良い製品開発: 実践的ものづくり現場学

  • 日経BPM(日本経済新聞出版本部)
3.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532323363

作品紹介・あらすじ

筆者は、これまで『コストを下げれば、品質は上がる』『部品半減』『コストは必ず半減できる。』など自らの経験からあみ出した手法を、様々な企業で「部品半減・コスト半減」という側面から解説してきました。このようなノウハウももちろん重要なのですが、それを活かし実行に移す日本企業の製品開発そのものが弱体化してきています。本書は、この恐るべき事態とそこからの脱却の術を明らかにするものです。
筆者がアドバイスを行っている企業において開発現場をよく理解していないのではないかと思われる事例が散見されるようになっています。これらの企業の要請を大別すると、1赤字事業の再建、2赤字製品の黒字化、3入札案件受注のためのコストダウン、4コスト算出やコストダウン技法、製図についての教育、5筆者が開発した開発手法導入指導、といったものになります。
実際のところ筆者への要求のほとんどは、上記の123であり、4および5への要求は少ないのです。「部品半減・コスト半減」の指導をさせて、それさえうまくいけばこと足りると考えているのではないでしょうか。
メーカーの事業の赤字は様々な要因から発生しますが、その赤字の解決策は常に開発部門にあり、そのシーズ(種)は市場にある、ということに気付いていないのです。赤字の原因は会社の外にあり、解決策も外にあると考えていることこそが問題です。このことが赤字をより深刻化させ、改善に手間取る結果になっているのです。
本書は、そのようなお寒い状況にある日本の製品開発を抜本的に革新する「攻めの開発」としての「良い製品開発」を推進するもの。CADの普及と分業化が開発現場を弱体化させたとし、IP抽出、DTC開発、「製品開発企画書」に沿った開発、特許出願200目標など開発力強化の具体策を示します。筆者の製品開発理論は、ものづくり研究の第一人者である東京大学・藤本教授も高く評価しており、解説を掲載しています。

感想・レビュー・書評

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  • 「コストを下げれば品質は上がる」
    「コストは必ず半減できる」
    同じ著者の上記2冊を読んだ後に本書を読んだ。

    上記2冊と比較すると、やや抽象的な話が多い。
    (まぁ上記2冊が具体的な話が多かった、という印象だけど。)

    著者の主張はぶれておらず、
    現在の開発現場の弱体化を嘆きつつ、
    「DTC開発」や「ものづくり現場学」の重要性を説く。

    「5年前の開発製品は、設計見直しにより変動費30%低減できる」
    ということを本書では繰り返し主張。
    ただ私には、その根拠が良く理解できなかった。。。
    特に、購入部品のコスト削減については、
    「ペナルティ方式」という5社との競合見積の中で、
    最安値を繰り返し出させる方法は・・・どうなんだろう?
    今の時代に、大企業がとってよいやり方には思えないのだが。

  • 図書館で立ち読みして興味を持ったので購入して読んだ本。クボタ出身の筆者の製品開発論が展開されている。

    良し悪し混在した感触。解説の助けがなければ、論旨を要素分解して咀嚼することがやや難しかったかもしれない。

    <よかった>
    ・部品点数を減らすことでコストを減らすことを大原則に、加工方法の見直し、組み立て性の向上など、原則から具体策まできちんと考慮された理論が提唱されていた
    ・製品開発者が市場調査も行いコンセプトの責任をもつべき(解説の表現を借りれば重量級PMたるべき)という主張と、具体的な手法については、同意見でありなるほどと感じた。
    ・解説にて要旨をまとめられており、読後に内容を整理して理解しやすかった。

    <気になった>
    ・製品原価に占める構造部材費・組立加工費が大きな製品を対象としている大前提がある点
    ・ポンチ絵などの手段と実現したい状態が切り離されずに論じられている点(わかるのですが…)
    ・教育は経験に勝ると言いながらも、論拠の多くが経験に拠っていた点。自身が年齢を重ねてからも教育(自分の経験ではなく他人の経験から学んだこと)で得た知見を多く言及いただいていれば、より納得感が高かったと思う
    ・わたし、という単語の登場頻度が高く、やや疲れる。

    自分の仕事に応用できそうかは、職場でも意見を聞いてみようと思う。

  • DTC開発:Design to cost
    上記の重要性を筆者の経験を基に解説してくれている本。
    この本の内容を一言でまとめると、「教育は、経験に勝る」ことだと思う。正しい教育、正しいプロセスを踏めば、日本の技術者は良いものを持っているので、必ず成長できる。開発部門にDTCを意識した教育体制を取り入れる必要があるとの内容。

    時代の流れが早いこともあり、目の前の業務に一杯一杯になりつつある現状でも、社内でしっかりと教育を行うことの重要性を説いている本。

    私も技術系出身でもあるので、このような部門に最初から出会いたかったと感じるばかりである。

    ただ少し開発自慢が多い気が…。

  • 機械ものの設計・開発にはパーツも多いし、部品点数を減らす工夫もできるだろう。
    本屋で立ち読みした際に、医療機器の話、1行だけ乗っていたので、ヒトに使用する医療機器の開発に使えるかも、と期待したが、規制産業の場合だと、そこまでうまくいかないのでは!?と思いながら、読み終えた。

    それと、モノづくり教育の話も、これからCOVID-19の影響で、三密を避ける働き方をしていく中で、どのようにすり合わせて行くべきかも考えなければならないと思いました。

  • IP抽出、PP抽出

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著者プロフィール

コスト開発研究所代表
1945年生まれ。64年クボタ鉄工(現クボタ)入社。2004年まで、ほぼ一貫して耕うん機、田植機、トラクターの開発、事業革新に従事。技術部長、理事を歴任。04年クボタ機械設計社長。2010年退職、コスト開発研究所設立。

「2020年 『良い製品開発 実践的ものづくり現場学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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