日本の田舎は宝の山: 農村起業のすすめ

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532317379

作品紹介・あらすじ

農村資源を都市のニーズと結べば、10兆円産業が動き出す!地域活性化のカリスマ伝道師が数々の実践事例と、農村起業のためのかんどころを教えます。

感想・レビュー・書評

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  • コネないとダメだよな でもあまり資本主義丸出しにしなくても

  • NPO「えがおつなげて」の代表理事の方が書いた本。農村の資源を生かして都市の住民や企業と結びつけ、人やモノ、お金の流れを生み出して行こうという活動の記録が綴られている。

    著者の曽根原さんは、そうした仕組みを考え、人や企業を巻き込み、物事を動かして行くことに長けた人なんだと思う。コンサルティング会社での勤務経験があるということだけど、農村の資源を数値化し、そこにSWOT分析や4Pといったフレームを持ちこんで機会を見出すという最終章のアプローチは、なるほどなと思わせられるものだった。農業を大規模化して競争力を高めるべし、といった意見も新聞などではしばしば見かけるけれど、個人的にはこの本にあるような、身の丈サイズでその土地や個人の特性に合った強みを見つけて経済を回して行くというアプローチに、より深い共感を覚える。

    一方で、本の中に出て来る協力企業や自治体の方の話などが一部では唐突に感じられ、またそれらの寄稿と著者の記述部分の区切りがはっきりしていない部分があったりして、本の「流れ」としてはあまり良くないと感じた。

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/51763480.html[読書]贈り物の本『日本の田舎は宝の山―農村起業のすすめ』


    この本は、農業従事者、農業や豊かな自然に憧れる都会人、そして地域活性化の課題を持つ政治家への贈り物ではないでしょうか?

    基本的には、普段、読みたい本を読んでいます。だから、歴史や社会学、知識創発の読書が圧倒的に多いです。恐らく多くの人もそうでしょう。しかし、本書は「読まれるべき本」です。

    本書は、地方再生、農業再生、限界集落再生の実践的なHow toを提供してくれます。本書の紹介文には「農村資源を都市のニーズと結べば、10兆円産業が動き出す!」とあります。ホラではありません。著者の曽根原氏が自ら耕作放棄地を開墾し、実践した結果、全国の耕作放棄地の面積等から計算した数字です。

    日本の耕作放棄地は約40万ヘクタールもあるとのこと。考えてみれば当たり前のことなのですが、工業製品と同じように、加工前の農業・林業よりも、加工後の食品産業のほうが巨大です。国内農業の生産額が約8兆円(GDP2%以下)、国内食品市場は99兆円(GDPの約20%)もあり、農業の10倍以上もあるのです。

    つづきはブログ記事を参照下さい。

    http://naokis.doorblog.jp/archives/51763480.html[読書]贈り物の本『日本の田舎は宝の山―農村起業のすすめ』

  • ビジネススクール講師の著書。日本の田舎には素晴らしい資源が多く眠っているが、それを生かす人材がおらず、ほったらかしにされたままである。その資源を有効活用することで大きなビジネスを生み出す潜在力がある。本書はその導入として、各地の起業家の取り組みを紹介しながら、著者の農村ビジネス論をやさしく展開している。

  • 著者は、山梨県北杜市にIターンし、農村でNPOを起業して活躍している。
    まず、農業、林業を自らやり、その活動を拡大させて行くプロセスが分かりやすく説明されている。
    1次産業が主力産業となる地域で、どのように仕事を作るのかを考えるヒントになるだろう。
    また、著者は、自らの手法を一般化して、他地域でも課題解決型の事業開発を担うことができる人材の育成にも取り組んでおり、その成果(実際に起業された方)の話も複数掲載されており、刺激を受ける内容である。
    昨今の地方創生が叫ばれる中、その何年も前に、田園回帰の動きを受け止める取組がされていることは注目されるべきであり、地方創生を考える一人でも多くの人に読んでもらいたい本である。

  • ・農村資源を活用すれば、10兆円産業と100万人の雇用創出が可能。

     5つの産業領域:
     1)6次産業化による農業(3兆円)
     2)農村での観光交流(2兆円)
     3)森林資源の林業、建築、不動産等への活用(2兆円)
     4)農村にある自然エネルギー活用(2兆円)
     5)ソフト産業:情報、教育、IT等(1兆円)

    ・別荘族に「まきを割る体験」をセットで販売

    ・林業の現場で残材として捨てられている木材が、
     加工場の製造ラインで十分活用できた。
    ・山梨県産材活用四者協定

    ・農村資源と都会の人と資金を結び付けると、ものすごいことができる。
    ・企業の人材開発、福利厚生の観点からも、開墾や農作業は大きな
     可能性をもっている。

    ・林業家(川上)、製材所(川中)、工務店やホームセンター(川下)等が
     サプライチェーン(供給の連鎖)を形成し、新たな国産材市場を作る
     ことにより、初めて林業が成り立つ。
    ・将来的には、輸出産業として期待できるほどの潜在力もある。

    ・ソーシャルビジネスの中でOJTとして、若い人を育て、起業につなげる。

    ・ソーシャルビジネスは、T2M(Technology to Mind)つまり、自らの持つ
     技術、技能を活用して、社会貢献という想いを達成するビジネス。

    ・世界の木材資源は長期的には枯渇傾向にあり、木材需要が増加
     する中で、世界の木材価格はじわじわと上昇している。

    ・都市住民がほしいと思う農村情報が、
     的確に都市住民に伝わっていない

    ・田舎暮らしの壁
     -家族、経済、仕事、医療福祉、人間関係、
       ライフスタイル、ワークスタイル
    ・これらの壁が、都市農村交流コーディネーターが解決すべき課題

    ・都市と農村をつないで事業計画をたて、事業を成立させることが
     できる人材の育成が、極めて大切。

    ・4つの農村資源(Seeds シーズ)
     1)場所:農地、山林、里山、川、草原、集落、名所等
     2)モノ:農林産物、特産品、加工品、廃校や交流施設、古民家等
     3)ヒト:農林業者、宿泊、観光、交通業者、名人、職人、行政等
     4)無形資産:農村景観、農村文化、生活技術、伝統行事、料理等

    ・都市住民のニーズ(Needs)

     2C:個人
     1)食と農に対するニーズ
     2)自然体験へのニーズ
     3)田舎暮らしへのニーズ
     4)健康や癒しへのニーズ
     5)文化、アート、コミュニティー、伝統文化のニーズ

     2B:企業
     1)CSR
     2)原料調達
     3)社員の福利厚生
     4)地球温暖化対策(Co2削減目標の達成)
     5)新規事業としての農業参入

    ・農村資源 × 都市ニーズ → 事業化

     4 × (5+5) = 40種類の事業

    ・5Pのビジネスモデル
     
     Products 提供する商品、サービス
     Price 価格、ロット
     Place 販路・流通、個人向け or 法人向け
     Promotion 販促、PR
     Person① 顧客としての対象者
     Person② 事業を行う主体しての人、法人、連携組織

    ・4すくみ現象

     NPO→大学→行政→企業→NPO

  • 金融コンサルタントを辞め、山梨県の農村に移住した著者。NPO法人「えがおつなげて」を立ち上げ、荒廃した土地を開墾します。その土地から三菱地所と協力して純米酒を作り、完売させます。日本の農村には多くの資源が眠っていることに目を付けた著者はその宝を掘り出していきます。

  • オススメ本!!

    「農村資源で10兆円産業」を掲げる著者。

    著者の今までの取り組みとの紹介からスタートするが、そんなことができるのかと感動する。実行力と巻き込み力、理想だけでなく、経済的に自立できる行動など感心してしまう。

    【まちづくり五箇条の御誓文】
    ①まず、はじめるべし
    …思い立ったが吉日。好きこそものの上手なれの法則
    ②楽しい小さなモデル=見本を作るべし。そして大風呂敷を広げて、こっちのみ〜ずはあ〜まいよ、とアピールし続けるべし
    …捨てる神あれば拾う神ありの法則。イノベーション普及の法則
    ③既成概念を疑うべし。既成概念をおおいに利用すべし。
    …諸行無常の法則。
    立ってるものは親でも使えの法則
    「夏草や強者どもが夢の跡」(松尾芭蕉)
    ④イベントを行うときは、同時に、その後につながる「仕組み」を作るべし。
    …一石二鳥、一挙両得の法則。
    反対語辞典(砂上の楼閣)
    ⑤愛と自立性と執念を基本に置くべし。
    …思う念力岩もを通すの法則
    番外編(腐っても鯛の法則)

  • 山梨県って恵まれた環境にあるのだなと思う。

    それにしても日本の森林率ってフィンランドに続いて世界第二位なのか。
    そして三位がスウェーデン。

    やっぱり日本が北欧に学ぶべきところは多い気がする。

    そして、この類似性と近似性がわたしは好きなのだから、この部分をもっと掘り下げて、東北やら北海道やら山梨やらで、何か出来たらと思ったりもする。

    未来は、いかようにも開く。

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著者プロフィール

2015年7月現在NPO法人えがおつなげて代表理事

「2015年 『農業再生に挑むコミュニティビジネス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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