[改訂版]経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める

制作 : 尾山 大輔  安田 洋祐 
  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535556591

作品紹介・あらすじ

経済セミナー増刊『経済学で出る数学』の単行本化。経済学に必要な数学を高校数学からやり直す。例題→高校数学のおさらい→練習問題と進めることで、自力で問題が解けるようになる。

感想・レビュー・書評

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  • 極限、行列未修で社会人になってから結構経ってしまった文系非経済学部出身おじさんの感想です。巻末資料で言うと1989年改正学習指導要領に基づき2Bまでやりました。

    しっかりと数学と向き合うのは大学受験以来でしたので、一冊仕上げるのにかなり時間がかかりました(遠い昔はそこそこ数学が得意でした)。
    初版発売時に購入しており、経済学の教科書を読まずに取り組んだのですが、5章の途中で挫折しました。

    今回、「ミクロ経済学の力」を読了後再度の挑戦でしたが、かつて挫折した5章から7章の辺りで事前に学んでおいた経済学の概念と数式ががっちり噛み合い、解説を読むたびに目からウロコがポロポロ落ちました。

    もしいきなりこの本に取り掛かって私のように難しいと思われる方がいたら、この本のはしがきに書いてあるやり方に従い、難しいと思ったところをガンガン飛ばしつつ理解もそこそこに7章まで通しでやって(別売りのワークブックをやるといいかも)、ミクロ経済学の中級書を読んだ後で戻ってきて再度残りをやると挫折の恐れなく効率良い使い方ができると思います。
    10章のオークションの解説は言葉足らずに感じました。
    上級の教科書は洋書が殆どなので、巻末に専門用語の英訳が載っているのも地味にありがたいです。

    ネットでは学部レベルでもこの一冊では不十分、簡単すぎるとの恐ろしい意見もありましたが、値段・内容・本の厚さを総合すると文系の方が経済数学の最初の一冊として取り組む本としてはベストだと思いました。
    (チャンもチラッと見ましたが上下巻で分厚く全体像を把握するのに時間がかかりそうだという印象です。他は推して知るべし。)

    この先は巻末の文献案内を参考にしつつ、ハル・ヴァリアンのMicroeconomic Analysisを読む予定です。

    余談ですが正誤表は執筆者の尾山先生のWebサイトにあります(http://www.oyama.e.u-tokyo.ac.jp/kderu/

  • 経済学だけでなく、ファイナンスにおける数学の入門書としても最適。

    従来の「経済数学の入門書」の多くは、実際のところ高校(文系)数学レベルでは読みこなすことはできない。しかし本書は、本当に高校(文系)レベルで読める数少ない経済数学の入門書と考えられる。

    例題や練習問題も適度な難易度であり、解説も詳しい。しかも、抽象的な数式展開を極力避けて具体的に書かれているので、イメージがしやすい(抽象的表現が、数学を難しくしている一因でもあるので。)

    ただし、本書はあくまでも「経済学で使う数学」の本である。本書だけでは、経済理論を十分に学ぶことができないのは言うまでもない。

  • 経済学の具体的なトピックにそって、必要な数学をわかりやすく説明されており、大変よかった。数学とかは往々にして「何の役に立つのか」と思いがちであるが、本書のようなアプローチであれば、数学を勉強する動機づけになるのではないかと思った。

  • 【感想文】
     経済学で用いられる数学を解説した、初学者には至れり尽くせりな本。2008年の経済セミナー『経済学で出る数学』を2013年に改定したもの。
    ・全11章構成で、解析・線形代数・統計などの基礎を扱う(経済学的には、初歩的な最適化問題やラグランジュやソロー・モデルやその他諸々)。
    ・演習問題のほかに、数学の記号の使用法や簡単な数学・経済学の用語の解説など、細かい配慮がある。
    ・数学に自信のない学部一,二回生にオススメ。価格が良心的な点から財布に自信のない大学生にも薦められる。
    ・巻末資料が私には興味深く読めた。
    ・執筆陣のひとり、秋山仁さんのインタビューがあった(※pdfファイル)。内容は日本の数学教育云々。
    http://www.nippyo.co.jp/blog_keisemi/wp-content/uploads/2013/08/kderu_interview_akiyama2.pdf

    ・追記(20140831)
     小島寛之さんも下記エントリーでべた褒め。
     「イケメンたちが書いたイケメンな経済数学」(hiroyukikojimaの日記 2014-08-18)
    http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20140818/1408372822
     “〔……〕この教科書は、経済数学の教科書のブレークスルーだと言っていい。なぜなら、数学のアイテムを高校の教科書通りの順序に並べておいて、その詳しい解説(復習)の上で、当該の数学アイテムを利用する経済のトピックを散りばめているからだ。とても斬新な作りだと思う。〔……〕”


    【書誌情報】
    『[改訂版]経済学で出る数学――高校数学からきちんと攻める』
    編著者:尾山 大輔
    編著者:安田 洋祐
    装幀:末吉 亮[図工ファイブ]
    定価:税込 2,310円(本体 2,100円)
    発刊年月 2013.03
    ISBN 978-4-535-55659-1
    判型 B5判
    ページ数 384
    Cコード C3033
    ジャンル 経済理論
    難易度 テキスト:初級
    https://www.nippyo.co.jp/shop/book/6103.html

    【簡易目次】
    はしがき [i-ii]
    目次 [iii-vii]

    第1章 1次関数と市場メカニズム 001
    1.1 関数と変数
    1.2 比例関数の性質
    1.3 連立方程式と市場均衡
    1.4 グラフと余剰分析
    1.5 もう少し練習 

    第2章 2次関数と独占・寡占市場 032
    2.1 独占市場に見るトレードオフ
    2.2 寡占市場を斬るゲーム理論
    2.3 もう少し練習

    第3章 指数・対数と金利 055
    3.1 複利計算――その1
    3.2 累乗の計算
    3.3 割引現在価値
    3.4 複利計算――その2
    3.5 対数の計算
    3.6 常用対数による近似計算
    3.7 自然対数と連続時間での利子率・割引率
    3.8 もう少し練習

    第4章 数列と貯蓄 082
    4.1 等比数列
    4.2 数列の極限
    4.3 級数
    4.4 割引現在価値の和
    4.5 漸化式(差分方程式)
    4.6 もう少し練習

    第5章 1変数の微分と利潤最大化 113
    5.1 費用関数と利潤最大化
    5.2 微分とは
    5.3 微分の公式
    5.4 関数の増減と最大・最小
    5.5 最適化の例:利潤最大化
    5.6 凹関数・凸関数
    5.7 指数関数・対数関数をもう少し攻める
    5.8 連続時間での成長率
    5.9 テイラー展開
    5.10 もう少し練習

    第6章 ベクトルと予算制約 173
    6.1 予算制約
    6.2 ベクトルのいろいろ
    6.3 ベクトルの内積
    6.4 1 次関数と直線・平面
    6.5 もう少し練習

    第7章 多変数の微分と効用最大化 201
    7.1 予算制約下の効用最大化
    7.2 多変数関数の微分
    7.3 制約なしの最適化
    7.4 制約つきの最適化
    7.5 準凹関数・準凸関数
    7.6 もう少し練習

    第8章 行列と回帰分析 242
    8.1 はじめに
    8.2 数とベクトルと行列
    8.3 計量経済学における行列演算
    8.4 行列演算の解説
    8.5 行列演算の理解度チェック
    8.6 より進んだ行列演算
    8.7 まとめ
    8.8 最小2 乗法をもう少し攻める―――その図形的意味

    第9章 確率とリスク 269
    9.1 経済学での使用例
    9.2 確率の基本
    9.3 期待効用理論
    9.4 基礎知識の確認

    第10章 積分とオークション 300
    10.1 オークションのいろいろ
    10.2 分布関数と密度関数
    10.3 連続確率変数の期待値
    10.4 セカンドプライス・オークションの期待収入
    10.5 積分の定義
    10.6 微積分学の基本定理
    10.7 ファーストプライス・オークションの期待収入
    10.8 積分計算の応用 324
    10.9 ファーストプライス・オークションのナッシュ均衡をきちんと求める 332

    第11章 漸化式と経済成長 337
    11.1 経済成長理論とは 337
    11.2 ソロー・モデル 339
    11.3 定常状態の求め方を理解する 346
    11.4 解法のまとめ 351
    11.5 もう少し練習 352


    付表 ギリシャ文字一覧 [355]
    資料 学習指導要領の変遷 [357-361]
    文献案内 [363-366]
    索引 [367-371]
    執筆者紹介 [372]

  • (文系)高校数学からの接続をきちんと考慮し、経済学と数学が明確に対応した形で、経済学部の学部レベルで使う数学を十分カバーしている本。経済理論そのものではなく、あくまで経済数学(経済学で使う数学)に関する本。

    本書
    「改訂版 経済学で出る数学: 高校数学からきちんと攻める(尾山大輔、 安田洋祐)」(2013/03/19)
    は、
    「経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める 2008年 10月号 [雑誌]」(2008/09/29)の改訂版。
    「経済学で出る数学 ワークブックでじっくり攻める(白石俊輔)」(2014/03/25)も合わせて学ぶとよい。

  • 説明の仕方がユニークなのでややとっつきにくい印象がある。

  • 東2法経図・6F指定:331.19A/O95k/Masuhara

  • 理論と実践、高校数学と大学の数学を繋ぐ良書。そして、「数学って何の役に立つの?」と思っている人にこそ勧めたい、数学に対するイメージを大きく変えてくれた一冊。

    本書は、経済学を学ぶ中で出くわす数学について、直感的な意味を優先しながら、丁寧に解説してくれている。また、最大の特徴として、「一次関数と市場メカニズム」(第1章)、「指数・対数と金利」(第4章)、「ベクトルと予算制約」(第6章)というように、数学の理論と、経済学的な考え方を直結する形で説明する。
    おかげさまで、数学的手法の持つパワー・意味合いが良くわかるだけでなく、経済理論にも慣れることができた。

    僕は中学生の頃から数学が苦手で、色々な参考書を試して見てもうまく行かず、数学の勉強は半ば苦行だった。そんな僕も、この本はとても興味を持って取り組むことが出来、一冊終える頃にはすっかり数学に魅了されていた。

    また、上のような理由から、この本は数学を苦手とする高校生の副読本としても役立つと思う。繰り返しになるが、この本は微分積分のような抽象的な概念も直感に即した形で解説してくれて、数学を学ぶことの有用性まで教えてくれるので、世の中から数学嫌いを減らし、経済学好きを増やすことができるんじゃないだろうか。

    可能なら、人生のもっと早い段階、できれば大学入学前に出会いたかった一冊。オススメ。

  • 最後の方初学者にとっては難しい

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:331.19//O95

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著者プロフィール

東京大学大学院経済学研究科・経済学部 准教授

「2014年 『経済学で出る数学 ワークブックでじっくり攻める』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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