けて、実際の企業のビジネスモデルに当てはめて解説した一冊。①秩序破壊型:相手の儲けの仕組みを無力化。Line、サンリオ、セブン銀行。②市場想像型:顧客が気付いていない価値を具本化。電子書籍、アクションカメラ。③ビジネス創造型:新たな事業モデル。カーシェアリング。④プロセス改革型:バリューチェーンの見直し。俺のフレンチ・イタリアン。分かりやすい解説でとても面白かったです。
-
枠組みは使えるが、それだけ。もう一歩踏み込んで、なぜそのような戦略になるのかをできれば理論的な裏付けのもとに展開してほしい。読んでいて「うんうん、それで?」と思わせる著作の一冊。(私は、この類の本を、「So what本」と呼んでいます。)