自由市場の終焉: 国家資本主義とどう闘うか
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2011年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532354640
感想・レビュー・書評
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国営企業の利益が政府系ファンドの資金源となり、国益を最大化する国家資本主義。
新しいプレーヤーが政府の利権拡大と国民の政治的忠誠獲得のために経済を使うようになった。現代は自由資本主義(民間企業)対国家資本主義(国家)の競争の時代となり、国際政治上の摩擦が経済に歪を生んでいる。中国、アフリカ、中東、東南アジア他の国および地域に関する個別の解説あり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は自由主義を何とか国家資本主義から守ろうとしているはず。
自由主義が国家資本主義との戦いの中でいずれは勝利するだろうという認識は示されてはいるが。自由主義の立場を貫きながら、実際のビジネスの現場で、外交の現場でどのような考え方と手段で自由主義を守れば良いのか?その点の示唆をもっと明確に出してほしかった。 -
県立あるが、鋭い いい本
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国家資本主義と筆者が名づける、新しい資本主義の形が新興国を中心に台頭しつつあることを例証する著作。確かに、こういう国家と資本主義の蜜月関係はあるだろう。そして、エネルギー安全保障などに重大な影響を及ぼすのも確実だ。しかし、重要なことは「自由市場」と筆者が呼ぶ先進国にも保護主義や通貨安競争など国家が中心となった運営が強まりつつあるという事態にある。このことで、国家資本主義こそ21世紀のイノベーションなのかもしれないという仮説を提示できることが示された。その真偽や如何に?
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日本が今こういう状況だからこそ読むべき一冊。中国やロシアに代表される「国家資本主義」は、いずれ黄昏時が来て崩壊すると筆者は指摘している。企業の所有や投資は国家が主体となって行われるものの、経営や投資手法としては自己体制を擁護する目的を達成するために資本主義を用いているため、これは単なるイデオロギーではない。日本でも震災以後、中央官庁の産業や行政への関与の度合い、東京電力の国有化が大きな論点となっている。それは政府が直接的にせよ間接的にせよ市場に介入するということであり、我が国でも本書で取り上げられている国家資本主義について改めて考える良い機会ではないだろうか。