日本の「中国人」社会

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532263935

作品紹介・あらすじ

日本の中に、「小さな中国社会」ができていた!
70万人時代に突入した「彼ら」は、高知県の人口とほぼ同数を誇る。
「隣の中国人」の本音を探るルポルタージュ。

◆著者は、中国に関する数々の書籍を刊行するジャーナリストで、客観的かつ鋭い分析を得意とする。『なぜ中国人は財布を持たないのか(日経プレミアシリーズ)』(2017年10月刊)はロングセラーに。著作は市民や社会の実像を念入りに取材したものが多く、今回も豊富な取材による「生の声」を紹介。『なぜ中国人は~』が中国に住んでいる中国人に注目したのに対し、今回は日本に住んでいる中国人に焦点を当てる。日本に住んでいる中国人の数は、日本の都道府県で人口下位の鳥取県(56万人)、島根県(68万人)よりも既に多い。もはや最も身近な外国人と言っても過言ではない日本在住の中国人が何を考えているのかを探る。

◆「日本語の曖昧表現に困惑」「日本で育った『草食系』中国人」「中国より日本のほうが起業しやすい」「進学校の中の成績優秀者は中国人」「すべての業界にいる中国人ビジネスパーソン」「有名大学の日本の校友会に集うすごいメンバー」……。本書では、数多くの「実例」に基づき、日本に在住する中国人の姿を浮き彫りにする。

◆中国に興味のある方、ビジネスで中国と関わる方や、中国市場を狙うビジネスパーソンにお薦めです。

感想・レビュー・書評

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  • 本に書かれている状況がコロナ後も続いているのか。とても気になる。

  • 日本に住む73万人の中国人の実態を インタビューや個人の視点から記したもの。
    総じてミクロの視点からの記述の割にはルポタージュとしての面白みに欠ける。
    ・日本人に有名な中華料理店と中国人のそれは違う
    ・今(2018年)日本に来る中国人は昔に比べて金持ちで優秀の人が多い
    ・中国人は大人でも よく勉強する。ビジネススクール(2年350万円)、学習アプリ(得到)はやってみたい。

  • なんとなく日本にいる中国人をサポートしたいと思っていたけど、在日中国人が具体的に何に困っているのか、どういう側面からサポートできるのか知ることができた。
    心理的なサポートもある。
    親が積極的にPTAに立候補するっていうのは面白いなと思った。
    「中国リテラシー」が低い日本 初めて聞いた表現で印象に残った
    「サラダボウルと同じで、野菜同士は同じボウルの中にあっても、ドレッシングがなければ交わらない」
    「中国に帰っていたら、自分の伸びしろは大きかったかもしれない。でもその分競争が激しいから失敗していた可能性もある。日本は中国ほどの伸びしろはないかもしれないけど、公平な社会だから努力次第で成功できる」
    「中国人のゴミ出しマナーは・・」の「中国人」を個人の名前に置き換えてみる。「〇〇人は」と一括にする視点を捨てることが開かれた社会につながっていくのでは。

  • 2021/03/23

  • 今や私たち日本人にとって、中国の存在は良くも悪くも切り離せないものです。特に、新型コロナウイルス流行の際には、マスクの不足などでそのことを改めて思い知らされたような気がします。メディアの報じ方などにより、中国人に対する悪い偏見が多いことも事実ですが、中国とうまく付き合っていくことは、その影響力を考えるととても重要です。これからは多様な情報の中から正しい情報を見極め、偏った感情的な見方を改め、将来に向けて正しい行動を選択するように心がけることが大事である、と教えてくれた1冊だと感じています。

    【気づき】

    ・中国人への偏見は多い。特に、テレビやインターネットで得る情報には、目を引くために偏ったものが多い可能性が高いことを頭に置く必要がある。
    ・正しい情報を得る努力をして、真正面から中国と向き合う。中国は広く、国の中でも多様性があることに注意する。
    ・良いものは受け入れていくことで、日本人にとっても大きなメリットを得られる。ただし、経済面だけを考えて依存度を高めてしまうと、今回のコロナウイルス流行時のようなリスクを負うことには注意すべきかもしれない。

    【本のハイライト】

    ・人口14億人の中国はあまりにも巨大で、多様で、奥が深い。社会の変化も尋常ではなく速く、人々が常に流動している。
    ・人口減少、少子高齢化、外国人労働者受け入れなどの課題がある日本人にとって、70万人以上になった在日中国人の存在は無視できないほど大きくなった。「中国の縮図」が在日中国人社会ならば、そこから理解の糸口をたどることが中国を理解する第一歩かもしれない。
    ・距離が近づけば傷つけあったり、摩擦も避けられないが、無闇に恐れたり、お互いに遠くから眺めているだけでは何も始まらない。今こそ真正面からしっかりと向き合いたい。

    〇日本に持ち込まれた「コミュニティ」の構造
    ・「ゆるいつながり」だから伝えられることもある。SNSだけのつながりだから、遠慮なく聞けることがある。うまく商売に活用できることもある。
    ・海外では母国語で入ってくる情報と現地語で入ってくる情報に大きな格差がある。そこに住むからこその出会いもある。
    ・コミュニケーションの主なツールはSNSへ変化しているが、基本的に人間のコミュニティは昔からほとんど変わっていないのではないか。中国人は人数が爆発的に増加しているので、その多様化が進んでいる。

    〇勉強に駆り立てられる人々
    ・日本の経営者はひとつの分野を突き進み、そのクオリティを高めていこうとするところがあるが、中国人経営者はいろいろなことに挑戦して動き回るタイプが多い。それが新たなエネルギーを生み出す。変化に追いつくためには、できるだけ違う業界の方と接触し、自分の頭を柔軟にしておく。幅広い知識や教養を身につけることが重要。
    ・今の中国人は日々洪水のように大量の情報を浴びている。その情報をきちんと精査し取捨選択する、的確な情報に自らアクセスする、有益な情報をキャッチするためには自身の審美眼を磨かなくてはいけない。そのためにみんな努力している。変化の激しい中国では、過去に貴重な経験や栄光があっても、それが通用しない。多くの人は自覚し、危機感を抱いている。中高年が20代の若者から真摯に学ばなければいけない時代となっている。
    ・中国では何か問題が生じれば、法をかいくぐってでも「解決策」講じようとする人が必ず現れる。違法やグレーゾーンは珍しくない。学歴が重要で、実利があるなら国籍を変えてもいいと考えて大金を支払う人がいても不思議ではない。

    〇日本に住むことの利点と難点
    ・日本市場が縮小し、中国人観光客によく売れる商品を販売するメーカーなどにとっては、越境ECを手掛ける在日中国人と手を組んで、自ら中国進出するリスクを回避して中国人に直接販売が可能に。中国の国産品のレベルも上がっているが、消費者は依然海外製品に憧れがある。地理的な距離、中国国内の物価高騰もあって、今後も日本製品の需要はある。
    ・今後の日本を支える産業は消費財、観光、医療、ファッション、文化、教養、伝統になっていくのではないか。
    ・中国人は中国人なりの「バイアス」をかけて、その地域や人々を見てしまう面があることに注意。「中国人」同士でも、あまりに国土が広く、お互いによく知らないからこそ、ステレオタイプで相手を見る傾向がある。見えないライバル意識的なものも存在する。
    ・ささいなやりとりの中にある小さな問題や誤解の積み重ね、思い込みが、日本人の中国に対する大きな誤解やギャップにつながる。日本人は「中国リテラシー」が総じて低く、身近な中国人を通して見た中国を「正しい」と思いこむ。お互いに根本的なところで、まだ知らないこと、誤解していることは多い。
    ・中国では魅力的な投資先がなかなか見つからない、もう投資が終わったという理由で日本に目が行く。余剰資金があり、地理的事情、技術力を魅力に感じ投資する。後継者がいない企業の買収や業務提携、不動産投資が増加。
    ・中国企業に多いパターンは、とりあえず欲しいものは手中に収め、短期間に大儲けするもの。技術をコツコツ積み上げる発想があまりない。日本が受け入れがたい理由でもある。双方の置かれた状況やお国柄の理解が大切。

    〇私たちは「違う世界」に生きている
    ・身近な中国人との間に「かなり情報のバックグラウンドに違いがある」「全く違う情報網持っている」と認識している人は少ない。同じ東アジアということだけで、欧米人と比べて違いを意識しにくい。本当はかなり違いは多く、気がつかないと深刻なコミュニケーションギャップにつながることもある。
    ・SNSで物理的につながることはできても、情報を共有するかは別。成長して生活環境や内面が変わるにつれ、付き合いが変化し、自分に合ったコミュニティが完成されていく。

    〇彼らがこの国に住み続ける理由
    ・最近では中国人のマナーは劇的に向上している。かえって日本でサービスの低下が見られることもある。
    ・日本人にとっても、中国人と同様、外国人と共生していくことは言葉で言うより難しい。自分が当事者にならないと関心は持てないかもしれないが、日本が彼らをどう受け入れていくのか、それにより日本社会がどう変わるかは私たち一人ひとりの問題でもある。

  • 中国人と一括りにすると大きな間違いを犯すことになることがよく分かる話が満載だった。人種に限らず同じ人間として、同じようなところで悩み、考え、その日を暮らしていっているんだと感じた。外国に出ている人の方が、国内だけで暮らしている人に比べて自分の人生についてより深く考えている人が多いと感じるのは、人種を問わないことだろう。日本人は外に出て、もう少し自分のことについて、日本のことについて考えるべきだと考えさせられた。

  • ・プロローグ
    →昔とは違う現状の日本における中国人の在り方。
    ・第一章 なぜ、この街にばかり集まるのか
    →一定の地区に集中して住む中国人とまたそこに住む日本人との在り方。
    ・第二章 日本に持ち込まれたコミュニティの構造
    →日本において中国人が各々のコミュニティをつくり集まり互いに情報網をつくりあげている。またそれの土台となる中国ならではのSNSの使用。
    ・第三章 勉強に駆り立てられる人々
    →日本とは違い目まぐるしいスピードで変化している中国。子供から大人まで常に変化に追いついていかなければという危機感。また日本と中国の教育環境を上手く利用した親の子供への教育機会。
    ・第四章 日本の教育はゆるすぎる
    →子供と親が絡んだ中国での受験戦争。
    ・第五章 日本に住むこと、その利点と難点
    →中国人による日本を経由した中国へのビジネス。
    第六章 私たちは違う世界に生きている
    →食文化、コミュニケーションといった同じアジア人でも異なる見方、考え方。同じ中国料理でも日本の中国料理とはかなり差異がある。
    第七章 彼らがこの国に住み続ける理由
    →日本に住む中国人それぞれが思う考える日本における理由。

    →今後における〇〇人は〜という一括りの考え方からの脱出の必要性。


    日本に中国人が増えてきているのは肌で感じていたが、当事者達の現状までは知る由がなかった。この本を通して日本で彼らがどういった目的または理由で生きているのかを知ることができ、またその反面『中国社会を理解する』という点においてもとても勉強になりました。
    私が精読できていないのかもしれませんが、比較的エリート、富裕層の方々の証言が多々描かれていると思ったので、より一般層の方に焦点を当てた現状も知り得てみたいと思いました。

  • 比較的最近の日本にいる中国人のお話。
    日本にはすでに70万人以上の中国人がおり、短期・公務、さらに帰化した中国系を含めると100万人もいるらしい。

    西川口といったすでに中国人が多いことで有名になった場所、そのほか中華街とは別に中華学校の存在等の理由で中国人が集まっている横浜市南区の話とか興味深い。

    筆者が言うようにSNSの発達等で本国と瞬時に繋がりを持ち続ける分、今の中国人は日本人化しなくともやっていけるところはあるのだろうなと思う。

    また筆者は日本人の中国・中国人に対する理解力の低さについて書いているが、それはつまり中国人が日本人を理解することも難しいということなのではないか?とも思う。自分自身中国に関わってみて、確かに大きく違うと思うし、根本的に相容れない考え方を持っている人も多い。だが中国人も違う考え方を尊重できるほど視野が広くもないという印象だ。

    これだけ物理的にも文化的にも近い日本が、彼らを理解できないのであれば、では世界で誰が理解できているのだろうか?という気もする。

  • 今の中国は、奥が深いですね。

  • <目次>
    プロローグ日本の中国人は、高地県民とほぼ同数
    第1章なぜ、この街ばかりに集まるのか
    第2章日本に持ち込まれたコミュニティの構造
    第3章勉強に駆り立てられる人々
    第4章日本の教育はゆるすぎる!
    第5章日本に住むこと、その利点と難点
    第6章私たちは違う世界に生きている
    第7章彼らが、この国に住み続ける理由
    エピローグ黄さんが日本で送った日々
    あとがき

    2018/12/10 初版

    みんながんばってるよ
    中国人コミュニティに入っていろいろ知りたいなあ

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著者プロフィール

ジャーナリスト。
1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』『日本の「中国人」社会』『中国人は見ている。』(以上、日経プレミアシリーズ)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか』(プレジデント社)、『中国人のお金の使い道』(PHP研究所)などがある。

「2023年 『中国人が日本を買う理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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