ケースからはじめよう法と経済学: 法の隠れた機能を知る

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  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535515819

作品紹介・あらすじ

日本法は社会に何をもたらしたのか?実際の法の解釈・運用、判例を素材とした日本で初めてのテキスト。法と経済学は法的紛争の処理に使うことが可能な道具である。

感想・レビュー・書評

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  • 2730円購入2010-07-08

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  • 法と経済学という学問は、既存の法制度や判例がわれわれの行動にどう影響を及ぼすかをミクロ経済学の知識を駆使して解明する学問です。様々なテーマをとりあげていて、読み物としても面白かったのですが、ミクロ経済学の知識がもっとあれば学びも深まったかな・・・。

  • 【書誌情報】
    定価:税込 2,808円(本体価格 2,600円)
    発刊年月 2007.09
    ISBN 978-4-535-51581-9
    判型 A5判
    ページ数 296ページ
    Cコード C3032
    ジャンル:法律一般・法学・事典
    難易度:テキスト:初級
    https://www.nippyo.co.jp/shop/book/3140.html


    【目次】
    はじめに(2007年8月 福井秀夫) [iii-viii]
    目次 [ix-xv]
    凡例 [xvi]

    序章 「法と経済学」のすすめ 001
    1 法の隠れた機能を知る 001
    2 任意規定と強行規定の意味を検証する 005
    3 法のもたらすパラドックスを正確に把握する 006
    4 法による当事者への介入の条件を踏まえる 006
    5 「政府の失敗」を軽視しない 010
    6 法と経済学で考える 011
    第1原理一人々はトレードオフ(相反する関係)に直面している 011
    第2原理一あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である 013
    第3原理一合理的な人々は限界的な部分で考える 013
    第4原理一人々は様々なインセンティブ(誘因)に反応する 014
    第5原理一交易(取引)はすべての人々をより豊かにする 015
    第6原理一通常、市場は経済活動を組織する良策である 015
    第7原理一政府は市場のもたらす成果を改善できることもある 018

    第1章 金利に対する政府介入はどうあるべきか――契約法の経済分析の基礎 021
    第1章で使う経済学:市場への政府介入の効効果 022
    1 背景説明および法と経済の理論 025
    (1) 金利規制の実態 25
    (2) 金利規制の影響 27
    2 判例とその解説――一最近の最高裁判決にみる「みなし弁済」規定の空文化 032
    3 法と経済学で考えてみよう 035
    (1) 最高裁判決の意味 35
    (2) グレーゾーン金利の明記について 36
    (3) 規制の弊害 37
    (4) 市場の失敗の是正 38
    4 回答骨子 039

    第2章 解雇規制は誰を保護するのか――完備契約と不完備契約 043
    第2章で使う経済学:需要と供給の理論 044
    1 背景説明および法と経済の理論 047
    (1) 解雇規制の実態 047
    (2) 解雇規制の影響 048
    2 判例とその解説――解雇を制約する判例法 056
    3 法と経済学で考えてみよう 059
    (1) 解雇はなぜ起きるのか 059
    (2) 解雇規制の正当化根拠は何か 059
    (3) 日本の経済社会への解雇規制への影響 063
    (4) 労働契約法の課題 064
    4 回答骨子 064

    第3章 河川の流水はどのように配分すべきか――所有権法の理論 067
    第3章で使う経済学:公共財・共有資源と所有権の経済学 068
    1 背景説明および法と経済の理論 070
    (1) 共有地の悲劇 070
    (2) コースの定理と所有権 072
    2 判例とその解説――一公水使用権の限界 073
    3 法と経済学で考えてみよう 074
    (1) 公水使用権の成立要件 074
    (2) 公水使用権の性格 076
    (3) 公水使用権の効果 079
    4 回答骨子 081

    第4章 構造計算偽造事件の損失は誰が負うべきか――損害賠償法の経済分析 083
    第4章で使う経済学:私人のイニシャティブによる外部性の内部化 084
    1 背景説明および法と経済の理論 085
    (1) 損害負担に関する取決めの難易度 085
    (2) 損害負担のルール 089
    2 判例とその解説――私人のイニシャティブによる外部性の内部化 094
    3 法と経済学で考えてみよう 096
    (1) 単体規定と集団規定 096
    (2) 構造計算偽造事件の特異性 097
    (3) なぜ契約の当事者だけに委ねることが適切でないのか 097
    (4) 責任負担のあり方 098
    (5) 過失責任か無過失責任か 100
    (6) 審査機関の決定 100
    (7) 保険によるリスクの分散 101
    4 回答骨子 102

    第5章 担保不動産からの債権回収はなぜ進まないのか――担保執行法の経済分析 105
    第5章で使う経済学:取引費用の経済学 106
    1 背景説明および法と経済の理論 107
    (1) 担保不動産市場の失敗107 
    (2) 短期賃貸借保護による執行妨害の助長 108
    (3) 最低売却価額の矛盾 110
    (4) コースの定理と初期権利配分 110
    (5) 金融市場・担保不動産市場への担保執行法の影響 112
    2 判例とその解説――抵当権者はどこまで不法占有排除に関与できるか 116
    3 法と経済学で考えてみよう 120
    (1) 担保不動産市場は民間の不動産市場と何が違うのか 120
    (2) 担保執行法に何が求められるか 122
    (3) 民間競売の導入は多くの問題を解決する 125
    (4) 事後的な個別当事者間における利益衡量がもたらす歪み 125
    4 回答骨子 126

    第6章 犯罪抑止にとって刑罰とは何か――刑法の経済分析 129
    第6章で使う経済学:国家のイニシャティブによる外部性の内部化 130
    1 背景説明および法と経済の理論 132
    (1) 刑罰の法と経済分析の基礎理論 133
    (2) 犯罪はなぜ悪い 139
    (3) 「効率的」犯罪は存在するか 140
    (4) 刑罰の重さと刑罰執行確率をどう組み合わせるか――効率的刑罰とは 140
    (5) 損害賠償法と刑法はどう違うのか 141
    2 判例とその解説――犯罪者のインセンティブと刑法 143
    3 法と経済学で考えてみよう 147
    (1) 刑法の目的の明確化 148
    (2) 犯罪者のインセンティブコントロールの重視 148
    (3) 損害賠償法と刑法の連続性 149
    (4) 計画的犯罪と衝動的犯罪 151
    (5) 非犯罪化の可能性 152
    (6) 責任無能力者による加害行為 152
    4 回答骨子 153

    第7章 企業規律に責任を持つのは誰か――会社法の経済分析 155
    第7章で使う経済学:契約理論と不法行為理論の狭間 156
    1 背景説明および法と経済の理論 157
    (1) 会社と会社法の意味 157
    (2) 不完備契約論からみた会社法158
    (3) 不完備契約はなぜ発生するのか 161
    (4) 「標準書式」としての会社法 161
    (5) 多数株主と少数株主の利害対立を会社法が調整すべきか 162
    (6) 会社支配権の移転は悪か――企業買収の是非 165
    (7) 会社債権者の保護をどう図るか 166 
    (8) 会社と契約関係にない第三者との法的関係 168
    2 判例とその解説――企業買収と会社法 170
    3 法と経済学で考えてみよう 175
    (1) 法ルールの意味 175
    (2) 当事者が意思決定することの意義 176
    (3) 取引費用の削減策 177
    (4) 事前のルールと事後のルール 177
    4 回答骨子 178

    第8章 知的財産は有体物と何が違うのか――独占権付与の経済分析 181
    第8章で使う経済学:独占の経済学 182
    1 背景説明および法と経済の理論 183
    (1) 知財保護のディレンマ 184
    (2) 知財は有体物の所有権とどう違う 185
    (3) 独占権の強さと技術・アイデアの流布 186
    (4) 職務発明にどのように報いるか 191
    (5) 消尽理論 193
    2 判例とその解説――知的財産保護のトレードオフ 195
    3 法と経済学で考えてみよう 201
    (1) 知財を利用する権利の独占をめぐるトレード・オフの解決 201
    (2) 知財の一般開放に対するインセンティブ付与 201
    (3) 職務発明の果実をどのように大きくするべきか 203
    (4) 消尽理論の根拠 204
    (5) 知財に関する法的判断の基本的視点 204
    4 回答骨子 205

    第9章 価格戦略は「反競争」的か――独占禁止法の経済分析 207
    第9章で使う経済学:産業組織論を踏まえた政府の介入 208
    1 背景説明および法と経済の理論 209
    (1) 独禁法の規律 209
    (2) 企業の行動と価格戦略 211
    2 判例とその解説――企業の価格戦略への法の介入 220
    3 法と経済学で考えてみよう 228
    (1) 独禁法と効率性 228
    (2) 市場の失敗と政府の失敗 228
    (3) 正当性を欠く絶対的費用優位性に対する介入 228
    (4) 競争政策と知財保護の交錯 229
    4 回答骨子 230

    第10章 環境を守ることとは何か――環境法の原理 231
    第10章で使う経済学:外部性と公共財の法的処理 232
    1 背景説明および法と経済の理論 233
    (1) 外部性と環境 233
    (2) 差止め請求と損害賠償請求 240
    2 判例とその解説――外部性コントロールと初期権利配分の規律 241
    3 法と経済学で考えてみよう 248
    (1) 環境法と効率性 248
    (2) 環境アセスメントの改善 249
    (3) 国と自治体の役割分担 250
    (4) 公法と私法の交錯 251
    (5) 汚染者負担原則 251
    (6) 環境を「守りすぎる」ことはあるか 252
    4 回答骨子 252

    引用文献と判例 [254-258]
    さらに学習をすすめるために [259-271]
    事項索引 [273-278]

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著者プロフィール

政策研究大学院大学教授

「2023年 『行政法研究 第52号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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