あなたはアベノミクスで幸せになれるか?

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532357559

作品紹介・あらすじ

行き着く先はインフレタックスという究極の増税策! ?
総選挙を経て、再び安倍内閣に託したこの国の経済。
その処方箋が間違っているとすれば、最後にツケを払うのは、われわれ国民なのかもしれない。

◆異次元緩和は間違った処方箋
5年目に入った「アベノミクス」だが、デフレ脱却には至っていない。それは、アベノミクスの目標及び処方箋が間違っているからではないか? 実は、金融政策依存は、政治的には非常に都合がよい。極論すれば、日銀が物価目標を明示しマネーの供給量を増やすだけで、政治は何もしなくてよいからだ。しかし人口減・高齢化が進む社会では、経済規模は必然的に萎まざるを得ない。量的・質的緩和では、本当の日本経済の構造問題に対処することは不可能なのである。

◆このままでは金融資産がどんどん目減りする!
人口減対策と雇用制度改革を避けるアベノミクスは、実は意図せざる究極の増税策、すなわち「インフレタックス」である。そして、その潜在的な納税者は、金融資産を保有する企業や高齢者なのだ。
異次元緩和で膨れ上がる日銀の資産と増え続ける国家債務は、いずれ国債の価値下落を通じ日本経済をインフレに導く。その時、国家債務の実質負担は収縮する一方で、企業や国民が持つ金融資産の価値は目減りする。実は、戦前、高橋是清は、世界恐慌からの脱却を図るに当たり、日銀による国債保有を悪性インフレの原因になるとして許さなかった。アベノミクスを高橋財政と同一視し肯定するのは、全くの間違いなのである。
本書は、こうした視点をベースに日本経済の近未来を分析、蓋然性のあるシナリオを提示。インフレタックスが現実となれば、高齢者や企業は蓄積した金融資産の購買力を失い、中若年層は、親もしくは祖父母世代の経済力に依存できなくなる。そうしたリスクに備えるうえで、読者に知っておいてほしい知識を提供する。

感想・レビュー・書評

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  • WBSコメンテイターだけあって、まあまあわかりやすい説明。この手の経済書はどうも専門的になり過ぎで…私にとって、FRBの説明がわかりやすかった。各州の自治性を重んじる中央集権への警戒から国の銀行と言わない為bankともcentral とも言わない 強いドルの維持が目的。
    財政健全化と言いつつ日銀がETFを購入すると言う不平等、長年雇用を守ることを優先し雇用が安定した反面、ゾンビ企業の延命、競争力低下を生み出した日本。なるほど。雇用の流動化は一企業人としても賛成。人材がupdateされることで企業も新陳代謝する。
    アベノミクス批判一辺倒にならず、安倍外交戦略は評価。良いものは良い、悪いものは悪いと言う姿勢も良い。

  • 安倍政権にきちんと向き合い、客観的な評価 結果は落第
    問題は、無策の5年間のツケが必ずやってくること
    高齢化の進展と働き手の減少 そして財政問題
    安倍政権は全く向き合うことなく、財政の垂れ流し、大きな政府路線で「飴配り」
    国家の命運はここに極めり 国民の選択ということか 


    アベノミクスへの疑問
     2%の物価目標を達成できないのか?
     将来の副作用リスクはないのか?
    ⇒行き着くのは、「インフレタックス」究極の増税

    1.
    2.金融緩和の規模は日本がダントツ アベノミクス30%→100%へ 米国20%
    3.「賃上げ」雇用制度の抜本改革が不可欠 整理解雇 非正規禁止 セーフティネット
    4.アベノミクス 「大きな政府」政府機能の肥大化は節度を失っている
    5.高橋是清 日銀の国債引受はつなぎ融資 金利高騰を避け 国債は徐々に民間へ
           むしろ日銀のバランスシート拡大を強く警戒した
    6.国民に痛みを求めない政治的メリット モルヒネ投与と同じ 現実逃避
      人口構造の問題
       高齢者人口は 年20万人ずつ増える
       生産年齢人口は年70万人ずつ減少する

  • いわゆるネオリベ側によるアベノミクス批判。
    筆者は、亜米政権による外交政策を高く評価する一方で、マネタリーベース増加を目指すことによるアベノミクスを批判している。

    筆者は安倍政権が世界でも類を見ない超金融緩和を実施しているにも係わらず物価目標を達成していないことことこそが、アベノミクスの失敗の証左でありその解決には構造改革(いわゆる日本型雇用の緩和、ゾンビ企業の延命政策)に求めている。

  • 国にとってはそっちのほうがいいですよね。

    日銀の収支の悪化が円と国債の信認を失わせ、インフレを拡大し、大幅な物価上昇を招くこともあり得る。
    その場合、現金・預貯金のある人は損をし、借金をしている人は得をする。

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著者プロフィール

クレディ・スイス証券チーフ・マーケット・ストラテジスト。
1987年明治大学卒。和光証券、クレディ・リヨネ証券調査部長兼ストラテジストを経て、2000年12月、クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券(現クレディ・スイス証券)へ。
構造改革特区評価委員、規制・制度改革委員会委員などを歴任。WBS(テレビ東京系の報道番組ワールドビジネスサテライト)コメンテーターなども務める。
著書に『政策論争のデタラメ』(2009年9月、新潮新書)、『中国のジレンマ 日米のリスク』(2011年8月、同)、共著に『国際的マネーフローの研究』(2012年11月、中央経済社)。

「2017年 『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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