自動車新世紀・勝者の条件: 「石油」から「電気」への大転換

制作 : 日本経済新聞社 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532314842

作品紹介・あらすじ

大手の牙城に挑むベンチャー、新興国企業。商機をうかがう電機・IT企業、住宅、電力業界。電池・素材を巡る国家間の闘い…勢力図が変わり始める!日経記者が徹底ルポ。

感想・レビュー・書評

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  • 仕事で参考にした本。特に感想なし。

  • 2009年10月に発刊された本です。「ナノの衝撃」「トヨタの苦悩」「電池大国日本に迫る危機」「新技術競う裾野企業」などなど自動車にまつわる盛りだくさんの内容です。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、3階開架 請求記号:537.09//N77

  • 中央図書館で読む。興味深い本でした。やはり、新聞記事をまとめたものは読みやすい。馴染みの人物がよく出てくる。別に面識があるわけではない。彼らの教訓はシンプルである。結論は唯一つである。政府が介入しても成功しない。特許、ノウハウに守られていなければ、人件費の高い日本では競争に勝てない。その通りだと思います。

  • 2009年の自動車生産、販売量は最高記録であった2008年比較で3割程度は低下しましたが、その中でも販売が好調だったのはハイブリッド車だったと記憶しています。

    ハイブリッド車では、トヨタとホンダが先行している感がありますが、それに対して三菱や日産は電気自動車で対抗しています。特に、あのゴーン氏が率いる日産は、電気自動車を大量に生産する計画を発表しています。

    この本を読むことで米国や欧州からも多額の補助金を日産が得ていて、それをもとに工場建設を進めていることが分かりました。今までは、単なるリップサービスのように思っていたのですが、もしかしたら実現させるのかもと、この本を読んで思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・20世紀目前の1900年、米国において生産されていた自動車の4割は電気自動車であったが、1908年にフォードがT型フォードを量産することで、翌年のエジソンの電気自動車に優った(p17)

    ・2010年10月から、三菱自動車はプジョーにアイミーブ電気自動車を供給する、2015年を目処に両者で5.5万台の販売台数とする(p20)

    ・電気自動車は、丸ごと交換する部品が多く、修理代は高くなる可能性あり(p24)

    ・アイミーブの車両価格:459.9万円のうち、240万台は電池代コスト、政府の補助金を使って320万円、電池供給が追いつかないので生産台数は1年間で2000台程度、損益分岐点の3万台には、2013年以降に達する見込み(p25)

    ・日産は2010年後半から、追浜工場にて年産5万台にて日米欧へ出荷、2012年には米国、欧州、中国、日本の4極で、電池から一貫体制する体制を構築、その時の生産能力は40万台、設備投資額は1000億円(p27)

    ・日産は米国政府からの長期低利融資として、16億ドル(1500億円)を得た、また欧州投資銀行から4億ユーロ(530億円)の低利融資を得て、英国で電池及び電気自動車の生産設備を構築する(p29)

    ・1995年に閉鎖した座間工場では、世界最先端の電池を量産する、2009年現在の年産1.3万台を、2010年後半に6.5万、2012年には米国、英国、ポルトガル、中国で電池工場を建設する(p33)

    ・電池をリース販売にすることで、新車販売が「売りっぱなし」のフロー型から、「顧客と常につながる」ストック型ビジネスへ変換する可能性がある(p36)

    ・GMは2009年6月29日に翌日の連邦破産裁判所の審理が始まる直前に、NUMMIからの撤退表明をした(p49)

    ・トヨタは地域別に戦略を大きく見直すことにした、プリウスも全系列で併売することになった(p59)

    ・トヨタはハイブリッド普及拡大戦略として、ハイブリッドシステムのマツダへの供給を始めた、2代目プリウスまでの対応から大変身(p65)

    ・誰が電気自動車を殺したのかという映画をつくったクリス氏は、現在「電気自動車のリベンジ」を作成中、2011年に公開予定(p98)

    ・プリウスに使われるモータにはネオジウム磁石が使われる、高温化での磁力を保つためにはレアアースの1種である、ディスプロシウムを混ぜる必要がある、これは中国にしか存在しない(p124)

    ・リチウムの確認埋蔵量は1146万トン(2008年生産量:2.2万トン)もあるが、84%がチリに集中している(p130)

    ・電気自動車に耐えるには、「10年間で20万キロ走行」が必要(p144)

    ・2008年度のインド乗用車のシェア(155万台)は、スズキ(46.5%)、現代(15.7)、タタ(14.9)、マヒンドラ(6.9)である(p168)

    ・自動車に一生乗り続けると、合計4000万円の費用がかかる、車を所有しない「カーシェアリング」も今後は可能性がある(p193)

    ・自動車会社と電池会社で提携が進んでいる、トヨタ=パナソニック、VW=三洋、ホンダ・三菱=GSユアサ、日産=NEC、GM=日立等(p222)

    ・フォードは保有株式が4%のフォード家が、4割の議決権を持っているので、政府の資本注入は回避したかった、2006年に調達した235億ドルの資金があったので破産を逃れた(p245)

    ・クライスラーは2007年の提携解消まで、新規技術開発をダイムラーに依存してきた(p248)

    ・GMは14ヶ月後発表の「シボレー・ボルト」の燃費が1ガロン=230マイル(プリウス:50マイル)になると発表した(p254)

  • 日本経済新聞社著「自動車新世紀 勝者の条件」日本経済新聞社(2009)
    * 電気自動車への応用が簡単なハイブリッド車が普及すれば、販売ネットワークは将来のプラグインハイブリット車や電気自動車の充電拠点として、日本の車社会を支える社会インフラとなりうる。既存の自動車販売店は「小売流通でいうコンビニエンスストアのような日常不可欠な存在」(トヨタ幹部)になる可能性を秘めている。
    * 使用シーンによっても車の使い分けが生じる。欧米でも70%の人は1日あたり平均40~50キロメートルを走る程度。電気自動車の一回の充電で500キロメートルも走れる車が必要なのか。遠出する場合はハイブリッド、都心部を走る場合は電気自動車といった使い分けが進みそうです。
    * 脳科学研究の進展により人と車をつなげる技術も生まれている。
    * アイミーブ1台で1日~2日分の家庭の電力を賄うことも可能である。割安の夜間電力や太陽光発電を組み合わせれば、家庭の光熱費を現在の10分の1にまで減らすこともできる。

  • 歴史の転換点にきている自動車業界の現状と、今後の展望をまとめた本。
    BYDやスモールハンドレッド、充電池の重要性についての話がとても興味深かった。「充電池が産業のコメ」という言葉がとても印象に残った。
    HV、PHEV、EVという順番に移っていくのが一番有力だが、予想以上にEVへの転換が早まる可能性も大いにあると思う。
    自動車は乗り物ではなくて、走るコンピューターであり、家庭の充電池でもある。それが当たり前の未来はまだ想像できないが、そう遠くはないのだろう。その時、メーカーの勢力図はどのようになっているのだろうか。
    新興国に苦戦しているトヨタはこの先どうなるのか。ぜひとももう一度原点に立ち返って、巻き返しを図ってもらいたい。

  • 自動車業界の直面する大きな変化について。
    レアメタル・レアアースといった資源戦略に莫大な労力と時間を掛け、電気自動車やハイブリッド車の時代に備えているトヨタはさすが。

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著者プロフィール

執筆は編集委員、コメンテーター。

「2022年 『これからの日本の論点2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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