WEAK LINK(ウィーク リンク) コロナが明らかにしたグローバル経済の悪夢のような脆さ

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532358686

作品紹介・あらすじ

◆The chain is only as strong as its weakest link
 ――鎖の強さはその最も弱い輪によって決まる
(イギリスの格言。今回のコロナ禍の本質を突く言葉として本書では用いる)

◆パンデミックが起き、世界全体に拡大し、未曽有の経済災害となったのは、グローバル経済のエコシステムにウィーク・リンクがあったのではないか。世界的な供給体制、都市への集中、人やモノの移動速度と複雑な混じり合い、政治や宗教による対立や断絶が、パンデミックを起点とした世界的な経済危機にどのようにつながったかをダイナミックに描く。

◆取り上げるテーマは日本よりも、世界に焦点を当てる。コロナウイルス危機のクロノロジーを描き、グローバル・エコシステムの最弱点に問題が起こり、それが弱いリンクを通していかに破壊的な力をもっていったかを解説する。

◆著者は日本経済の長期停滞やリーマン・ショック、ユーロ危機などについて、内外の情勢をすばやく集め、ノンフィクション的な筆致やアカデミックな知見を織り交ぜながら数々の名著を執筆してきた経済学者。2019年からは経済財政諮問会議の民間議員も務めている。

感想・レビュー・書評

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    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
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  • 分かりやすい文章で読みやすい。本書の最後で、著者はデータの重要性を説く。

  • 東2法経図・6F開架:333.6A/Ta63w//K

  • 現在の新型コロナ危機と相似したものとして、著者が第一次世界大戦を挙げているのは、同時期にスペイン風邪が発生したためだけではなく、世界が潜在的に抱えていたのに、誰も気づかず謳歌していた仕組みが誤作動し崩壊した点にある。
    こうした大災害は世界で一番脆い部分から引き起こされるが、第一次世界大戦ではドイツであり、新型コロナ危機では中国だとしている。
    脆いと言ってもバッタリと倒れて崩壊が始まるのではなく、能動的にアクションを起こすことでより正常な状態から乖離していくのだが、前回はヒトラーの政権奪取がそれに当たる。

    新型コロナ危機で、一時は隠蔽し対応が遅れた中国政府も、感染を認めてからの対応は素早く果断だった。
    世界からそうでなくても顰蹙を買っているのに、香港の民主化運動を潰す能動的なアクションをなぜ取ったのかも、これで理解できる。

    バルカン半島が火薬庫であったのは、戦争が起こる前から誰でも知っていたことだが、今回の危機の次の発火点として、第二のバルカンと考えられているのがアジアの小国だ。
    超大国の利害が交差する場であるだけでなく、コロナ不況で自国通貨でなく外貨建てで国債を調達しなければならない新興国の救済は今後の問題になる。

    新型コロナ危機によりどれだけ世界経済が毀損するか想像もつかないが、100年前のパンデミックではほとんど影響を受けなかった。
    今回と異なり、若者が次々と亡くなったにもかかわらず、である。
    それは戦争が特需を生んだためだ。
    つまり第一次世界大戦は、パンデミックを引き起こす推進力にも、経済へのマイナスの影響を少なくする力にも働いたことになる。

    それと若年層の心の問題で、今回の深刻な感染症を経験した若い世代が、嘘や隠蔽を繰り返し有効な対策を打てなかった政府に対して不信を強め、引いては政治経済に悪影響を与える可能性がある。

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著者プロフィール

慶應義塾大学経済学部教授
1956年東京生まれ。81年慶応義塾大学経済学部卒業。86年同大学院経済学研究科修了。同年同大学経済学部助手。86年7月米国ロチェスター大学に留学、89年同大学経済学博士号取得。2019年より、経済財政諮問会議民間議員

「2020年 『WEAK LINK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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