はじめよう位相空間

著者 :
  • 日本評論社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535782778

作品紹介・あらすじ

本書は「数学専攻の学生だけでなく、工学系や教育系などの人達にも位相について知ってもらいたい」と考えて、できる限りていねいに書いた入門書である。具体的には、内容を位相のもっとも基本的な事項-連続写像、位相同型、距離、距離空間、点列の収束、境界、開集合、閉集合、位相構造、位相空間、コンパクト、連結-に絞り、これらの概念を最初に述べた幾何学的な動機に沿って説明することを試みた。そして最大値・最小値の定理と中間値の定理を位相空間の上で実際に証明する。

感想・レビュー・書評

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  • 位相空間論の充実した入門書で,本書を一通り理解できれば微分幾何学や関数解析の基礎は整っているはず。ユークリッド幾何→距離空間→位相空間という手順を辿り,特に距離空間の比重が大きい初心者向けの設計。同著者による演習書を併用するとさらに効果があると思う。

  • 前提知識:大学数学で使う記号(∀とか)
        集合論(高校で習う程度の知識で読める)

    物理学科の僕が初めて位相空間を学ぶときに読んだ本。構成に教育的な配慮がされていて、初学者でも章を追うごとにだんだん抽象的な概念が学べるようになっている。また、証明が洗練されていて参考になる。定理の証明を自分で考えながら読むと位相空間に限らない数学的な力が着くと思う。

  • 2018/06/04 初観測

  • 読んだ(2016/06/14)
    内容を絞って書かれたとてもわかりやすい位相の入門書。

    位相同型とは何か?位相的性質とは何か?という問いに答えるために、ユークリッド空間→距離空間→位相空間の順にまずは具体的な問題から初めて徐々に一般化して議論がなされていく(ここでは、証明をなぞっているうちに、写像の連続性、つまりεδや近傍の扱いに自然に慣れることができる)。また、コンパクト性と連結性については位相空間で議論した後、ユークリッド空間での議論に進む。

    まえがきに書かれているように数学科の人でなくても読めるようにできていて、高校レベルの数学知識で読めそうだが、集合論を少し知っていれば読みやすいはず。題名や装丁からして気軽に読めそうに見えるが、そこそこに厳密なのできちんと読むのはそれなりに大変。とはいえ、数学が苦手な人でも最後まで読めないことはないと思う。

    説明が丁寧で具体例が多く、とりわけ様々な概念を直感的なイメージを大事にして説明してくれる点が非常に良い。特に心に残った説明を備忘として残しておく。

    ・四次元空間での閉球体のイメージの仕方についての説明
    ・連続写像ならば元の図形を破らない変形(全射(上への写像))である
    ・2次元球面から1点を除いた図形は2次元ユークリッド空間(平面)と位相同型
    ・位相同型写像とは、全単射であって、対応する部分集合が開集合(閉集合)であるかどうかを変えない写像のことである
    ・位相空間がコンパクトであるとは、無限に大きな空間とは位相同型にならないということである
    ・位相空間が連結であるとは、その空間が2つ以上の部分に分かれていないことである

  • 数学の醍醐味を堪能。一歩、一歩、理解を深めながら、最後の頁までたどり着いた。

    理解できない記述は一つもなかった。かと言って、簡単だったわけではない。数学科の学生には、不足があると、まえがきにあるが、大学の数学として、歯応えは十分である。

    何度も頁を遡り、定義や定理の内容を確認しつつ、なんとか最後までたどり着いたのが正直なところ。でも、そうしながら、主要な概念(全写、単写、近傍、連続写像、リプシッツ写像、恒等写像、位相同型写像、距離空間、離散距離空間、開集合、閉集合、位相、開被覆、有限部分被覆、コンパクト、有界、連結、稠密)を把握できたと思う。

    中間値の定理の応用は純粋に面白い。

  • とてもとてもわかりやすい。演習には解答ないけど練習問題には丁寧な解説があってたすかった。微分積分を平行して勉強してたんですが、連続やら収束やらのεδがこれやってたおかげかすらすらわかった。二回よんだけどほとんど理解できた。でも最後のほうの稠密やらハウスドルフやらはなんか違う本のほうがよくわかった。一応集合だけある程度やってから読むといいとおもいます(集合やらなくてもいいぐらい)。入門書としてはいいかんじだった。

  • 大学時代に位相から関数解析に続く講義がちんぷんかんぷんでした。でも、この本を読めば、なぜそう考えるのかが確かによくわかる。

    この手の本では珍しく章末の演習問題に解答が無くても全く困らないと思ったが、中に難問があったようで、一部解いてみよう位相空間のお世話になりました。

    基本的なところの解説に終わっていますが、不思議と本格的な本を読んでも、抵抗感がなくなりました。

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著者プロフィール

静岡大学名誉教授

「2016年 『楽しもう射影平面』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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