企業価値を高める経営: 投資家との協創が生む持続的成長

著者 :
制作 : 日本取引所グループ  東京証券取引所 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532321758

作品紹介・あらすじ

企業価値向上に成功している企業の秘訣は何か。
東京証券取引所「企業価値向上」表彰企業6社に学ぶベストプラクティス
各分野の専門家が多角的に分析!


伊藤邦雄(一橋大学大学院経営管理研究科特任教授)
津森信也(経営財務研究所代表)
澤上篤人(さわかみホールディングス代表取締役)
スコット・キャロン(いちごアセットマネジメント代表取締役社長)
円谷昭一(一橋大学大学院経営管理研究科准教授)


塩野義製薬
花王
ピジョン
オムロン
丸紅
ユナイテッドアローズ


東京証券取引所が、2012年から、企業価値の向上をテーマに掲げて実施。東証市場に上場するすべての上場会社を対象に、自社の資本コストを意識し、それを上回る資本生産性を実現することにより企業価値を高める「企業価値向上経営」を実践している会社を、年に一度選定し、表彰しています。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の平均株価は20年に渡って低迷している。主要国は上下しながら長期的には上昇しているにもかかわらず。
    ROEが日本は低いと言われる。米国は財務レバレッジを聞かせているからROEが高いと言われているが間違い。実際に比べると大差無い。
    売上高利益率(ROS)、つまり利益率が圧倒的に違うだけ。稼ぐ力が違う。
    もっとも大事なのはROEである。
    ※財務レバレッジとは、自己資本に対する他人資本の割合を示す負債比率(負債÷自己資本あるいは、負債÷総資本)

    ◯ROE(自己資本利益率)とは
    ・自己資本利益率に対する当期純利益の比率
    ・「その株に投資してどれだけ利益を効率良く得られるか」ということを表している
    ・ROE(%)=当期純利益÷(純資産-新株予約権-少数株主持分)×100で算出される
    ・伊藤レポートでは8%以上のROEを最低限目指している

    ◯伊藤レポート
    ・企業が資本効率を高め、投資家と企業が緊張と強調の関係を築えるよう不都合な真実を暴いたレポート
    https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/itoreport.pdf
    ・ROEだけではなく、資本コストもみることを唱えている
    ・対話も重要

    ◯企業価値向上経営の基本
    ・企業の究極の目標
    企業の究極の目標は自社の存続と持続的成長
    ・必要条件
    必要な資金が必要なときに調達できること
    そのためには財務の健全性と収益性の維持が必要

    ◯企業価値とは何か
    財務の健全性:自己資本比率(自己資本/総資産)。非常時にどのような損失が有るのか。その損失に対処できる自己資本があるのか。
    収益性:本ではわからなかった

    ◯企業価値向上の実務
    ・目標設定
    (1)ROE目標値✕自己資本額を計算して、全社としての純利益目標額を求める(ROE目標値は自己資本コストを超えているものとする)
    (2)次いで、利益目標額を各事業部門の目標額として落とし込む
     実務的には、全社の純利益目標額を部門の経常利益か税引前利益目標額に換算して落とし込むのがわかりやすい
    ・部門別の貸借対照表を作成しないといけない。そうしなければ部門別の決算は、資本コストを差し引く前の営業利益までしか計算できない、つまり営利でしか計算できなくなる
    →馴れ合いの日本的経営になり、各事業の真の責任度がわからないままになる
    ・各事業部門の貸借対照表があればエコノミック・プロフィット管理ができるようになり、利益目標総額を追えるようになる
    ・実際には貸借対照表をつくるのはそれほど難しいことではない。すべての資本の貴族部門を決めるだけ。経営者が不勉強かつ不都合な真実を出さないようにしているだけで、本来は遂行可能な経営管理である

    ◯市場との対話、投資家との対話のメリット
    ・コンシステンシー(一貫性・整合性)が厳しくチェックされるため、その刺激で自分(経営者)がどんどん優秀になる

    ◯ROIC(投下資本利益率)をKPIにした事業ポートフォリオ経営のすすめ
    ・事業改善を推進するのにおすすめ
    ・売上高成長率とROICによって事業を評価し、採算性改善や事業撤退の基準にする
    ・ROICは投資家にもわかりやすい企業価値向上の取り組みになるうえに、事業をフェアに評価できる
    ・どの事業部門であれ、資本コストを上回るROICを稼いでいる、持続的にROICを改善していれば、その資本コストを上回った分だけ事業価値も株主価値も高めていけることを実感可能
    ・ROIC経営は、利益額を持続的にふやしていき、成長投資のための原資を得ることにも繋がる




    ◯専門用語
    ROE:Return On Equity
    ・自己資本利益率に対する当期純利益の比率
    ・「その株に投資してどれだけ利益を効率良く得られるか」ということを表している
    ・ROE(%)=当期純利益÷(純資産-新株予約権-少数株主持分)×100で算出される

    ROS:Rate of Sales
    ・売上に対する経常利益の割合
    ・売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

    EBITDA(イービットディーエー):Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization
    ・税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益
    ・設備投資が多く減価償却負担の高い企業などの収益力を比較・分析する際に用いられる
    ・EBITDA についてもEBITと同様に、営業利益や経常利益から算出する方法など、複数のパターンが存在します。つまり、統一された公式が存在するわけではないので注意が必要

    ROI:純利益 ÷ 投資額 × 100
    ・投資した資本に対して得られた利益のことを示す
    ・100%未満の数値になった場合は、投資を回収できていないことになる。

    ROIC(ロイック):Return On Invested Capital
    ・投下資本利益率=企業と債権者(銀行など)から調達したお金に対して、どれだけ効率的に利益をあげることができたかを測定する財務指標
    ・ROIC=税引後営業利益÷投下資本(投下資本 = 有利子負債+株主資本)
    ・事業に投下した資金からどれだけの利益(リターン)を生み出したかを示す

    ROE:純利益÷ 株主資本×100
    ・株主が出資した資金に対しての収益性を示す。この数値が高いほど株主資本を有効活用していることを意味する
    ・一般的にROEが大きいほうがよいとされていますが、必ずしもそうではない。たとえば、総資産が変わらずROEが上昇した場合は負債が増加していることもあり、経営状態が好調とはいえない。ROEはあくまで判断材料の1つ

  • まあまあ

  • 2019年18冊目。満足度★★★★☆

  • 東2法経図・6F開架 336A/I89k//K

  • 大きくなったときにどのような観点から指標設定するか参考になる

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著者プロフィール

一橋大学CFO教育研究センター長・同大名誉教授
1951年千葉県生まれ。75年一橋大学商学部卒業。84年一橋大学助教授。87~88年スタンフォード大学フルブライト研究員。92年一橋大学教授。96年商学博士(一橋大学)。02~04年一橋大学大学院商学研究科長・商学部長。04~06年一橋大学副学長。

「2023年 『企業価値経営 第2版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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