- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784534057525
感想・レビュー・書評
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ファッション/アパレルの歴史を作り上げてきたキーパーソンを紹介する。
キーパーソンの特徴を追っていくことで、現在まで脈々とつながっている水脈のようなものを感じる。
ファッションは昔からの変革の連続でつながっているのだなと。
以下、気になった内容
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●チャールズ・フレデリック・ワース
・オートクチュールの始祖
・ファッションモデルを作り出した
・ブランドビジネスの創始者
●ポール・ポワレ
・コスセットから女性を解放
キモノドレス
●シャネルとスキャパレリ
・シャネルがモノトーンなら、スキャパレリはショッキングピンク
・シャネルは女性の身体を、スキャパレリは女性の感性を、それぞれ解放した
●ガブリエル・ココ・シャネル
・白と黒のモノトーンの組み合わせ
・「貧しい素材」と呼ばれたジャージー素材をハイファッションへと格上げした大胆さに潜む、上流階級へのリベンジ意識
・メンズライクな服
・本物と偽物をミックスするコスチュームジュエリー
●エルザ・スキャパレリ
・「あり得ないもの」が与えるショックによって驚きや笑いを引き起こし、心を、ひいては人生を、活気あるカラフルなものへと生まれ変わらせる。
・ファッションとアートを自由奔放に結びつけた先駆者
●ジャンヌ・ランバン
・穏やかで地に足がついた幸福感のある現実主義を貫く
●クリスチャン・ディオール
・「コロール」(花冠)ライン
・「ニュールック」布地をふんだんに使える
・パリモードのサイクルを作り上げた
・後継者はイヴサンローラン
●イヴサンローラン
・モードの外にあった要素を巧みに取り入れ、斬新なスタイルとして表現する
・ビートニクスタイル
・モンドリアンルック
・サファリルック
・タキシードルック
・「ファッションが社会を変える」多文化主義
有色人種モデルを初めて起用
●マリー・クヮント
・「既存のルールを壊すと力が湧いてくる」
・上流階級からストリートへ「下りて」くる流行ではなく、ストリート発の流行を上流階級に模倣させた。
・「キンキーな」(刺激的な)ミニスカート
・ウォータープルーフのマスカラ
●ヴィダル・サスーン
・セット不要のボブカット
●ヴィヴィアン・ウェストウッド
・「私がファッションに関わる唯一の理由は、『conformity(みんなと同じ)』という言葉を撲滅するためよ」
●ジョルジオ・アルマーニ
・時代が求めている人間像をデザインする
・メンズスーツに革命。アンコンストラクティッド製法(艶やかで柔らかな素材を使い、芯地のない)
・個性やセクシーさを表現
・広報戦略「セレブリティ・エンドースメント(有名人お墨付き)」「スタイルアイコン(サッカー選手のスーツ)」
・BMI18以下のモデルは使わない
●ラルフ・ローレン
・デザイナーではなく、コンセプター
・階級制なきアメリカにおける「アメリカ上流階級」というファンタジーという夢に形を与え、市場に持ち込み成功させた
●ジャン=ポール・ゴルチエ
・アンファンテリブル(恐るべき子供)
・「男性にはスカートをはく自由がある」
・「多様性と包摂」(多様性を容認し、誰も排外することなくソサエティのなかに包み入れよう)
・モードとスーパーマーケット衣料の壁を取り払う
●ポール・スミス
・「ルール破り」男性服に明るさと遊びをもたらす
●ダイアン・フォン・ファステンバーグ
・ラップドレス
・ココシャネル以来、最も市場を制覇した女
●アズディン・アライア
・ボディにぴたりと密着する「キングオブクリング」
・ファッション哲学を持って「トレンド無縁」のスタイルを作り上げた
・工程の最初から最後まで自分の手で関わることのできる小さな規模のビジネスを貫き通そうとした
●カルバン・クライン
・デザイナーズジーンズ、デザイナーズアンダーウェア
・ユニセックスファッションブーム
●ジル・サンダー
・装飾から脱却し、本質を浮き彫りにする
・「装飾のないデザイン」高品質な素材と厳密な細部による贅沢さと機能を両立
●ベルナール・アルノー
・「カシミアを着た狼」
・LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ
・ディオールを手始めにブランドコングロマリット
・財政面「マトリョーシカ(ロシア人形)」方式
Aの株を51%持っている別の会社Bの株を51%持っていればよい
●フランソワ=アンリ・ピノー
・ケリング(グッチ、サンローラン、ボッテガヴェネタ、バレンシアガ、アレキサンダーマックイーン)
・ジェネラス・キャピタリズム(気前よき資本主義)
周囲の文化的な環境に貢献し、ひるがえって自社も恩恵を受ける
・2大ラグジュアリー企業の「気前よき」資本主義は、グローバルに広がる深刻な格差問題を映し出した。ノートルダム寺院の火災への「善意の寄付バトル」→「黄色いベスト」による暴動が過激化。
・「ファッション協定」フランスで、ファッションとテキスタイル関連32社が気候・生物多様性・海洋について協力して実践的な目標を達成する
●アマンシオ・オルテガ
・ZARA。インディテックス。ファストファッション誕生
・1シーズンに少なくとも3サイクル。顧客の反応を一早くフィードバック。
・顧客を主役
●ラファエロ・ナポレオーネ
・ピッティ・イマージネ・ウォモ → メンズファッションの発信源 ピッティスナップ
●トム・フォード
・元祖クリエイティブディレクター
・広告はデザインの最終局面である
●リーアレキサンダーマックイーン
・闇、醜、怒り、不安、恐怖のなかから美を引き出す
●ジョンガリアーノ
・栄光の絶頂(ディオール)からどん底へ(ユダヤ人差別発言)復活(マルジェラ)
●エディスリマン
・創始者の功績をスルーしてわが道を行く
・「男を小さく見せるスーツ」
●カールラガーフェルド
・フリーランスとブランドのデザイン職に携わるという方式の最初の成功例
・シャネルとフェンディのクリエイティブディレクター
●トムブラウン
・半ズボンスーツ
●ヴァージルアブロー
・ラグジュアリーストリート
・ヴァージルの涙
クールな多様性社会を実現させるのは、熱い情熱を持つ「人」
●アレッサンドロミケーレ
・ジェンダーフルイディティ(ジェンダーは変動する)
・「タッキー(Tacky)」(ダサいからこそ素敵)
・「キャンプ(Camp)」芝居がかっていたり、過剰であったり、悪趣味だったり、皮肉が効いていたり
・「美に制限はない」「ルールもない」人間をあらゆる呪縛から解放している。
・ミケーレにとってバッグや靴や洋服は、生きづらい世界を少しでも生きやすくするための彼のアイデアを伝える「架け橋」である。あらゆる時代、あらゆる文化のエッセンスをミケーレの脳内に投げ込んで、そこから何の制限も加えられずアウトプットされた自由奔放なアイデアの具象
●ドリスヴァンノッテン
・方法論にとらわれず、対象によって変化する仕事のプロセスそのものを楽しむ。生きることを楽しむ。
●アニヤハインドマーチ
・ふざけて見えるものほど、品質を高めておくことが大事
●マノロブラニク
・どんなに売れても大量生産の波には乗らず、自ら工房で木型を削る。自然のなかでの禁欲的で孤独な仕事が、モードの最先端で求められ続ける感応的な靴を生む
●キリアンヘネシー
・触れることのできない香水を可視化する
・本物のラグジュアリーにはムダがない。捨てる行為とは無縁
●舘鼻則孝
・世界に出ていく必要はない。自分が渦の中心になり、世界を引き寄せればいいんです。
●ビルカニンガム
・写真は仕事じゃない。好きなことをしているだけです。
●スージーメンケス
・サムライスージー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ファッションビジネス史を駆け足で見れる本。
現在も愛され、親しまれている有名デザイナー達が多く紹介されているので、ファッションにあまりなじみがない人でも基礎知識として読みやすい内容だといえる。
ワース、ポワレ、シャネル等のファッションビジネスの創成期からDCブーム、日本人デザイナーの活躍、ファッションに光を当てるメディアのキーマンなど、ファッション関係の職についていなくてもビジネスマンとしては知識として押さえておいて損のない内容。
ファッション関係の人は所謂”今更聞けない”基礎知識のおさらいとしておすすめ。
しかし、すでにファッションの知識がある方には内容としては不十分だといえる。
情報濃度のバラつき等が目に付くことも否めない。
そこらあたりはいろいろ諸事情もあってだろうがあくまでファッション史の入門としては最低限の押さえどころが押さえてあり、ここから興味のあるデザイナーやブランドを深く知っていくきっかけにもなる一冊といえる。 -
美に制限はない。
自己表現としてのファッション。それは芸術に近いものがある。
ファッションビジネスは中々掴みどころがないと思って読み始めた。
読んでみて、ファッションビジネスの魅力を理解し、そしてさらに掴め無いと思った。 -
たまにはワクワクしながら楽しく読める本をと思い購入。
ファッションの歴史を創ってきた約50人の人物伝、といった感じ。
人物伝なので、筆者の書きぶりに心を動かされることはあまりなかったし、イノベーションのための明確なヒントを得られたというわけでもなかったが、現状に疑問を持ち、これを打開するアイディアを情熱を持って磨いて形にする、という方法は今の起業家たちとも全く一緒で、成功のために求められる姿勢はいつの時代も同じなのだなと思った。
特に、本書の成功事例には(きっとファッション業界の特徴)「誰かに認められて抜擢」とか「作品を贈り続けた結果、〇〇の縁で」など、実力だけでなくチャンスを得るための行動、人脈形成といった文脈が多く出てきており、才能を磨くだけでは成功せず、これを売り込む心意気が必要なのだと再認識した。
また、それぞれのブランドの創業者やクリエイティブディレクターがどんな思いで服を作り、ブランドを守ってきたかがわかったので、服が好きになったし、ブランド店に買い物に行きたくなった(これが一番)。 -
非常に面白かった。
デザイナーやディレクターの棲み分けや、商品の発想もデザイナーによって全然違ったり、各有名ブランドがどのように生まれ、どんなコンセプトがあったか知れたことはとても大きかった。
服や靴作りにおける発想や考え方は、日常生活の私たちの生活でも意識できることがたくさんあるし、あるいは、この本の言葉達で救われる人もたくさんいると思った。
・人を魅了する美しさに必要なのは美貌ではなく、想像力によるマジックだ
・欠点はチャームポイントになる
・醜さや嫌いなものからインスピレーションを受ける
・派手でない人の方が個性がある。リミットがない
・あなた自身であれ。他の誰かはすでにその人のもの
アパレルに興味ある人も、そうでない人も学ぶことがたくさんある本でした。 -
イノベーションを起こした、という軸で絞り込まれたファッション史。広く浅くですが、知識のインデックスとして十分で読みやすかったです。言葉で解説された各ブランド、デザイナーのアイコンとなったアイテムがどんなものか見たくなるので、写真が掲載されていたら尚良かったです。
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広く浅くファッション史を学べました。
これから気になった人を深く調べていきたいです。 -
アパレル史でカギになる人物について端的にまとめている。読みやすい文章で一人当たりが短いので、ざっと読むのにとてもいい。
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<目次>
はじめに
第1章オートクチュールの始まり、女性解放のイノベーション
第2章20世紀のモードの発展と熟成、時代が求める人間
第3章モードの多様化と、その行き詰まりブランドが抱える
第4章日本が世界に与えた衝撃
第5章グローバリズムとカリスマ経営者
第6章翻弄するのか、翻弄されるのか、時代の寵児
第7章グローバルニッチ戦略で勝負するクリエイター
第8章イノベーターを育てるファッションメディア
あとがき
p66時代が求めている人間像をデザインする力のある
のがデザイナー(ジョルジョ・アルマーニ)
(ならば、今、はファッションではないのか)
p1191950年代、~きちんとした洋服を持とうと
思えば、オーダーしかなかった(芦田淳)
p159 2019/6月、フランスでファッションとテキスタイル関連
32社が気候・生物多様性・海洋にして協力して
実践的な目標を達成するファッション協定を結んだ
マクロン大統領からアンリ・ピノーに与えたミッションであった
たしかに、ついこの間まで、ファッションデザイナーが
イノベーターであった気がする。だけどここ最近はそうでない
、今はイノベーターはファッションの時代ではない気配である
だからファッションがつまらないのかもしれないし、
自分の興味もそこには、なくなっている。
今は、デジタルの時代、デジタルのでデザイナーが、イノベーター
である社会に代わっているのだ。