財政破綻後: 危機のシナリオ分析

著者 :
制作 : 小林 慶一郎 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.46
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532357733

感想・レビュー・書評

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  • 日本が財政破綻した後の経済や医療について、現在の統計データに基づいて予測・考察する本。これはこれで興味深いけど、実際の生活には役立ちそうにない。

  • 日本の財政が破綻した時に何が問題となるかについて、社会保障、金融政策等多面的に論じた本。広範なテーマを網羅している点はGoodだが、なんとなく消化不良。

  • 東2法経図・6F開架 342.1A/Ko12z//K

  • 民間シンクタンクの活動を基点とした経済学者のワーキンググループによる、日銀金融緩和の出口検証と財政デザイン論考。個人的には、これまで接してきた金融政策に関する知識から大きく逸脱せず驚きは少なかったものの、知識の再整理には大いに役立った。

    威勢は良いが論理的冷静さを欠くリフレ支持派には、是非とも「統合政府」のB/Sの意味を論じた第3章と、財政破綻で最も大きな影響を受ける医療福祉領域の未来を予測する第4章を一読してもらいたいところ。しかしおそらく彼らの多くは、「現状何事も起きていない」という刹那的な事実を持ち出して問題の先送りを正当化するばかりか、あまつさえ巻頭に福井俊彦全日銀総裁の名が現れることのみを以てして、本書の主張を(内容を吟味することもなく)日銀バンカーや官僚の保身が目的だとして拒絶するだろう。

    以前、「政府紙幣」の発行で国家の過剰債務は即解決する、と主張する友人と一頻り論争を交わしたことがある。その時「そんな簡単なフリーランチが存在するのなら、なぜギリシャもアルゼンチンも、そして日本もその政府通貨とやらを発行していないのか」と尋ねたところ、その友人はこともなげに「それは官僚らの陰謀のためだ」と答えたのだった。

    無論、彼の無知を嗤うのは容易い。しかしことほど左様に問題の根は深いのだと認識せねばならない。本書のように「フリーランチなんてものはないんだよ」と、噛んで含めるようにわかりやすく諭してくれる書に対しても、自分から縁遠いアカデミズムの匂いがするというだけで、端から拒絶反応を示す層が、確実に日本にも存在するのだ。

    知識層が研究と議論を深めれば深めるほど、その成果は彼らの耳には届かないというジレンマ。今後日本経済が苦境に陥るにつれ、不遇を託つ彼らの声は知性の囁きを掻き消して益々大きくなるだろう。それを思うと、いかに本書でフューチャー・デザインが熱っぽく語られようと、シニカルな思いを抱かずにはいられない。

  • 20180608〜0625
    日本の財政運営が、このまま永続できる可能性は低い。政府債務は増加を続け、人口減少は本格化する。財政破綻が起こる可能性は、ゼロではない。(本書カバー袖見出し)
    最悪の事態についての政策論争を、本書は目的としている。本書の定義では「日本はすでに財政破綻」ということになるのかな。日銀の国債引き受け(財政ファイナンス)により財政赤字を解消するという政策論もあるが、これについては本書でも財政インフレを引き起こし、結果的に国民により重い増税や財政削減(ひいては社会保障の削減)を求めることになるとしている。
     本書を通して感じるのは、財政破綻に対する強い危機感と、将来世代に対する責任感。シルバー民主主義に陥ることなく、まだ生まれていない世代に財政負担を背負わせてはならないという思い。

  • 財政が破綻の危機に瀕しているという認識の共有ができていないことが今の状況が続いている最大の原因だと思う。この著作で語られていることが正しいという認識ではいるが一方でこの著作でも語られているようなヘリマネ的な言説も根強く、こうした意見を背景に政治は現在の既得権を保持したい層に向いた施策を講じている。最終章で語られている未来に向けた利権者を想定した施策を行うことが最優先されるべきだと思うしがその前提とした弱い利他的な考え方で合意形成できるかが最大のハードルではないかと感じる。

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著者プロフィール

法政大学経済学部教授。
1974年生まれ。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。1997年大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。経済産業研究所コンサルティングフェロー、鹿島平和研究所理事、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。

「2022年 『日本経済 30の論点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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