ダーウィン・エコノミー: 自由、競争、公益
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2018年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532357696
作品紹介・あらすじ
■昔のほうが、生活は豊かだった。社会の中間層には経済的活力があり、社会インフラはきちんとメンテナンスされていた。だが、その後何十年にもわたって経済成長率は大きく鈍り、中間層の時間当たり賃金は減少する一方で、CEOの賃金は10倍になった。富の格差は広がる一方だ。
■「経済学の父」とされるアダム・スミスは、自由な市場はすべての人にとっての最善を生み出すと考えた。だが、現実世界を見回すとスミスの「見えざる手」が機能していないように思える。むしろ、ダーウィンが観察したように、個々の動物の利益と、種としての大きな利益は深刻に対立している。
■このダーウィンの観察を、経済に応用したら、どんな世界が見えるだろうか。個人の利益と、社会全体の利益は、どうやってバランスさせればよいのだろうか。格差、教育、公共投資、貧困といった諸問題に対し、人気経済学者が解決策を提示する。
感想・レビュー・書評
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ダーウィンの競争過程の考え方は、個々の動物の利益と、種としてのより大きな利益はしばしば深刻に対立する。
「地位財」=その評価が背景にきわめて影響を受けやすい財(自動車、洋服、宝石といった目につきやすい財や、子孫を残すための投資など)
「非地位財」=評価に対する背景の影響が相対的に低い財(保険といった目に見えない財や公共財など)
ピグー税(有害な活動への課税)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アダムスミスの見えざる手だけでは説明できない市場原理について、ダーウィンによる進化論をもとにした経済ロジックで個人の利益が集団の利益と相反する場合がある時にどのようにして最適な結論や選択を導いていくかを論じている。
リバタリアンについてあまり知らなかったけど、リバタリアンがどのような存在なのかもなんとなくイメージを掴めたし、単純に資本主義の在り方についても考えさせられた。
そして、著者のロジックの作り方が非常に上手く、その考え方も非常に勉強になった。 -
100年後、チャールズ・ダーウィンは経済学の始祖と呼ばれることになるという大胆な未来予測から始まる本書。リバタリアンが錦の御旗のごとく振りかざす「神の見えざる手」だけでは経済は上手く行かないことを繰り返し主張している。
本書を読んで、やはり人間はイデオロギーに左右されないビッグ・ブラザーに支配してもらったほうが社会は上手く回るんじゃないかと思ってしまった。シンギュラリティの到来が待ち遠しい。ジョージ・オーウェルの描いた世界はもうすぐやってくる。 -
おもしろい!
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ダーウィンとの関連がいまいちすっきりしない。要はこの利益は集団の利益と必ずしも一致しないと言う自然選択説を提示しているけれども何かしっくりこない。
純粋にリバタリアンに対する批判とその反証と読むとまぁ面白いかなと言う感じ。
ここに書かれているようにロジカルに政策が実施されればいいんだが実際はそんなことありえない。
アメリカを例にしているせいかいまいち例示がわからないのが多い。
もう一度ゆっくり読んだらもうちょっと理解できるかもしれない。 -
色々例示がでてくるが、意味が分からないのが多い
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原題:The Darwin Economy: Liberty, Competition, and the Common Good
著者:Robert H. Frank (1945-)
訳者:若林茂樹 (1970-)
【メモ】
・著者のウェブサイト
http://www.robert-h-frank.com
【版元】
定価:本体2,000円+税
発売日:2018年03月27日
ISBN:978-4-532-35769-6
並製/四六判/324ページ
自由市場は個人の利益と公益を分断する――格差拡大で生じる現代の諸問題への解決策を、人気経済学者がダーウィンの発想から提示。
https://www.nikkeibook.com/book/178160
【簡易目次】
第1章 麻痺状態
第2章 ダーウィンの打ち込んだ楔
第3章 テーブルの上に現金はない
第4章 「野獣を飢えさせろ」論――でもどの野獣を?
第5章 「地位的消費の野獣」のダイエット
第6章 加害者と被害者
第7章 効率化のルール
第8章 それはあなたのお金であり……
第9章 成功と幸運
第10章 すばらしいトレードオフ?
第11章 有害な活動への課税
第12章 リバタリアンの反論再考 -
東2法経図・6F開架 331.84A/F44d//K