- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784535786547
作品紹介・あらすじ
いろいろなコンセプトのビジュアル化に加え、話の流れを重視して人の思考する順・学習する順に構成。「驚くほど親切」と評判の教科書、新装版として登場。
感想・レビュー・書評
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はじめに幾つかの公理を提示し、それらを用いて定理を証明して行くスタイル。数学徒向けの本であり、物理系の私には少し厳しかった。しかし、読み終えるとしっかりとした線形代数の感覚が掴めるようになる。
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線形代数を再度勉強しようと思い、学生時代に読んだ本書を再度手に取りました。
本書は線形代数の入門書として有名な教科書です。おおむね高校数学くらいの内容を前提にして、ベクトル・行列の取り扱いから一般固有空間・ジョルダン標準形まで、一般的に学部1年でやりそうな線形代数を一通り説明してあります。本書が読みやすい点は、ベクトルや空間の図式化のみならず、行列の成分を並べる際や基底を並べて式変形する際まで多くの説明をグラフィカルに並べて図示して説明している点です。証明は行間が少なめでフォローしやすい方です。
一方で本書は意外に読みづらい部分もあり、「定理」や「定義」以外の部分に説明が多くあり、必ずしも話の流れは明快ではありません。初学者のために「数学書っぽさ」を薄めようとした結果、かえって体裁を失って読みにくくなっている気がします。特に12章のジョルダン標準形に関する議論はわかりにくく、妙に回り道をして議論をしているような感じがしました(数弱の妄言とお捉えください)。 -
線型代数はこの本が一番分かりやすく、網羅的。これ以外は読む必要がない。
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大学1年生の時にこれで線形代数を学んだ。
復習のために読み返した。
線形代数以外の様々な数学を体験してから改めて読み返すと、新たな発見があって面白い。
例えば:
連立方程式Ax=bの一般解は、b=0としたときの一般解と、Ax₀=bとなる特殊解x₀との和で書ける。
この構造は、線形微分方程式の一般解が、同次方程式の一般解と、非同次方程式の特殊解との和で書けるのと同じ。
これは結局線形写像の特徴に繋がってくる。 -
2015年6月新着
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線形代数の入門書として迷ったらこれ買っとけ!的存在です。
夭折された川久保先生はトポロジーご専門ですが、本をわかりやすく書くことに苦心された名著です。
最初はつまづかないことが第一、新装版では誤植も減っています(まだありますが、笑える程度のものです)。
「教科書」としては、丁寧すぎるかもしれませんが、「自習書」としては最強です。
以下、Amazon.comへのレヴューを貼り付けます。
川久保先生が読者にいかにわかるように、努力されたかが察せられる内容でした。
学部の頃は斎藤先生の線型代数入門 (基礎数学 (1))で勉強しましたが、輪読したにも拘わらず全員がどこまでしっかり内容を理解していたか?疑問でした。とにかくイメージがわきにくかった。
その点、この本の証明は、なぜこのように説明されるかがすんなり頭に入ります。
しいて難を挙げると、
新装版でも本文・演習問題の答えを含めまだ誤植と誤りがあること(川久保先生が夭折されたので一樂先生が一部訂正されたようですが、まだ散見されます)、
発展的な話題に乏しいこと(スペクトル分解、行列の関数、ペロン=フロベニウスの定理、一般逆行列、特異値分解)
でしょうか。
スペクトル分解なら「線型代数と固有値問題―スペクトル分解を中心に」(笠原)
行列の関数なら「行列の関数とジョルダン標準形」(千葉)
ペロン=フロベニウスの定理なら「線形の理論 」(田中)
一般逆行列なら「一般線形代数 」(伊理)
特異値分解なら「現代線形代数 ―分解定理を中心として―」(池辺)
物理との関連なら「線型代数―Linear Algebra 」(長谷川)
へ進んで学ばれることをお勧めします。