「ビジネスモデル思考」で新規事業を成功させる 「事業計画書」作成講座

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  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534056337

感想・レビュー・書評

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  • 実用的。早速、新規事業計画を作成するためのフレームワークとしてに使用した。

    今回読んだ本は『「ビジネスモデル思考」で新規事業を成功させる 「事業計画書」作成講座 』(手塚貞治 著)

    読書のきっかけ
    新規事業の担当に任命された。
    しかし、何から始めたらいいのか分からかったため、新規事業立ち上げの方法について知りたかった。
    急ぎ情報が必要だったことから、図書館ですぐに借りられる本の中で最もレビューが良かった本書を選んだ。

    何について書いてある本?
    新規事業を成功させるための事業検討フローと、それらを内外に示す事業計画書の作成方法。

    ハイライト
    1章から6章の順で実行していけば、新規事業計画を立案できる構成。
    1.環境分析
    2.要件定義
    3.事業テーマの設定
    4.戦略策定
    5.体制整備
    6.収益計算

    事業計画が的外れなものとならないように、まず初めに経営陣とともに新規事業立ち上げの目的、目標数値の設定、要件定義を十分に確認し、合意を得ることが重要だ。
    新規事業は何かと経営陣の判断を仰ぐことが多い。その中でも必ず抑えるべき要点がまとまっていたので、確認項目の整理に役立った。

    この本をどう活かす?
    新規事業立ち上げまでの計画の全体像を、本に忠実に作った。
    計画の詳細は、各章の具体的な内容を参考に、自社に合わせて考えていきたい。

    新規事業を立ち上げる場合には、ゼロからすべて自分で考えるのではなく、すでに確立されたフレームワークを活用し、自社に転用するのが良い。
    なぜなら、フレームワークというのは先人たちの失敗の成功の積み重ねだからだ。もし自分が思いついた方法で、現在、情報が残っていないとするなら、それは先人が失敗した策だからである。素人が、いきなり史上初の発明をする確率は限りなくゼロに近い。それであれば、フレームワークを使い、先人の経験をショートカットすることが新規事業成功への近道である。

    こういう人におすすめ
    会社内で新規事業の立ち上げにかかわる人に薦めたい。
    新規事業には過不足ない情報収集、検討、計画が必要だ。
    事業計画なく新規事業の立ち上げ作業を始めるのは、設計図を書かずに大工さんだけでいきなり家を作り始めるようなものだ。
    また、独立開業する人が、起業テーマを考える際にも参考になる。

  • ※以前に読んだ本の登録
    ざっくりメモ

    事業計画書を作成するときに使える教科書のような本。新規事業を考える際の外部環境、内部環境の分析からビジネスモデルとそのマーケティング戦略を立案する流れがかかれており、EMSで学んだこととつながっている。
    改めて読み直したい本。

  • 事業計画書作成のお勉強。

    野菜宅配ベンチャーとして有名になったオイシックスの成功要因も、「ラストワンマイル」にあります。
     …
     同社の創業当初の課題は、想定していた対象顧客であるシニア層へのリーチでした。まだ当時のシニア層はネット使用率が低く、同社のECサイト「Oisix(おいしっくす)」によるリーチは難しいと判断され、オフラインによる「ラストワンマイル」を模索していました。
     そこで白羽の矢が立ったのが、牛乳宅配業者でした。日本全国にある中小零細の牛乳宅配業者をパートナーとしてシニア層への販売・物流網を構築したのです。彼らとの提携には、3つのメリットがありました。
     1つ目は、顧客との親和性です。オイシックスがターゲットとした健康志向の強いシニア層は、宅配契約をして牛乳を飲むことが多く、そのような顧客を牛乳宅配業者は固定客として保有していました。つまり、オイシックスと牛乳宅配業者の提携には、対象顧客に関して親和性があったのです。
     2つ目は、ビジネス上の補完性です。牛乳宅配業者は定期便で牛乳などをルート配送しているので、野菜を配達する頻度にマッチします。また、受注も集金も彼らが対応してくれます。したがって、物流から販売、フォローまでを任せることができたのです。
     3つ目は、投資が不要であることです。牛乳宅配事業者は、もともと冷蔵設備を保有しているため、設備投資を追加しなくても野菜を混載することができました。つまり牛乳宅配事業者にとっては、従来の業務範囲内で野菜を取り扱うことが可能なため、さらなる投資の負担をすることなく、売上を拡大できるチャンスとなりました。オイシックスにとっても、委託が低コストで実現できました。

     新規事業の場合、立ち上げ当初の初期段階で損益目標を追うのはナンセンスです。もちろん、事業計画上の損益目標を設定するのは当然ですが、それは事業を立ち上げた後の行動をマネジメントするために活用するものではありません。損益よりも、売上拡大に向けて肝となる先行指標があるはずなので、まずはそちらをKPIとするべきです。例えば、次のような指標が考えられます。
     ・引合件数、集客数
     ・商談件数、提案件数、提案金額
     ・ページビュー数、サイト訪問数、ユニークユーザー数


     じつは、この「発案者に実施させるか否か?」が、通説と実態が異なるところです。
     一般的には、「いい出しっぺである熱意のある発案者にやらせるべきだ」と考えられています。アイデアを考えた人間にやらせないと、本気で実行されないというわけです。
     しかし、「必ずしも発案者に実施させることが正しいとは限らない」ということが研究結果で実証されています。
     東京大学の田中聡氏、中原淳氏の調査結果によれば、「成功した新規事業の担当者の中には、会社方針で異動させられてきたという人が意外に多い」ということが明らかになっています。
     また、丹羽清氏らの調査結果によれば、「革新的な研究開発のうち、計画と実施を同一人物が手がけたのは48%、計画と実施を別の人物が担当したのは52%と、拮抗している」ことが明らかになっています。
     つまり、第1段階の事業発案者が第2段階以降のフェーズを実行することが、必ずしも成功要因とは限らないということです。
     これには、2つの理由が考えられます。
     1つの理由は、「担当者の資質にバラツキがある」ということです。革新的なアイデアを出せて実行力もあるという人物がいれば、それがベストですが、必ずしもそうとは限りません。いろいろなアイデアは思いつくけれども実行がともなわないという人もいれば、すでにある構想を実行するのが得意な人もいます。社員のモチベーションも大切ですが、そもそもの資質も大切です。
     もう1つの理由は、「実行を求めないことで、かえってアイデアが出やすくなる」という点です。新しいアイデアを提案すると、「じゃあ、おまえがやれ」ということになりがちです。「発案者に責任をもってやらせたい」というだけでなく、「発案者が実行するほうがいい」と一般的に思われているので、なおさらです。
     しかし、その場合、発案する側の社員は「アイデアを提案すると、自分がやらされる」と考えるようになってしまいます。そうなってしまうと、革新的なアイデアを出すよりも、その後の実現を想定して落としどころを考えた穏当なアイデアにとどまる、という形に帰結します。
     逆に、「実行は考えなくてもいいので、アイデアを出してくれ」ということになると、斬新なアイデアや画期的なアイデアが出やすくなります。そういった意味で、事業構想段階と、それ以降の担当者を戦略的に分けるというやり方があり得るということです。

     例えば、東急電鉄は、新規事業を創出するために「社内起業家育成制度」を2015年4月に創設しています。誰でも新規事業を提案することが可能で、発案者がプロジェクトリーダーとして携わることができる制度です。新規事業の検討段階における事務局や外部有識者からのサポートなど、検討体制の整備や成果に応じたインセンティブも用意されています。
     この制度の大きな特徴が、新規事業が失敗しても元のポジションに戻れることを保証するというものです。「3年経って1回様子を見て、順調ならばあと2年続ければいい。撤退するときは撤退していい。失敗してもマイナス評価になることはないので、とにかく思い切りやってほしい」というのが、経営トップであった野本弘文社長(当時)の思いであり、その結果、社内起業家育成制度を導入してから約70件の新規案件が発案されたとのことです。

     撤退基準は、…、定量基準と定性基準がありますが、…
     肝心の定量基準ですが、財務数値による基準か、あるいは事業プロセスによる基準かのいずれかです。
     …
     一方、後者の事業プロセスによる基準とは、事業展開プロセスの中で重視しているKPIから判断するというものです。集客数、来店者数、受注件数などが、それに相当するでしょう。例えば、サイバーエージェントでは、「リリース後4か月経過した時点で、コミュニティなら300万PV/月、ゲームなら1000万円/月を超えていなければ撤退検討」という基準が設けられ、コミュニティについては、PV数によるKPI管理をしています。

    リスク
    ・マクロ環境リスク:政治リスク、経済リスク、社会リスク、災害リスク
    ・一般的な業務リスク
     商品リスク:食中毒が発生する/異物混入が発生する
     労務リスク:ハラスメント事象が発生する/パート社員が確保できない/社員が客先でトラブルを起こす/ルートセールス社員が、集金した金を着服する/社員が交通事故を起こす
     財務リスク:既存事業が厳しくなり、資金調達が困難になる
     情報リスク:顧客情報が漏えいしてしまう/システム構築がうまくいかない/システムエラーが発生する
     法務リスク:契約書類に不備がある/自社の商標権が侵害される、あるいは他社の商標権を侵害する
    ・固有の事業リスク例
     調達リスク:想定していた商品アイテムを確保できない/想定していた仕入先と取引できない/原材料費が想定より高騰してしまう/在庫管理がうまくいかない
     流通リスク:想定していた物流委託先と契約できない/委託先の品質が悪い
     販売リスク:想定した販売パートナーと契約できない/販売パートナーが積極的に動いてくれない/設置させてもらう事業者の数が伸び悩む/事業所で設置させてもらったものの、販売に結びつかない
     運営リスク:経営陣の方針が変わる/既存事業部門からの協力を得られない

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