読書をする子は○○がすごい

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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本棚登録 : 543
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532264628

作品紹介・あらすじ

●問題文が読めない子どもたち
 新井紀子教授の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』によると、中学生の約5割が教科書の内容を読み取れないということだが、著者の周りでも困った学生が増えている。
 まず、心理検査やアンケート調査が正確に行えない。質問文の意味がわからないのだ。「内向的って何ですか?」「引っ込み思案って何ですか?」という質問が普通に出てくる。学生たちと話すと、「そんな言葉は日常会話やSNSでは使わないから」ということだそうだ。
 読書時間ゼロの学生がいまや50%を超えた。半分の学生は本当にまったく本を読まない。一方で、文科省はアクティブ・ラーニングの方向に舵を切り、プレゼン、対話型の授業を増やしている。ただ、対話と言ってもお互い何も話さずじっとしていたり、プレゼンも自分の持ち時間を使い切れずに終わるなど、悲しい事例がそこかしこにあるようだ。
 人間は言葉でものを考えるわけだから、言葉を自分の中に取り込むきっかけとなる読書をしないのは、思考力を身につけるという点においては大きなハンディだ。脳科学の研究データからも、読書習慣は神経繊維の発達や言語性知能の向上と関係していることがわかっている。
 本書は、伝えたいことがうまく伝えれない、その原因として、読書量の危機的な減少をあげ、子ども時代にしておくべきことについて語る。

●子どものトラブル増加も「通じない」にある
 小学生の暴力件数が高校生のそれを超えたというのは『伸びる子どもは○○がすごい』にも書いたが、自分の状況がうまく言葉で伝えられない、また相手の言葉が理解できないというのであれば、お互いにイライラが生じ、トラブルが生じるのも当たり前だ。一方、読書によって相手の心を能動的に理解でき、心の落ち着きにも効果があるという研究もある。
 プレゼンのようなアウトプットが求められる時代だが、それも豊かなインプットがあってこそ。読書環境を作るのは一朝一夕にできるものではない。所蔵する本が多い家は自然と本を読む子どもになるという。親自身の言語能力が子どもにとっての言語環境になる。親と子どもがそろって習慣を身につけることがいま求められる。

感想・レビュー・書評

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  • 卒論研究の資料として読みました。
    当時大学四年生で活字離れについての社会学調査としてこの本を選びましたが、改めて読書ってすごいんだなって思いました。本読みが好きな方は一度でも読んでください。そして読書することを誇っていただきたいです!
    そしてAIが活躍する時代に必要な力をぜひとも考えていただきたいです。
    卒論を書く私は読書の有用性から読書離れにより起こる深刻な問題をこの本からたくさん学びました。

  • 学習言語、生活言語。学習言語を鍛えるには読書はかかせない。読書には根気強さや共感性といった非認知能力を養うという効用もある。漠然と感じてはいた読書の効能がわかった。

  • 著者の他の本も最近読んだが、行き着くところはやはり親も読書せよ、ですね。
    「読解力を身につけるためには、子供の頃から読書習慣を身につけることが大切」というシンプルな結論です。読書が大切で、良いことがたくさんある、ことが書かれてます。

    中高生は忙しくて正直本が読めない。小学校までに読書の楽しさを知っていれば、大人になってからまた本と出会えるのではないかな。でも今小学生も忙しいのかな。時間を潰すものがいくらでもある時代ですからね、、、

  • 親子で読書は好きなので読んでみましたが
    既にわかってることが多かったので目新しさはないが
    これからも読書しようというモチベーションとなりました

  • 子供に読書を勧め続けるためのモチベーションを上げるために読んだ本。

    他の本でも読んだことのある内容が多く、また同じことの繰り返しが頻出するので途中飽きてしまったが、データを元に(けっこう古いデータもあるが)論じられているので受け入れやすいと思う。

    2022年から高校の国語が文学と実用文(例えば自治体の広報や契約分等)に分かれる、というのはニュースで聞いたような気がするが、その理由が、ちょっとした通知事項もきちんと理解できない子が増えているから、というのは知らなかった。

    自分の子供の将来も心配だが、そのような子達がどんどん社会に出て行くと、話が通じない、深い話し合い等できない世の中になってしまう気がして恐ろしい。

    私は読書は好きだけど、読まないときはしばらく全く読まないこともあったけれど、子供達が読書する習慣をつけるために、私も読書を続けようと思います。

  • タイトルのような断言する書き方はなく少し残念だったが、本を読まないとどうなるかがいくつも書かれている。それだけでなくゲームやスマホの弊害といった現代の問題も交えて書かれているのでとてもリアルで良かった。
    私は小さい頃から読書をしてこなかったので空想の世界にワクワクする経験ができず、[将来の夢]というものを持つことなく30代半ばまできてしまったことに気付かされた。そのくらい読書は大事だとういことに子どもがまだ未就学の今気付けて良かった。同じ道を歩むことにならないよう本をたくさん読んで様々な擬似体験をさせて、語彙力を磨いて人生を豊かにしてあげたいと思う。

  • 読書している子どもが優秀になりやすい事を色々な視点で述べている書籍。
    本が知的好奇心を拡大させるよいツールなのは間違いない。
    現代人はデジタルコンテンツに支配されて、知的好奇心が薄れているかも。
    確かに本を介して、得た創造性は多様な効果がありそう。

  • 読書は言語形成において重要な役割を果たしていることがわかる本。生活言語と学習言語は全く別物であり、いかに幼児期における言語環境や親との接し方の重要かが書かれている。「本を読みなさい」では、大人でも読むことはない。いかに本のおもしろさを伝えるか、大人がそのモデルを示すか、いつでも本を読める環境を整えるかが必要である。自分自身、もっと本に親しみたいと思える一冊だった。

  • 若い同僚に借りて読んだ。
    述べられている内容はしごくもっともで、うなずける内容だったが、目新しいことは何もなかった感じ。同じことを何度も繰り返している気がした。

  • 娘2人は、とにかく幼児の頃から読書をしない。
    読み聞かせを試みるも興味を示さず、諦めた。
    次女に関しては何故か国語だけ極端に点が取れないことが多かった。
    読書するよう現在迄、促してきたが素直な性格にも関わらず、叶わず。
    語彙力が無さすぎて就職にも響いている次第。
    この著書を読んで「保護者が本を読み感動する姿を身近に見ているかどうかが、子どもの読書傾向に影響している」ということが判明。
    それが第一の原因だったのか‼︎
    自分も母親と全く同じで、読者する姿を見たことがない母親に、どんなに言われようとも反発して読まなかったことに気付いた。(自主的には少し)

    嫁に出てから育児期間は全く読まず。
    娘たちがある程度成長した頃、余裕も出てきて蔵書だけは増えてきたため(積読)
    「当たり前のように本のある生活」の環境になったためか、次女は多少は読むようになった。
    一冊の内容としては重複箇所が多い気がしたが、気付きを与えていただいた一冊だった。
    娘たちには、子どもが出来た頃にこれらの仕組みを伝えたい。

      2021,7,20〜8,15 4時間59分

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著者プロフィール

榎本 博明(えのもと・ひろあき):1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。心理学博士。川村短期大学講師、 カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表。産業能率大学兼任講師。著書に『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「対人不安」って何だろう?』『「さみしさ」の力』(ちくまプリマ―新書)など。

「2023年 『勉強ができる子は何が違うのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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