リカーリング・シフト 製造業のビジネスモデル変革

著者 :
  • 日本経済新聞出版
3.33
  • (1)
  • (2)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 60
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532323882

作品紹介・あらすじ

「脱・モノ売り」はこうして実現!
製造業でいま最も熱い、ビジネスモデル転換の実践手法

この数年、製造業では「売り切りモデル」からの脱却が大きな課題になっている。
顧客と継続的につながり、収益を上げ続ける「リカーリング・モデル」への移行を
掲げる企業が増えているが、かけ声倒れに終わってしまうケースも多い。

実際の企業事例を取り上げながら、何が障壁になっているのかを明らかにし、
具体的な成功手法について解説したのが本書だ。

●本書で取り上げる「リカーリングモデル」の類型
1 サブスクリプション……消耗品、保守、機器運用などを定額で提供するモデル
2 IoT与信……機器センサーが集めたデータを活用し、次世代型ローンを提供するモデル
3 マネジドサービス型……機器の運用、管理を一括で請け負うモデル
4 成果報酬型……コスト削減、業務効率化など成功した場合に料金を徴収するモデル
5 業界プラットフォーム型……機器にとどまらない顧客の業務支援

●リカーリングへの転換を妨げる4つの壁
1 データ取得と知財の壁……他社がもつデータや知財を取得するためのルール作りや規格化ができず、頓挫してしまう
2 人材の壁……ものづくりとデータ分析の両方が理解できる人材が圧倒的に不足している
3 ビジネスモデルの壁……自前主義が浸透している日本の製造業では、他者との連携がうまくいかない
4 投資回収期間の壁……初期投資が大きく、回収期間は長いというリカーリング・ビジネスの特徴が社内の評価軸とあわない

 本書では、それぞれの壁をどうやれば乗り越えられるのか、先進事例を使いながら解説する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久々のビジネス本。
    製造業におけるビジネスモデル変革について語れれたビジネス書。

    製造業が「売り切り」のビジネスモデルから、顧客とつながり収益を上げ続ける「リカーリング」のビジネスモデルに変革するための課題を明らかにしています。
    しかし、実際その対応を取るのが難しいと思うんだよな。

    記載内容を忘れないように

    ●「リカーリングモデル」の類型
    定額モデル(サブスクリプション)
     消耗品、保守、機器運用などを定額で提供するモデル
    IoT与信
     IoTデータを活用し次世代型ローンを提供するモデル
    マネジドサービス型(運用管理一括サービス)
     機器の運用、管理を一括で請け負うモデル
    成果報酬型
     コスト削減、業務効率化など成功した場合に料金を徴収するモデル
    業界プラットフォーム型
     機器にとどまらない顧客の業務を支援するモデル

    ●リカーリングビジネスに立ちはだかる「4つの壁」
    ①データ取得と知財の壁
     顧客のデータが取れない
     保守網などのインフラが弱い
     顧客に対するメリットを明確に提示できない
     データ取得のためのセキュリティ基盤が弱い
     顧客からのデータ、AIによる学習済モデルなどの分解能に乏しい
     知財とビジネスのつながりが弱い

     →データ取得の壁を超えるには
     データ取得のための連携スキーム構築
     知財ガバナンスの強化
     知財・法務部門と事業部門との連携の強化

    ②人材の壁
     人材の可視化がされていない
     必要となる人財の要件が明確にできない
     人財の育成が難しい
     外部からの獲得をしても活用できない
     人事部門と事業部門との距離が遠い

     →事例からの示唆
     事業で実現したい価値と求められる人材像の明確化
     人財の可視化と組織化
     目標設定と人財育成の仕組みの再構築
     多様性のある人財を受け入れる風土づくり
     人事部門におけるHRビジネスパートナーの仕組み構築

    ③ビジネスモデル構築の壁
     機器売りの成功体験の呪縛
     顧客に対する提供価値構築の難しさ
     代理店とのコンフリクト
     自前主義

     →これは様々な事例を参考に

    ④投資回収期間の壁

     →この壁を超えるには
     目指す姿を明確にする
     組織能力のギャップを埋める
     進捗を把握する
     文化・風土を醸成する
     規模を拡大できる仕組みを作る

    といった形で語られています。
    そして、最終章に日本企業とのリカーリング戦略の策定と構築手順として、

    ●リカーリング戦略
     顧客との価値共創
     エコシステムの構築
     業界プラっとフォーマーへのプラグイン

    ●リカーリング戦略構築の手順
     自社の強みの棚卸
     ビジネスモデル仮説の構築
     MVPの定義とPOCによる検証
     パートナーシップ構築によるエコシステムの構築
     事業開発プロセスの標準化
     横展開できる事業モデルの普遍化
     経営基盤への問題提起

    といった形でまとまっています。

    国内外の様々な事例を紹介しています。

    しかし、これを読んだからといって、その企業がリカーリングシフトできるとは思えません。
    記載されている内容や事例、示唆には違和感はないのですが、結局のところうまくいった企業の結果論。
    実際、各企業はとても苦しみながら、その対応をとって実現していったはずです。その辺の泥臭いところが本当は知りたいところだったりするんですけどね。

    とはいえ、リカーリングビジネスを理解すること、それを実現する(している)企業を理解するにはとても分かりやすかったです。

  • BtoBビジネスモデルの事例がほとんど。またビジネスモデルの本質というよりは、事例紹介にとどまる。戦略構築や実行のための課題定義も浅い印象。

  • 今となっては新しい考え方ではないのかなと思われる。だが、実行に移すとなると難しいのが現実だろう。大企業ほど動きにくいだろうがDXと相性が良さそうだから、大企業も行う戦略だろう。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

野村総合研究所 フェロー
1988年精密機器メーカー入社後、大手企業向け営業改革、1994年より10年の明国駐在期間中は、マーケティング、M&A、新規事業開発などのプロジェクトマネージャーを歴任。2005年にNRIに参加後は製造業コンサルティングに従事。2012年同社初のパートナー、2021年4月に同社初のフェローに就任。
米国公認会計士、中小企業診断士

「2022年 『価値創造経営』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青嶋稔の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×