新公共事業必要論: 港湾・空港の整備が日本を救う

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  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535584549

作品紹介・あらすじ

世界大危機のなかで資源小国日本の生きる道を探る。大海洋時代を迎えたいま、日本の生き残る道は、立ち後れた港湾・空港の整備にある。

感想・レビュー・書評

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  • 見聞録と講演等の抜粋が内容の大半で、なぜ港湾・空港整備が日本にとって必要なのか、港湾・空港整備が進めばどのようなメリットがあるのかが、よく伝わってこなかった。

  • 信頼のおける政治評論家・森田実氏の著作。氏がこうした著作を行っているとは思いもよらなかった。骨子としては、「港湾整備は日本の国策上、世界経済における日本の生存においても、極めて重要。しかし、日本は他のアジア新興国の港湾から立ち後れている。1990年代からの公共事業抑制、とりわけ港湾整備の抑制政策が影響している。日本が今後世界経済にとって、重要な役割を果たすのならば、港湾や空港の整備は必要不可欠」としている。
    氏の論は、最近の公共事業抑制策に与しない。国際競争力をつけるため、必要な公共投資は行うべきであり、それによって税収アップを図るという、所謂上げ潮論である。
    身近なところでは、苫小牧港などの記述もあり。これからの北海道の可能性についても触れていた。内容は我が意を得たりという感じである。
    印象的な箇所は複数あるが、「中部国際空港建設の折りの漁業補償について、必要なのは漁業関係者との信頼関係であり、お金が第一ではない」も印象的。大型貨物船が接岸できるよう、大深度浚渫も必要。大規模港湾の整備が急務と感じる。
    その他、現在の若者の努力不足、将来の日本の行く末等、憂うところは沢山あるが、だからこそ、自分も何かの役割を果たさねばと、気分を一新した。
    一つだけ違和感。中国との友好、緊密化を説くのはいいが、あまりに中国に迎合しすぎているのではないか。中国の強かさについて、もう少し研究する必要があると感じた。

    以下目次を記す。

    まえがき 1
    1 なぜ港湾・空港を整備するのか 1
     港湾の魅力にひかれて 2
     港には神がいる。「港神」という神が・・・・ 4
     日本は世界で代表的な海運・港湾国 5
     大海洋時代の到来 6
     わがふるさとは港町 8
     海に未来あり 11
     海と港湾の有効な活用で未来を切り開く 13
     国土の健康保持は政府の責任 14
     誤った構造改革は止めなければならない 16
     修正資本主義の復活が必要 18

    2 日本の三大主要港湾の現状と課題 日本の産業経済の国際競争力強化を目指して 21
     首都圏4000万人の生活と経済を支える東京港 22
     東日本の経済・産業を支える京浜港 36
     製造業中心の中部地方の産業を支える名古屋港 45
     復活する国際港・神戸港 53

    3 人類と港 港の原点としての島の港 65
     港は島民のライフライン 66
     甦った三宅島空港 71
     美しき島・大島(東京都)79
     大島町の藤井町長のビジョン 81
     波浮港を行く 85
     大島の祖・源為朝 88

    4 北方経済圏を支える北海道の港湾 91
     北海道民の生活と経済を担う苫小牧港 92
     北方経済圏と北海道の未来を創造する港湾 116
     釧路港・漁港の魅力と可能性 123
     天然の良港・室蘭港 131

    5 地方経済を支える個性ある港湾都市 釜石港・清水港・博多港 137
     釜石港−魅力に満ちた東北の港湾都市 138
     静岡県と中部地方の経済を支える美しき天然の良港−清水港 150
     日中新時代を拓く博多港 161

    6 中国の上海港・洋山深水港、勧告の釜山港に見るアジア大港湾時代 173
     大港湾時代の到来 174
     中国の躍進を支える上海港 177
     韓国経済を支える釜山港 188

    7 世界のなかにおける日本の空港 193
     日本の空港を取り巻く環境変化 194
     世界へ羽ばたく羽田空港 202
     関西復活の切り札、国際空港「関空」 214
     名古屋・中部新時代を切り拓いたセントレア 231

    8国民のための公共事業は必要である 245
     貿易・海洋国として生きるための必要条件としての港湾・空港の整備 246

    あとがき−平和的貿易・海洋国への道 257

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著者プロフィール

政治評論家。東日本国際大学名誉学長。森田実地球文明研究所所長。山東大学名誉教授。1932 年静岡県伊東市生まれ。神奈川県小田原市の相洋中学・高校卒業。東京大学工学部卒業。学徒動員の最後の世代として戦争を経験。
若き日は学生運動に身を投じリーダーとして活動。また原水爆禁止世界大会に参加し、広島・長崎の被爆地慰問など平和運動に取り組む。日本評論社出版部長、『経済セミナー』編集長などを経て、1973 年に評論家として独立。以後、テレビ・ラジオ、著述、講演活動などで活躍。晩年は、名誉学長を務める東日本国際大学をはじめとする各大学などでの教育事業に尽力した。2023 年2月7日、悪性リンパ腫のため逝去。享年九十歳。

「2024年 『中庸思想の源流 孔子とアリストテレス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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