17歳からの民主主義とメディアの授業 ぶっちゃけ、誰が国を動かしているのか教えてください

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  • 日本実業出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534059161

感想・レビュー・書評

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  • 投票行動に対するコスト。それだけではなく、全編を通してコストと言う話が出てくる。巻末に描かれるように、著者の師匠の一人だという宮台真司が「損得勘定にとらわれるな」と言う発言をしているが、それに対してオマージュ風に「損得感情をきちんと働かせよう」と言うメッセージが本書の狙いだそうだ。

    だからだろうか、バランス感覚と慎重な目線で綴られる。著者が成田悠輔の研究をオーソドックスと評価して一部炎上していたが、本著の内容は余程オーソドックスだ。学生に向けた教科書的内容、と思えばそれも無理はないか。

    個人的には、ひろゆきとの確執?を匂わせる最近の論破風潮を名指しで否定している事に、下世話ながら面白さを感じた。と言っても、案外、西田亮介氏も嫌いではない学者の一人ではあるのだが。

  • 政治に興味はありますか?
    選挙へは行っていますか?
    私たちと政治は、なぜこれほど遠ざかっているのでしょう。
    日本のこと、政治のことを知りたい、日本の政治のいままでとこれからを知りたい人にお勧めです。
    とても分かりやすく、明確です。

    だから学校が不自由だという気持ちはよくわかります。いま不自由さ、息苦しさを感じている方には、「勝たなくていい、負けるな」と伝えたいですね。いま勝たなくても、生きていればまたどこかで転機が巡ってくるかもしれませんから。それを探しましょう。 ー 151ページ

  • 312-N
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  • 偏らないこと、も一種の偏り。
    大学の進学率は50%程度。OECDの中位以下。
    新事業促進と消費者保護では、後者に重きを置かれている。
    表現と権力や暴力の分離は基本的土台。
    隠ぺいや改ざんに妙に寛容。
    投票もコスト=見返りとの見合い。投票に行くのが普通で例外的に投票に行かない人がいる、が逆転しつつある。棄権に対するペナルティが乏しい。
    民主主義は議論して定めることに価値がある。合理的に正しい決定ができるとは限らない。AIに任せることは人間的なことを手放そうとしてる。
    白票は意味はない。多くても何も起こらない。
    コロナ禍ですら生活保護の利用率は横ばい。
    若者の投票率が低い。高齢者が高い。
    天気が悪いと投票率は下がるがよすぎても伸びるわけではない。
    自民党は規模が大きくノウハウが蓄積されている。
    政治家は好感度を高めることが本能。

    国連の電子政府化に関する調査では200か国中14位。開かれた政府指標でもveryhige。
    民主主義にも反対できるのが民主主義。
    治安維持と内乱対策は、警察の仕事。

    積極的自由と消極的自由。
    表現の自由は世界的に見ても尊重されている。
    中国からの留学生は、お金のためではなく日本語を覚えるためバイトしている。
    中国ではオービスのようなものが光るだけでなく音を出す=監視されていることを意識させている。FACEBOOK、TWITTER、googleもつながらない。
    通信に秘密を暴くことは表現の自由を侵害する。

    憲法は基本的に統治機構に対する制約。国民ではない。公共の福祉による制約だけ。
    コストに敏感なため、いまある自由を捨てたくなることもある。

    閉塞感の正体=選択肢が少なく、失敗したら怒られる状態。経済成長していないから失敗を大目に見る余裕がない。将来、収入が伸びる気がしない。経済成長は手放してはいけない。
    日本のデモのコストが高い。あらかじめ申請が必要。フランスはいつでもできる。
    自衛隊にも治安出動が用意されているが、今まで一度もない。自衛隊が国民に対峙するとなると国民感情は悪くなる。
    選挙は現職有利。マスメディアの影響がある。
    テレビの影響力はいまだに強い。放映時間が決まっている。選挙との相性は抜群。ネットやSNSは、バラバラなものを見る。
    メディアは間違えてもお詫びをするか、長くやっているか、が信頼の元。
    ネットメディアは報道ではなく2次情報。ニュースを取材することはコストがかかる。報道がビジネスとして成り立ちにくくなっている。オピニオンや論評は低コストで楽。

    新聞社はネットに情報を出しすぎると紙の新聞が売れなくなる。新聞社は今後も社会や民主主義にとって潜在的に必要。だれがこれを担うのか、は民主主義にとって重大問題。
    日本は新聞大国。世界の発行部数1,2,4位は日本。アメリカでは新聞がない地域もある=ニュース砂漠。地域の情報を取材する人がいない。権力の監視ができない。
    テレビや衛星放送も重要。ベルリンの壁崩壊の遠因。
    昔は読んでいなくても家に新聞があった。
    ジェフベゾスがワシントンポストを買収した。

    新聞社と民放はNHKを目の敵にしている。

  • 社会、政治の問題点、課題をわかりやすく解説、読みやすかった。

  • 政治に興味を持っている10代・20代にむけて、彼らの素朴な疑問や感覚に寄り添う体で、日本政治の現状への向き合い方を説いている。意識的にそうしているのだろうが、やや雑で放談めいた感じ。それでも、参考になる指摘や切り口がいろいろあって勉強になった。たとえば、p97からの、政治家は万人受けを狙う生き物なので、基本的に信頼できない、とか、p182からの、団塊の世代は政治意識が高いが彼らの若いころの政治状況は単純で、今の若者たちが直面している政治状況はそれにくらべて目を背けたくなるほど複雑だ、とか、p196からの、テレビの影響力はいまだに強い、とか、p202からの、取材を必要とするストレートニュースはコストが高く、オピニオンは安いが、今まで取材を担ってきた新聞などのマスメディアがどんどん弱体化している、とか、p275からの、メディア・リテラシーを強調しすぎるのはメディア関連の事業者の責任を免責する自己責任論だ、とか。

  • 政治参加を「コスト」と感じ、政治家をAIに任せた方が合理的と考える人がいるという。正直驚いた。なんでもかんでも効率化すればいい、ということには自分は懐疑的で罪の面が大きいと感じている。著者も民主主義の良さである人間らしい判断を失うことを警鐘してくれており、ちょっと安心した。政治に関心を持つ人が増え、投票する人が増えれば、政治に対する牽制機能が働き、大いに意味があると感じた。筆者の言うように、アイドルを使った広報に踊らされる愚民と思われるのは腹立たしい。しっかり権利を行使しないことは結局自分に返ってくることを知らなければならない。

  • 民主主義との付き合い方を砕けた文調で。
    我が国の政治システムである民主主義、義務教育でも仕組みは学ぶが、どのように付き合うかは、個人の自由でもある。
    でも、民主主義は強制されないものの、一定のコストを払う必要があるのでは、と、そう思わされた。

  • 2022I001 311.7/Ni
    配架場所:A3 東工大の先生のコーナー

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著者プロフィール

西田亮介(にしだ・りょうすけ)
1983年京都生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院准教授。博士(政策・メディア)。
専門は公共政策の社会学。著書に『ネット選挙——解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)、『無業社会——働くことができない若者たちの未来』(工藤啓との共著、朝日新書)、『情報武装する政治』(KADOKAWA)、『コロナ危機の社会学』(朝日新聞社出版)がある。

「2021年 『新プロパガンダ論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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