ゲーム・チェンジャーの競争戦略: ルール、相手、土俵を変える

制作 : 内田 和成 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532198787

作品紹介・あらすじ

業界秩序を壊せ!
アマゾンウェブサービス、スポティファイなど、競争のルールを破壊する企業(ゲーム・チェンジャー)の戦い方と、その防衛策を明らかにする。

販売チャネルやコスト構造、得意とする技術や業態、ブランドイメージがまったく異なる相手と戦う局面(異業種競争)が増えています。本書は、そうした戦いのなかで「競争のルールを破壊する企業」にフォーカス。彼らの戦い方を次の4つに類型化し、その攻め方、守り方を明らかにします。

・秩序破壊型……相手の儲けの仕組みを無力化する
・市場創造型……顧客が気づいていない価値を具体化する
・ビジネス創造型……まったく新しい事業モデルをつくり出す
・プロセス改革型……バリューチェーンを見直し、新たな価値をつくり出す

競争のルールが破壊されると、それまでの「勝ちパターン」は簡単に失われてしまいます。うまくいっている場合ほど、窮地に追い込まれる恐れがあります。しかし、新しい競争ルールをつくる側に立てば、新規事業やイノベーションを起こす、あるいは現在の事業領域をさらに広げるチャンスです。
さらには、攻められる側(既存企業)の戦い方(防衛戦略)にも注目しました。

感想・レビュー・書評

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  • 大企業による新規事業や、大企業の事業をスタートアップの新事業が凌駕した事例を分析した一冊。LINE、アクションカメラ、セブン銀行、俺のレストラン、ベルリッツなど。セブン銀行は、それまでの銀行業とは異なり、預金引き出し手数料に特化した収益モデル。これを実現するために、コンビニ等の各店舗にATMを設置し、顧客のアクセス利便性を究極的に高めるという戦術で、既存のルールを大きく変える「秩序破壊型」。このほか、「プロセス改革型」「ビジネス創造型」「市場創造型」などの事例が詳しく説明されていて、どれも納得の説明。やはりなんでも具体化すると理解しやすい。

  • それが難しいんだよな。

  • 大小のイノベーション、ゲームチェンジャーなビジネスの事例を分類し、どのようにゲームチェンジを起こすか、またゲームチェンジャーに対してどう対抗するか、ということを書こうとしているとおもいます。

    <★プラス要素>
    序盤の、ゲームチェンジャーの4分類(新or既存ビジネスモデル × 新or既存市場・製品)や、ビジネスチェーン・バリューチェーンを用いた分析手法があることの紹介は、頭の整理・体操になりました。

    <★マイナス要素>
    一方で、よくない点として
    ・具体的な分類に関して、『抜け漏れあり・ダブりあり』の感がある。(個人的にはそれが気になって文章が入ってこない。)
    ex) 「俺のフレンチ」を既存市場・既存ビジネスモデルに分類しているが、広告費の捉え方を代表に利益設計が異なり、ビジネスモデルは新規ともいえる。
    ・上記分類方法の抜け漏れダブりは、「具体的にどうやってゲームチェンジビジネスをするか」の洞察に富んだ内容であれば気にならないが、その辺の洞察は浅い。洞察はない。
    ・書内に一貫した主張があるわけでもなく、「セミナーの無料冊子」くらいのレベル感の記載。

    読んで損とまでは言いませんが、もっといい本があるかも、です。

  • 業界の垣根を越え、顧客を奪い合う「異業種競争」。近年、激しさを増すこの戦いについて、攻める側、守る側の両面から解説した書籍。

    既存の業界に新たな競争のルールを持ち込む企業を「ゲーム・チェンジャー」と呼び、次の4つに類型化できる。
    ①秩序破壊型(Breaker):スマホゲーム
    これまでとほぼ同じ製品やサービスを、異なる儲けの仕組みで提供する。

    ②市場創造型(Creator):東進ハイスクール
    儲けの仕組みはこれまでと同じだが、全く新しい製品やサービスを提供する。

    ③ビジネス創造型(Developer):価格ドットコム
    これまで存在しなかった製品やサービスを、新しい儲けの仕組みで提供する。

    ④プロセス改革型(Arranger):セブンカフェ
    製品やサービスも、儲けの仕組みも既存のものと同じだが、自社の仕事の流れやバリューチェーンを見直すことで顧客に新しい価値を提供する。

    既存企業が既存のビジネスを守る場合も、上記の方法が通用する。例えば以下のようなもの。
    ・野村證券は、手数料の安いネット証券と同じ土俵で戦わず、優良顧客を大切にする。基本は支店や営業担当者が対応し、夜間の取引など、追加的なサービスをネットで行う。
    ⇒「プロセス改革型」での対抗

    ・ヤマト運輸は、価格競争に陥りつつあった宅配便市場で、「クール宅急便」などの新サービスを次々と打ち出し、業界リーダーの地位を保っている。
    ⇒「市場創造型」での対抗

    ・新品タイヤメーカーのブリヂストンは、新品のようにつくり直した再生タイヤを販売するビジネスを行っている。
    ⇒「秩序破壊型」での対抗

    ※ビジネス創造型は新規事業立ち上げと同じで、既存事業の防衛にはならない。

  • ゲームチェンジャーを4つに分類しそれぞれの特徴を具体例をあげて説明。とても完成度が高い読み物。省略・束ねる・置き換え・選択肢の広がり・追加。新たなビジネスを考える際の思考の引き出しにしておこうと思う。

  • 競争に立ち向かう戦術を4つに分けて、実際の企業のビジネスモデルに当てはめて解説した一冊。①秩序破壊型:相手の儲けの仕組みを無力化。Line、サンリオ、セブン銀行。②市場想像型:顧客が気付いていない価値を具本化。電子書籍、アクションカメラ。③ビジネス創造型:新たな事業モデル。カーシェアリング。④プロセス改革型:バリューチェーンの見直し。俺のフレンチ・イタリアン。分かりやすい解説でとても面白かったです。

  • 技術革新により様々な業界で異業種からの参入が相次いでいるが、それら企業を独自のフレームワークで分類し、それぞれの戦略を紹介している。個別企業の実例はよく知られているものもあるが、それらを体系的にまとめられているので、例えば自社の経営分析に参考になると思う。

    既存のビジネスの収益モデルや市場を変化させ、既存企業の脅威となる、外からやってきた企業をゲームチェンジャーと表現している。
    そして、そのゲームチェンジャーの戦略を製品かサービスで分け、収益モデルを新しいものか既存のものかで分ける事で、4つのタイプに分けている。
    そして各タイプの戦略の詳細を各章で解説している。
    具体的には実例を挙げながら、強み、既存企業への影響や、ビジネスモデル構築のポイントなどを解説している。
    そして最終章では既存企業がそれぞれのゲームチェンジャーに対してどのように対応していくかを解説している。

    既存サービス、新しい儲け方(秩序破壊型)
    相手のビジネスを無力化する。
    例 ラインやネットゲームなど、電話やゲーム自体は無料にして、広告や課金で収益を上げる。

    新しいサービス、既存の儲け方(市場創造型)
    顧客が気付いてないニーズを具体化する
    例 アクションカメラのGoPro、東進の映像講義
    過程で楽しむホームカメラから、SNSなどでのアップが目的となりそれに合わせたGoProの装着できる小さなカメラ
    都会の浪人生が減り、地方や時間の無い現役生でも講義が受けやすい映像講義

    新しいサービス、儲け方(ビジネス創造型)
    新たな事業を作り出す
    例 価格コム、大和ハウスのDプロジェクト
    価格コムは比較サイトで広告収入と全く新しい
    ネット通販の急増で物流センターの再構築が必要となった。物流センター建設は立地、設備など様々な専門知識が必要。Dプロジェクトはされらをフルサポートで提案、更に自社の土地の賃貸する事も選択肢として提案することでコストも抑える提案ができる。専門知識の無い経営層が判断できる状況を作る。

    既存のサービス、儲け方(プロセス改善型)
    バリューチェーンを見直す
    例 俺のシリーズ、スーパーホテル
    俺のシリーズ 立ち飲みスタイルで回転率を上げることで高級料理を低価格で提供
    追加料金のかかるサービスを撤廃し完全前払いシステムを構築。

  • 既存のルールに則らない商品やサービスがなぜ市場に受け入れられるかを、多くの事例と共にわかりやすく一般化・分類した一冊

    【既存の業界が変わるゲームチェンジとは】
    例)音楽業界:
    レコードやCDの時代…レコード会社が主役
    →2003年「iTunes」音楽配信で主役がIT企業に
    →Spotifyに代表される「ストリーミング」が主流に
    =音楽をCDやデジタルコンテンツの形で購入、手元に置き好きな時に聴く
     →クラウド上にある音楽を定額で好きな時に聴く

    …既存の業界に新たな競争のルールを持ち込むプレーヤー
     =ゲーム・チェンジャー

    ゲームチェンジのパターン
     1.競争の土俵が変わる
     2.競争の相手が変わる
     3.競争のルールが変わる

    ゲーム・チェンジャーの4類型
    ・プロセス改革型(既存の儲けのしくみ×既存の商品・サービス)
    ・秩序破壊型(新しい儲けのしくみ×既存の製品・サービス)
    ・市場創造型(既存の儲けのしくみ×新しい製品・サービス)
    ・ビジネス創造型(新しい儲けのしくみ×新しい製品・サービス)

    【秩序破壊型(Breaker)とは】(新しい儲けのしくみ×既存の製品・サービス)
     …既存の製品・サービスとほぼ同じものを、異なる儲けのしくみで提供する
     →新しい儲けのしくみが既存企業にとってマネできないことが鍵
    例)スマホゲーム:
    (従来)ゲーム専用機(ハード)とソフト両方の購入が必要(従来は補完品であるソフトで儲けを出していた)
    →ハード不要。無料~数百円でゲームできる(広告とアイテム課金で収益化)

    例)リブセンス:
    (従来)求人を掲載する企業が掲載料を払って一定期間広告を掲載
    →掲載料は無料。成功報酬型。応募者がアルバイトを見つけた際には、お祝い金として求人掲載企業からの掲載料の一部を与えることでとりっぱぐれを阻止

    例)LINEの無料通話機能、ネスレのネスカフェ・アンバサダー、セブン銀行など

    【市場創造型(Creator)とは】(既存の儲けのしくみ×新しい製品・サービス)
     …儲けのしくみは同じでも、まったく新しい製品やサービスを提供することで、新しい市場を作り出す
    →顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを具体化することが鍵

    例)JINSのパソコン用メガネ:
    儲けのしくみはこれまでの眼鏡と同じだが、眼鏡と言う既存の商品に新たな用途を見つけることで市場創造に成功

    例)東進ハイスクール:
    (従来)大都市圏に大規模教室を設置、大人数でライブ講義
    →地方都市にも校舎を多数展開し、衛星を使った講義を好きな時間に受講できるオンデマンド型講義で急成長

    例)電子書籍など


    【ビジネス創造型(Developer)とは】(新しい儲けのしくみ×新しい製品・サービス)
     …これまで世の中になかった製品やサービスを新たな儲けの仕組みで提供
     →想像力と創造力の両方を結び付けることが鍵=計画的には難しい
     →0から生み出されるものではない、どんな経営資源があったからできたのか、とんな顧客層をターゲットにしたからできたのかに注目

    例)価格.com:各小売店の価格情報を簡単に比較できるサイト。小売店からの広告収入+ECサイトにユーザーが移動した際の手数料

    例)カーシェアリング、App storeなど

    【プロセス改革型(Arranger)とは】(既存の儲けのしくみ×既存の商品・サービス)
     …自社の仕事の流れやバリューチェーンを見直すことで顧客に新しい価値を提供
    例)Amazon書籍のネット通販:
    既存の書店と同じ書籍や雑誌を扱う+本の代金が売り上げになる(製品も儲けのしくみも同じ)
    →ネット上に店舗があるため、ユーザーは出かける必要が無い、探しやすいなど新しい価値を提供している

    例)俺の株式会社、QBハウスなど

    【事業連鎖(ビジネスチェーン)と価値連鎖(バリューチェーン)】
     〇事業連鎖(ビジネスチェーン)=業界全体の流れ
     〇価値連鎖(バリューチェーン)=1つの会社内での流れ
    例)カメラ業界のビジネスチェーン:
     「記録媒体」→「撮影」→「現像・焼き付け」→「保存・鑑賞」
     「メモリーカード」→「デジカメ」→「プリンター」→「パソコン」
    例)記録媒体を作る会社のバリューチェーン:
     「商品開発」→「調達」→「製造」→「販売」→「物流」
     レストランのバリューチェーン:
     「メニュー開発」→「仕入れ」→「調達」→「調理」→「サービス提供」


    【事業連鎖におけるゲームチェンジの5つのアプローチ】
    1.省略(中抜きする)
    2.束ねる(結合する)
    3.置き換え(代替する)
    4.選択肢の広がり(選択肢を増やす)
    5.追加(新しい機能や価値を付け加える)

    (1.省略)
     =不便さを解消
    例)VODサービス:
    店舗型のレンタルサービスにおける「パッケージ」「レンタル」の段階を省いた
    例)スマホゲーム:
     ゲームの「パッケージ化」「流通」「販売」の段階を省いた

    (2.束ねる)
     =利便性の向上
    例)スマホ:
    携帯電話=通話機能→ スマホ=通話+通信+etc.

    例)トリップアドバイザー:
    ワンストップで料金の比較、口コミの閲覧、予約への移行もスムーズ

    (3.置き換え)
     =不便さ解消
    例)東進ハイスクール:
    都内の大規模教室での講義を映像講義に置き換え
    →予備校ビジネスの競争優位が「都心に大型教室を持つこと」から「講師や講義の質」に変化
    例)LINEの無料通話サービス:
    電話回線を使った既存の通話をインターネット回線による通信機能を用いた通話に置き換えたことで、通話無料で課金や広告収入へと儲けのしくみをシフト

    (4.選択肢の広がり)
     =利便性の向上
    例)セブンカフェやネスカフェ:
    同じ一杯のコーヒーでも提供する場所やサービスの程度、価格によって様々な選択肢の広がり
    →利用者にとってより利便性の高い選択肢を提供することが可能

    (5.追加)
     =利便性の向上
    例)セブン銀行:
    金融機関と消費者の間に入り込むことで手数料を得る
    例)パソコン用メガネ:
     既存のメガネに新機能を追加

    【バリューチェーンを再評価する4つのアプローチ】
     1.やめる
     2.強める
     3.混ぜる
     4.単純化する

    (1.やめる)
     =社内プロセスの一部を行わない
    例)QBハウスの1000円カット:
     従来の散髪屋で行っていた洗髪や顔剃りなどを省略して、カットだけにすることでコストダウンを実現

    (2.強める)
     =提供までのプロセスを増やし、より特定ニーズに特化した商品・サービスを提供
    例)スタジオアリスの子供専用サービス:
     「子供の衣装調達」や「衣装の提供」といったプロセスを既存のバリューチェーンに加え、プロセスを強化

    (3.混ぜる)
     =異なる商材を組み合わせて競争の軸をずらす
    例)クスリのアオキ:
     医薬品+生鮮食品で、新しい顧客を呼び込む。低価格の食品で顧客を引きつけ、利益率の高い医薬品を同時に購入してもらうことで成功

    (4.単純化する)
     =プロセスを標準化して事業規模を拡大する
    例)ブックオフの買い取り業務:
     従来では古本屋の店主の手腕で買い取り価格を決めていたが、ブックオフでは「外見のきれいさ」というわかりやすい基準を標準化することで、店舗をチェーン店化した

    【ゲーム・チェンジャーに対する防衛戦略】
    なぜうまくゲーム・チェンジャーから防御できないのか?
    →1.顧客ニーズの変化を捉えられなかった…代ゼミの予備校事業など
     2.自社の儲けのしくみを脅かす存在に上手く対応できなかった…スマホゲームの台頭をするした任天堂など

    (防衛戦略ごとの打ち手)
    相手:プロセス改革型→プ改革=そのままマネするのはやめるべき、市場=効果的、秩序=やめるべき、ビジネス=なし
    相手:市場創造型→プ改革=効果的、市場=効果的、秩序=やめるべき、ビジネス=なし
    相手:秩序破壊型=プ改革=やめるべき、市場=効果的、秩序=ありうるが高リスク、ビジネス=なし
    相手:ビジネス創造型→プ改革=やめるべき、市場=効果的、秩序=ありうるが高リスク、ビジネス=なし

    →市場創造型最強説
     …既存の土俵とは違ったところに市場を新しく作るため、ゲーム・チェンジャーの影響を受けにくい

  • 枠組みは使えるが、それだけ。もう一歩踏み込んで、なぜそのような戦略になるのかをできれば理論的な裏付けのもとに展開してほしい。読んでいて「うんうん、それで?」と思わせる著作の一冊。(私は、この類の本を、「So what本」と呼んでいます。)

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